魔王

…と言っても、いい意味でです。

韓国版の魔王のチュ・ジフン君が好きだった私は、彼の雰囲気と、バラエティ番組で見る大野君とのキャラクターの違いを見るにつけ、大野智にジフン君の役ができる筈がない。これでは、ジフン君の名演も汚されてしまうと、憤慨したものです。

大野君にも、そして彼ををキャスティングした関係者にも憤りを覚え、番組の掲示板に抗議の書き込みをしようとしたものでした。
ただ、単に悪口を書き込むのは嫌だったので、とりあえず第1話を見たうえで、「それ見たことか、やっぱり大野智にはできなかったではないか」…みたいなことを、具体的なシーンを挙げて書き込もうとしたのですが…本当にショックでした。

単なるジャニーズアイドル。しかも、私の中では嵐第５の男と思っていた彼が、これほど素晴らしい演技力の持ち主だったとは…。
散々こきおろそうと手ぐすねを引いた状態で見ていた私は見事に打ちのめされ、第1話の後半には、すっかり彼の演じる「成瀬領」に魅せられていました。

ストーリーは韓国版に比べて省略されたりして、キャラや設定なども変えられている部分はありますが、なにぶんにも原作は登場人物が多く、いろいろと入り組んで分かりにくい部分もあっただけに、それが簡略化されて、私的には韓国版よりも逆に分かりやすくなって良かったと思っています。

そして、何といっても大野君の名演技。
単なるジャニーズアイドルの粋をこえた素晴らしい俳優の存在を知ったことは、この作品を通じて得た、最も大きな収穫でした。

「天使の弁護士」と呼ばれる有能な社会派弁護士の真の姿は若くして命を奪われた弟の仇討に執念を燃やすという復讐劇です。

主要な登場人物がほとんど死んでしまう悲惨な内容で救いがほとんどないのですが、復讐にのめり込む主人公とその相手方である刑事の苦悩が妥協なく描かれており、最近のドラマとしては出色の出来栄えです。

主役の大野君と生田君の演技は目を見張るものがありますが、脇を固める俳優さんも皆ベストに近い演技を披露してくれています。とりわけ感心したのは石坂さんです。彼は若い時からスマートで都会的な俳優さんでしたが、その分演技に深みがなかったような気がします。しかし、この作品では冷徹な実業家であり、子供たちに対しても強権を発するけれど実は子供たちを深く愛しているという陰影のある父親の苦悩を描き切っており、胸を打つものがありました。彼のベストアクトです。

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最終回なのにいきなり文句付けて申し訳ないのですが、
身内だからって、取調室に容疑者をひとりにしておくものなんですか？
それに入る前に身体検査とかしなかったんですか？
更に、死のうと思えばネクタイとかベルトを
ドアノブにひっかけるって方法だってあるのに
ネクタイもしたままだったし。

友雄が復讐心をほとんど失いかけているのに
山野が暴走を始めて。

この日本で警察官が犯人を射殺なんてするかなー
いくら人を刺殺したっていったって、
持ってるのはナイフだし、拳銃とか乱射しててもどうかと思うけど。
威嚇射撃が当たっちゃって、致命傷になっちゃったのか。

＊ このあとネタバレです。ご注意ください　＊

私もいつからか、友雄の最終目的は芹沢を殺すことではなく
芹沢に自分を殺させることだとなんとなく気づきました。
最後の最期にも、自分の手を汚すつもりはなかったんですね。
でも、芹沢にはもう守りたいものは残っていなかった。
それに殺される覚悟で来ていた。
そんな人間に『さあ、撃て！』って言っても、逆に挑発しても、
彼は撃たなかったと思います。

そして、ラストは結局二人とも死んでしまうんだろうな。と
観た人誰もがおそらくそう予想したと思う通りの結末でしたが、
やっぱり哀しかったです。

私としては、サイコメトラーも男で（女でもいいけど）、
恋愛は絡ませず、
主人公も最期まで迷わず目的を果すが、相討ちか何かで死ぬ
という内容だったら、もっと気に入ったような気がします。
それでも十分切ないし。

『人生これからというときにさぞや無念だったでしょう』とか
『大切な人を失う辛さ、私にもわかります』とか
（まさにその気持ちを味わわせたいんだろう）
成瀬が芹沢に賭ける言葉に、皮肉ともとれる、
殺された弟のことを言っているのだと感じる台詞が結構あります。

そして今回もまた
『正当防衛を主張します』
これも弟のときと同じ。
もちろん故意に、でしょうね。

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タイトルバックからして好きです。
普通とばして観るのに、つい毎回観ちゃいます。

主役の大野智については、
他にドラマに出演してるかどうかも知らなかったのですが、
嵐でバラエティに出てるのを見ての私のイメージは全然違ったので、
こんな演戯・表情ができることにまず驚きました。
かなり、彼に対する見方が変わりました。
こうして見ると憂いのある顔なのに、
冷たい表情、そして『天使の弁護士』の表情。
今後彼が別の作品に出演したら、観たくなってしまうほど。

韓国版観てないので、
どこまで同じなのか、変えてるところがあるのかもわかりませんが、
すごく楽しかったです。

『復讐モノ』で楽しいなんて言ってしまうのも、
あまりいいことじゃないかもしれませんけど。

私は終始『復讐者』目線で観ました。
直接手を下さずに、次々と復讐を遂げていく展開も
今まで私が観たことのある『復讐モノ』とは違っていて、
よかったです。この表現もまずいかな。

ラストは少なくとも大野智は死ぬんだろうなということと
生田斗真だけは自ら手を下すか、殺されずに終わるのかもしれないと
予測しつつ、毎週待ちきれないくらい楽しませてもらいました。