夜行観覧車

地上波放送時に、毎週楽しみに見てました。

高級住宅街で起こる殺人事件。
容疑者はかなり絞り込まれていましたが、犯人は最後の最後までわかりません。
でも犯人は誰なのかハラハラしながら見るというよりも、人間ドラマ的に見ごたえがありましたね。

登場人物はデフォルメし過ぎの感じもしたし、展開も衝撃的で
「実際、高級住宅街といえど、あんなコミュニティありえないよね？」
「家庭ってそんなに簡単に崩壊するか？」「人間って見境なくカッとなることがあるのか？」
と疑問に思うこともあったけれど、人物の気持ちは伝わってきました。

それにしても、あそこまで全力で子供に向き合うのは息が詰まる…^^;

毎週金曜日、楽しみに観ていたドラマです。
原作は、湊かなえさん。
『告白』や『高校入試』をご覧になった方には分かると思いますが、時系列を行ったり来たり、登場人物それぞれの立場で色々な角度から描いてみせるなど、なかなか前に進みません。
しかし、その見せ方が巧妙というのか、謎が謎を呼び、観ている者を大いに焦らしてくれます。
舞台となるのは、ひばりヶ丘という高級住宅街。
ひばりヶ丘に一戸建ての家を建てるのが夢だった遠藤真弓（鈴木京香）は、念願叶ってひばりヶ丘に夫・遠藤啓介（宮迫博之）と娘の彩花（杉咲花）と共に引っ越してきます。
このひばりヶ丘には、煩わしい程のしきたりや近所づきあいの決まりごとがあり、遠藤家は浮いた存在として婦人会の嫌がらせの標的となります。
また、ここでの生活に馴染めない彩花は次第に心のバランスを崩し荒れていきます。
遠藤家の向かいに住む高橋家の妻・淳子（石田ゆり子）だけが真弓の味方で良い相談相手でした。
そんな高橋家で夫の弘幸が殺害されるという事件が起こり、真犯人は誰か？というのが、この物語の謎解き部分です。
ドラマのサブタイトルを紹介しておきますが、何とも好奇心をそそられるタイトルだと思いませんか？

第1話　『高級住宅街の殺人！渦巻く悪意...家族崩壊』
第2話　『美しい街に隠された秘密...謎の失踪』
第3話　『狂い始める家族の歯車...逃亡する母子』
第4話　『夫の秘密と嘘...兄妹たちの残酷な現実』
第5話　『加速する悪意...暴走する娘と母の叫び』
第6話　『悲しい罪の告白...ついに、犯人逮捕！？』
第7話　『事件の夜夫が見たモノ...狂った母2人』
第8話　『殺された父の本性！？許し合えない親子』
第9話　『最終章〜前編〜事件の夜の家族の悲劇』
最終話 『犯人が語る事件の動機...家族の未来』

婦人会の中心人物である小島さと子（夏木マリ）は、ひばりヶ丘を愛するあまり極端な言動を繰り返し、要所要所で見事なタイミングで登場。
このドラマのスパイスとなっています。
原作でも重要な役割を果たしていますが、このドラマでは夏木マリの怪演によって、その存在感がより際立ったものになりました。
また、彩花を演じた杉咲花ちゃんは、テレビのＣＭでしか知らなかったのですが、物語序盤の明るく素直な少女から、家庭内で暴れるようになるまでの変化がすごく、うまいなあと思わせる力演でした。
鈴木京香は、ごく普通の主婦を演じていましたが、終盤での彩花との対峙、張りつめた糸がプツッと切れたように、まるで真弓自身が壊れてしまったような迫力ある演技が印象に残っています。
原作にはない結城刑事（高橋克典）の設定など、小島さと子の印象の強化と共に、実に効果的にドラマを盛り上げてくれました。
ドラマの鑑賞後に原作を読んだら、意外にあっさりしていて物足りなく感じるかもしれません。
サスペンスとしても人間ドラマとしても見応えがあると思います。
お薦めします。

湊かなえさん原作のドラマ。
「告白」級の衝撃を期待していると。
結構な肩透かしを喰らうような原作でした。
鋭利でもあり鈍く重くもあった「告白」の衝撃に比べれば。
この原作の衝撃は「かなりの鈍痛」と「アホらしくて切ない」。
読後は、爆発するようなものがなかったように感じました。
そんな原作をアレンジを加えてドラマ化。
原作ファンにすれば敏感になる「原作のアレンジ」。
変えるんじゃないよ！
そこそーじゃないし。
わかってないなぁ・・・
なんてそれぞれが評論家になっちゃうアレです。
そのアレンジが今回は功を奏したように感じました。
わかりやすく。
派手にもなった。
テレビ向きになりました。
ドラマ版の新要素も加わり。
嫌悪感を抱かずに最後まで楽しめた。
ということで「コレはコレでアリ」。

そんなドラマの二人の功労者。
まずは娘の彩花を演じた杉咲花さん。
お見事ですねぇ。
ほれぼれするほどにイラついてました。
鬱積してました。
爆発してました。
受け止める京香さんもお見事という他ありません。
そしてもうひとり。
「ひばりが丘」の実力者、小島さと子を演じた夏木マリさん。
一筋縄ではいかないオバハンを。
それこそ１００本縄があっても捕縛不可なほどに印象的に演じてくれました。
しかも、ただのパワハラおばはんとしてではなく。
滑稽さと寂しさ。
せつなさ、哀しさ、憐れさなど多面的に小島さと子を表現しきれていたのがスゴイです。
原作でも圧倒的に印象的なキャラでしたが。
それはドラマでも変わらないどころか、増してました。
そんなキャラが登場するこのドラマが。
一筋縄でいくわけがないのです。

最後に付け加えるとすれば。
ＡＩの唄う主題歌が、作品にマッチしててとても良かったです。

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湊かなえ原作。
ただ、告白ほどの衝撃的な感じではなく、パワーもない。
でも、一定のレベルは持っている。

高級住宅地にあこがれ、小さいながらも、
一軒家を手に入れた家族。

しかし、まわりのセレブに混じっての生活は、
価値観の違いを含めて、すれ違いを産む。

まず、それを描く一面が、引っ越して来た４年前からスタートする話と、
現在の、隣家での、父親が殺された事件のミステリー要素が、
時間を前後して描かれる。

この人の作品は、こういう、何かしら、
時間的あるいは、空間的な移動を含めて描く感じが多いので、
本作もそれを類したもの。

ただ、やや、描き方が、高級住宅地とか、庶民とか、
ステレオタイプ的な感じもする。

ま、私に、こういうセレブ願望が薄いから、
あまり、入り込めなかった面もあるかなと思う。

ただ、ドラマとして見たら、一定のレベルを持っていると思う。

「デスパレートな妻たち」の日本版みたいな感じで、口やかましいセレブ志向のマダム、夏木マリとか、いそうなキャラ満載でドラマの舞台とキャラ設定が面白かったです。
本当の金持ちの話というより、背伸びしてセレブ生活をしている人たちの話です。
誰が犯人なのか、謎のままずーっと続きますが、そんなにたいした大どんでん返しはないです。
反抗期の娘役がうますぎて、行状があまりにもヒドくて見てて苦痛でした。