本作は一言で括ってしまうと「バディ・ムービー」かもしれませんが、其処に留まらない魅力が渋く光る佳作だった。アクション好きには「ガントレット」っぽいシーンも有りますが、本作をアクション大作と思って観ると物足りないかもしれないし、伝えたいテーマもそれとは異質なものだ。監督のRichard Donne(おん年76歳!)と言えば「オーメン」「グーニーズ」「スーパーマン」と何でも撮れる職人監督だが、やはり「リーサル・ウェポン」も外せない。本作も似たジャンルでは有るが、チョッと風合いが違う点が時代性なのかもしれない。前作の「タイムライン」が酷い脚本で気の毒だったが、本作では熟練した演出で再び楽しませてくれたのは嬉しかった。内容は今時のリアルタイム風のアクション演出を織り交ぜつつ、物語も高速道路一直線な展開が小気味良い。復活の兆しの有るBruce Willis、リアルな落ちぶれ振りも中々だが、今回はセンシティブな中年親爺を巧みに演じてる。監督の描く主人公はどれも心に傷を負ったヒーローが多いが(まあオーメンは論外だが)、本作でも監督の「まなざし」が垣間見える点は高く評価したい。最近は見た目のハデさばかり追いかけ、肝心の「人」が描けない作品が多く散見されるが、本作のテーマ「people can change!」は古くて新しいテーマだが、それを素直に描ける監督はやはり素晴らしいと思う。「完全な善人や完全な悪人など居る筈は無い、人間には善と悪が同居しているのだ」そんな監督のメッセージが心地よい作品で、古い言葉で言えば「人間臭さ」が有ると思う。本作を見てると、以前のハリウッド映画の良さを思い出した・・・そんな感じだったのは私だけだろうか?。劇中の会話一つ一つが「活きている」様に感じ、登場人物にも違和感無く入っていける点も最近の作品で忘れられてる感触だった。まあ主人公がBruceで、ニューヨーク市警の刑事とくれば誰でも「ダイ・ハード」を期待するのは無理からぬ事。来年にはダイ・ハード第4弾「Live Free or Die Hard」が公開を控えてるなら尚更か・・・しかし、手触り感としては同じBruceでも「ラスト・ボーイスカウト」の方が本作には近い。アクション・サスペンスとして見た場合、脚本が荒削りで追跡劇にもご都合主義が見てとれるが、本作の意図はそこには無いので私は意に介さない。なのでSONYの宣伝文句「わずか16ブロック先に証人を護送する、それは簡単な任務のはずだった」を鵜呑みにすると(するわな、普通)、そこに期待なさると本作は凡作へ格下げになる恐れがある(頼むよ、ソニーさん)ので要注意。娯楽映画とは、こうして作るものだ・・・と監督が未だに教えてくれてる気もしますね。日本の諺に「災い転じて福となす」と言う言葉が有るよと監督に伝えたくなった、そんな作品でした。
この作品は、バディ・ムービーとすれば、「ラスト・ボーイスカウト」に近いテイストなのかもしれません。 枯れたおっさんの(もう老人?)のブルース・ウィリス(ちなみに私は数年前まで、ブルース・ウィリスに似てるとよく言われました)も、ダイ・ハードの面影はないものの、渋い味を醸し出しておりますし、モス・デフも新米役者としては(ラッパーとしては有名なんですってね。私、そちらの方はほとんど興味ないんで)なかなか頑張っています。 アクションや、クライム・ストーリーよりは、会話を中心に物語が進んでいきます。モス演じるところのエディが何度も口にする 「人は変われるんだ」というセリフが、この物語の背骨になって居るんでしょう。その言葉を聞くうちに、ブルース演ずるところのジャック(最近、ジャックが多いなぁ〜)の心の中にも変化が起こります。 私の大好きなデビット・モースが悪徳刑事で出てますが、「グリーンマイル」のブルータルとは、全く違った面が見えておもしろいです。(彼はどちらかというと、TVドラマがメインのようです) エンディングのケーキのシーンで結構、ぐっと来るものがありました。毎日が誰かの誕生日なんですよね。で、流れてくるエンンディング・ソングがタイヤ泥棒(本当かどうかは知りませんが)のバリー・ホワイトの「あふれる愛に−Can't Get Enough of Your Love, Babe」でした。数年前に無くなりましたが、「アリーmyラブ」の中でよくかかっていた(ジョンのテーマソングだったかな)「Everything」を歌った黒人シンガーで懐かしく聞かせてもらいました。 もうひとつのエンディングというのを、何人かの方がレビューしてますが、私見てません。この作品のエンディングがほっとさせる、ハッピーエンドで(誰も死ななかったし)良かったなと思うので・・・。 作品として作って世に出す以上、脚本を推敲を重ねて完成させるのが当たり前で、「こういうエンディングもあるんだけど?」という提示の仕方は、製作者の姿勢としてどうなんでしょう?言い方は悪いかもしれませんが、ちょっと卑怯な気がします。監督や脚本家がDVDの特典で解説したり、言い訳したり(解説しないと理解させられない時点で、作品としてのクオリティが低いと言うことですが)するのは、まあ許せるとして、エンディングをもう一つ作るのは、個人的に認めたくないので、あえて見ていません。本編のエンディングだけで言わせていただければ、おすすめできる作品だと思います。
本作は一言で括ってしまうと「バディ・ムービー」かもしれませんが、其処に留まらない魅力が渋く光る佳作だった。アクション好きには「ガントレット」っぽいシーンも有りますが、本作をアクション大作と思って観ると物足りないかもしれないし、伝えたいテーマもそれとは異質なものだ。監督のRichard Donne(おん年76歳!)と言えば「オーメン」「グーニーズ」「スーパーマン」と何でも撮れる職人監督だが、やはり「リーサル・ウェポン」も外せない。本作も似たジャンルでは有るが、チョッと風合いが違う点が時代性なのかもしれない。前作の「タイムライン」が酷い脚本で気の毒だったが、本作では熟練した演出で再び楽しませてくれたのは嬉しかった。内容は今時のリアルタイム風のアクション演出を織り交ぜつつ、物語も高速道路一直線な展開が小気味良い。復活の兆しの有るBruce Willis、リアルな落ちぶれ振りも中々だが、今回はセンシティブな中年親爺を巧みに演じてる。監督の描く主人公はどれも心に傷を負ったヒーローが多いが(まあオーメンは論外だが)、本作でも監督の「まなざし」が垣間見える点は高く評価したい。最近は見た目のハデさばかり追いかけ、肝心の「人」が描けない作品が多く散見されるが、本作のテーマ「people can change!」は古くて新しいテーマだが、それを素直に描ける監督はやはり素晴らしいと思う。「完全な善人や完全な悪人など居る筈は無い、人間には善と悪が同居しているのだ」そんな監督のメッセージが心地よい作品で、古い言葉で言えば「人間臭さ」が有ると思う。本作を見てると、以前のハリウッド映画の良さを思い出した・・・そんな感じだったのは私だけだろうか?。劇中の会話一つ一つが「活きている」様に感じ、登場人物にも違和感無く入っていける点も最近の作品で忘れられてる感触だった。まあ主人公がBruceで、ニューヨーク市警の刑事とくれば誰でも「ダイ・ハード」を期待するのは無理からぬ事。来年にはダイ・ハード第4弾「Live Free or Die Hard」が公開を控えてるなら尚更か・・・しかし、手触り感としては同じBruceでも「ラスト・ボーイスカウト」の方が本作には近い。アクション・サスペンスとして見た場合、脚本が荒削りで追跡劇にもご都合主義が見てとれるが、本作の意図はそこには無いので私は意に介さない。なのでSONYの宣伝文句「わずか16ブロック先に証人を護送する、それは簡単な任務のはずだった」を鵜呑みにすると(するわな、普通)、そこに期待なさると本作は凡作へ格下げになる恐れがある(頼むよ、ソニーさん)ので要注意。娯楽映画とは、こうして作るものだ・・・と監督が未だに教えてくれてる気もしますね。日本の諺に「災い転じて福となす」と言う言葉が有るよと監督に伝えたくなった、そんな作品でした。
この作品は、バディ・ムービーとすれば、「ラスト・ボーイスカウト」に近いテイストなのかもしれません。 枯れたおっさんの(もう老人?)のブルース・ウィリス(ちなみに私は数年前まで、ブルース・ウィリスに似てるとよく言われました)も、ダイ・ハードの面影はないものの、渋い味を醸し出しておりますし、モス・デフも新米役者としては(ラッパーとしては有名なんですってね。私、そちらの方はほとんど興味ないんで)なかなか頑張っています。 アクションや、クライム・ストーリーよりは、会話を中心に物語が進んでいきます。モス演じるところのエディが何度も口にする 「人は変われるんだ」というセリフが、この物語の背骨になって居るんでしょう。その言葉を聞くうちに、ブルース演ずるところのジャック(最近、ジャックが多いなぁ〜)の心の中にも変化が起こります。 私の大好きなデビット・モースが悪徳刑事で出てますが、「グリーンマイル」のブルータルとは、全く違った面が見えておもしろいです。(彼はどちらかというと、TVドラマがメインのようです) エンディングのケーキのシーンで結構、ぐっと来るものがありました。毎日が誰かの誕生日なんですよね。で、流れてくるエンンディング・ソングがタイヤ泥棒(本当かどうかは知りませんが)のバリー・ホワイトの「あふれる愛に−Can't Get Enough of Your Love, Babe」でした。数年前に無くなりましたが、「アリーmyラブ」の中でよくかかっていた(ジョンのテーマソングだったかな)「Everything」を歌った黒人シンガーで懐かしく聞かせてもらいました。 もうひとつのエンディングというのを、何人かの方がレビューしてますが、私見てません。この作品のエンディングがほっとさせる、ハッピーエンドで(誰も死ななかったし)良かったなと思うので・・・。 作品として作って世に出す以上、脚本を推敲を重ねて完成させるのが当たり前で、「こういうエンディングもあるんだけど?」という提示の仕方は、製作者の姿勢としてどうなんでしょう?言い方は悪いかもしれませんが、ちょっと卑怯な気がします。監督や脚本家がDVDの特典で解説したり、言い訳したり(解説しないと理解させられない時点で、作品としてのクオリティが低いと言うことですが)するのは、まあ許せるとして、エンディングをもう一つ作るのは、個人的に認めたくないので、あえて見ていません。本編のエンディングだけで言わせていただければ、おすすめできる作品だと思います。