クレイジー・ハート

格調高いカントリー音楽映画だ。　このカントリーという分野は全くの白人文化でアフリカ系は毛嫌いし、若者は人種に関係なくラップやヒップホップといった分野にひかれる。カントリー音楽はその中でもコアなファンが常にいて日本の演歌のような状況にあるように見える。
この映画そのものがカントリーソングである。散々人生の悲哀をなめてきた男が傷つきながらも必死で再生しようとする、そこにはやはり傷ついた魂がぴたりと寄り添う。
彼女はいわゆる今風の女性ではない。子供に対する愛情を優先する健全な精神を持った母親である。
結末にはあえて触れないがすばらしい。
演歌と共通する点は人生の悲哀をたっぷりと感じさせる事だ。また演歌と違う点は未練とか恨みとかで終わらずそこから一歩前に進んでいく事だ。
主人公は抑制の効いた正に｢熟年の風格」を持ったいい男になる。彼なら人々の深い共感を呼ぶ歌を作れると確信させる。
歌、風景もすばらしい秀作だ。

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ジェフさんにとってファビュラス〜以来の名作になったと思います。この作品で主演でオスカーを獲ったという事もあり、名実ともに名作と言われても十分だと思いました。
作品が自分の好きなトーンという事もあったと思いますが・・・レスラーと比べる人が多いですが、確かに似てますよね。でもコチラのほうがなんと言いますか、映画らしい
映画という感じです。レスラーはちょっとドキュメントタッチも売りにしてましたので。昔ながらの映画の良さを感じさせてくれたのはなんといっても移動先々のすばらしい
風景だと思います。本当に映画館で観たかったなと思いました。小さい話と少ない登場人物の映画にこれだけのスケールを感じたのは先の風景や脇役陣の引いた演技
だったですね。特にコリン・ファレルはかなり意識して個性を殺していたんじゃないでしょうか？彼があれだけ個性を出さずに静かなオーラを強く出している事にも驚きました。
マギーもジェイク同様演技派なんですね。良かったです。予断ですがＤＶＤの特典映像の堕落っぷり（雨の土砂の中で倒れるシーン）は強烈でしたね。確かにカットしないと
強烈すぎて雰囲気の流れが変わったかもです。

はじめに、私「チョイ悪オヤジ」と言う言葉や輩が大嫌いです。
なぜなら完全にメディア発信の流行や見た目ありきの後付造語でしかなく、さしたる波無く過ごしてきたヤツが急に悪くなったりしないんですよ。

服装だけ着飾るのは流行ですから「ナンチャッテ」でも問題ないんです。
でもソイツの生きてきた歩みまでが変わるわけでは無く、急に不良じみた大人になっても彼らの言葉には重みを感じないんですよ・・・



「オレも昔はさぁ・・・」って、死んでくれって感じですｗ
ハイ。




反面好きなスタイルとして「不良中年」です。
彼らは昔話を武勇伝として語る事は、まずありえません。
なりたくしてそうなったのではなく、純粋過ぎるゆえに不器用であり、コミュニケーション下手であるから浮いてしまうんですよ。
本作「バッド」の如く案外ロマンチスト過ぎたりする生き物なんですよね・・・ｗ



本作ははそんな「不良中年」の映画だと思います。



作品としてはどなたかも書かれてたように思いますが、もう少しバットの心情変化を丁寧に描いてもらえると秀作に変わったのであろうとか、俳優の力量に依存する形の構成であるとかと言う点はありますが、それでも個人的には本年度のトップ１０に入る良作。

女性が御覧になっても共感できる場面は少ないであろうから感情移入はし辛いのでしょうが、男性には是非とも御覧になって欲しいと思います。
特に不必要に女性のカバンを持ちレディ・ファーストと勘違いしてる輩や、いつまでも別れた女に未練を残し己の足りなかった部分に気付けずにいる輩、自己主張とワガママをはき違え「人がやってるから自分もイイ」と平気で思える輩・・・

「男」は情けなくもあり、強い生き物であるべきと言う事を私を含めて再認識できる作品であったと思います。

カントリー＆ウエスタンであるから、まぁ見ていられる。気持ちの奥底の何から変化するのか？また脱皮（変化）する過程・難しさを、もっと細やかに描いて欲しい。

自分的には好きじゃないです。