ブリッジ・オブ・スパイ

スピルバーグ監督、トムハンクス主演ということで自動設定されるハードルがあるはずですが、綺麗にそれを超えた作品です。

実話もの映画というのは案外難しく、脚色しすぎるとフィクションにかなわず、シリアス一辺倒だとドキュメンタリーに及ばない。細部まできっちり作り込んでもただの再現ドラマになりがち。

しかしこの作品は、映像、脚本、演者全ての面で映画としての魅力が詰め込まれたものになっています。これがもし実話ベースでなかったとしても大満足できるレベル。冷戦時代を描写した映画としてもおすすめ。

字幕翻訳もよかったです。142分堪能しました。

この頃、スピルバーグの作品で、アタリがなく、監督ではなく製作者としてみていたが、この作品は、スピルバーグらしいキレのある演出で、トムハンクスもいい感じで、昔の父親像をえんじている。
東ドイツの描写なんかは、CGを使用してるんだろうが、リアルに描写されている。ベルリンの壁なんかも本物ぽい。
最後の捕虜の交煥シーンは、かなり緊迫感がある。スパイの取り替えなのだから、命がけは当然。
昔いみたいなメガヒットはもう作れないかもしれないが、黒沢の晩年みたいに、作りたいもの作ってください。
引退はまだ早い。

珍しく洋画を見ました。

「ブリッジオブスパイ」

トムハンクス主演、監督スティーブンスピルバーグです。

冷戦下のアメリカとソ連。

ソ連のスパイ、アベルがアメリカでとらえられる、


たとえ敵国のスパイでも平等に裁判を受けさせるということをアピールするために、保険が専門の敏腕弁護士ジェームズドノヴァンに、弁護士協会はアベルの弁護を依頼する。

ドノヴァンは、引き受ける以上、証拠の押収に正規の手続きを踏んでいないことを理由に、無罪を勝ち取ろうとする。しかし、スパイを弁護するということで、ドノヴァンは冷たい視線にさらされ、ＣＩＡにも付きまとわれ、家族も命を狙われる。。

一審で有罪となり、上告しようと持ちかけ「アベルを殺すな。ソ連に放ったスパイが捕虜になった時に、交換にできる」と検事に交渉する。


そのようなドノヴァンに、アベルは「気を付けた方がいい」という。


その矢先、ソ連に放たれた、空中撮影の軍人パワーズがソ連に捕まってしまう。


捕まる前に自殺するように教えられたパワーズは自殺ができず、捕虜になり、ソ連に厳しい取り調べを受ける。

そして、スパイ交換の話が持ち上がるが。。

まあ、実話らしく、淡々と物語は進んでいきます。

面白いのはアメリカはスパイを、きちんと扱うが、ソ連は、捕虜を寝かせず、水をぶっか けて、何とか、どこを、何をスパイしたか、アメリカの飛行機の設計を聞き出そうと、拷問とまではいきませんが、冷たい部屋に寝かせ、アメリカとソ連とはではこれだけ違うよ、というのを描いていたことです。

正直、前半は、ちょっとたるいんですが、後半はぐいぐい引き込まれます。

でも、重々しい描き方ではなく、なぜか安心して見れるように描かれていました。

ベルリンの東ドイツから西へ逃げる人間が多く壁を作っている途中にも逃げ出し、東ドイツ軍に射殺されるんですね。


それを目の当たりにしたドノヴァン、彼はアベルを返した後で、アベルが殺されるのでは、と心配したりするんです。


ま あ、こういうことがあったんだ、とスパイ天国の日本では、考えられない映画でとても勉強になりました。