明成皇后

「龍の涙」と「明成皇后」を同時に視聴するという，無謀極まりない行動に出ております。
というのもユ・ドングンssiは「龍の涙」では李氏朝鮮王朝第三代王となる芳遠役，「明成皇后」では，２６代王高宗の父で，明成皇后一族と激しく対立する興宣大院君役を演じているからで，どっちがどっちのドングンssiかゴチャゴチャになりそうです。

明成皇后は，日帝時代の教育によって権力主義，一族の利益のために国を犠牲にしたなどと悪いイメージで見られてきましたが，ドラマ化にあたっては，歴史が見直され，朝鮮近代史では帝国主義の日本や欧米列強と戦った女性という解釈がなされています。
ドラマは全１２４話という長編で，王妃の幼少時代から末期までの一代記として描かれていますが，可憐な少女期をムン・グニョンSSI，興宣大院君と対決する成人期をイ・ミヨンssi，鬼気迫る晩年期をチェ・ミョンギルssiが演じています。
ドラマ的に面白いのは，イ・ミヨンssiとユ・ドングンssiの対決ですが，歴史的に見れば，朝鮮近代史は近代日本史とも深く関わっており，日清，日露の戦争に大きく関わった明成皇后の政治的手腕に注目したいと思います。
歴史的事実として，明成皇后は乙未事変で暗殺されるのですが，その事件について，先ごろ亡くなった作家の角田房子さんは，小説「閔妃暗殺」で，この暗殺には三浦梧楼公使が介在したという説を展開し，新潮学芸賞を受賞しています。一方，崔文衡ssiは，前述の「閔妃暗殺」の韓国版とでもいえる「閔妃は誰に殺されたか」の中で井上馨（三浦梧楼公使の前任）首謀者説を展開しています。そしてこれらの両論を否定する形で書かれたのが，金文子著の「朝鮮王妃殺害と日本人」です。彼女はこの暗殺事件を，大本営の戦略上の謀略事件であると断じています。
ただし，読み物としては金文子著の「朝鮮王妃殺害と日本人」はちょっと難解ですので，角田版，崔文衡版を読んで，さらに興味と関心があれば挑戦してみて下さい。

おまけ：ドラマの中では，彼女を形容する“閔妃”という言葉が使われていませんが，これは“閔妃”が日本によって名付けられた呼称であったからだと思われます。

　まだ、シリーズ全体の１／４ほどしかみていませんが、日本によって暗殺された閔妃のドラマだが、韓国歴史ドラマの常として、画かれる視点があまりに王室内部に偏重していて、「こんなことばかりしていては、確かに日本に負けるよな」と、へんに納得してしまう。
　東学党の乱に続くような民衆との関係や清や日本との関係が豊富に画ければ、と思いました。私の夢は、この時代に限らず、双方の視点で描いた日韓共同制作のドラマができることです。
　

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李氏朝鮮王朝の建国期を描いた「龍の涙」（159話），王朝末期の開化に向けた動乱期を描いた「明成皇后」（124話），この2作品を同時に視聴するという暴挙に出て，結局6カ月の長きに亘ってやっと完走いたしました。
「龍の涙」で王と王妃役を演じた，ユ・ドングンssiとチェ・ミョンギルssiが，本作では第26代王・高宗（コジョン）の父であり明成皇后とことごとく対立する興宣大院君役と晩年の明成皇后役で再び共演，もうキャラがかぶってしまって，ただ今老化中の脳味噌に刺激を与えてくれました。

朝鮮王朝末期，25代王・哲宗（チョルチョン）は子どもがいないままで他界，傍系王族の高宗が12歳の若さで国王に即位したことが悲劇の始まりです。幼い高宗に代わって，摂政として政治の実権を握った実父の興宣大院君は，それまでの勢力を一掃して政治改革や鎖国政策を推し進めます。大院君は，体制に影響が無いと思われた閔氏一族出身のジャヨン（明成皇后）を高宗の王妃として迎えますが，高宗は寵愛していた李尚宮に先に子どもを産ませます。高宗の愛情を得られなかった彼女は，政治に無関心の高宗に代わって朝廷に介入していくようになり，ここから義父である大院君と骨肉の争いを繰り広げることになります。
結局明成皇后は殺され，遺体は焼却されてしまうという，波乱と悲劇に満ちた生涯を送るわけですが，ドラマ的にはこのドラマチックさが上手く演出され，「私は朝鮮の国母だ」という名セリフを残しました。歴史的にも日本との関わりが深くなる朝鮮王朝末期を描いた貴重な作品だと思います。

おまけ：本作は当初100話の予定でしたが，124話と大幅に延長されたため，イ・ミヨンssiのスケジュール調整がつかず，波乱の晩年はチェ・ミョンギルssiに交替しました。チェ・ミョンギルssiは「龍の涙」でも激しい性格の王妃を演じましたし，「大王世宗」でも「龍の涙」と同じく太宗の妃で世宗の母役を演じています。

５か月かかりました。イミヨンさんが王妃の時は中盤あたり権力抗争が延々続き嫌気がさしましたが、チェ・ミョンギルさんが王妃になったあたりから、外交戦争で戦う王妃の姿に毎回ドキドキで見ごたえありでした。日本がからむ話が全部本当ではないと思いますが、すくなくても韓国の人たちはこう思っているということがわかりました。ぜひ日本サイドからこれを扱った作品ができれば、と思います。

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高宗の即位の事情と、大院君の不遇だった時代からの因縁が明らかにされます。

大院君は、一見、誠実そうに見えて非常に綿密に策略を練り、ウソをついても通してしまうかなりの人物のようです。

大王大妃が垂簾聴政を止めるなら大妃の縁戚の王妃を選ぶ、と言いながら、言葉巧みに大院君の縁戚の候補だけ３次選考に残す、すなわち、内定させ、自分の家を内定した妃の教育のための「別宮」としてしまいます。

さらには、国王の側に起居しては迷惑と、これも巧みに隠居所へ移してしまいます。

若き国王にも「尚宮でも誰でも世継ぎを産めば良いので、情を交わす李尚宮とは別れなくてもいいです」と理解を示す態度を取りながら、会えないように仕向けます。

大院君の残る望みは「景福宮の再建」
世の常、経費不足と掛けた費用すら横流しされて進まぬ工事に苛立つ大院君。その目の前に見えたのは景福宮あたりからの火災と思われる火の手。

婚礼は無事に行われるのでしょうか？