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彼女について私が知っている二、三の事柄
彼女について私が知っている二、三の事柄
彼女について私が知っている二、三の事柄 / マリナ・ヴラディ
全体の平均評価点: (5点満点)
(11)
彼女について私が知っている二、三の事柄
/ジャン・リュック・ゴダール
全体の平均評価点:
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「彼女について私が知っている二、三の事柄」 の解説・あらすじ・ストーリー
解説・ストーリー
中流家庭の主婦の売春を、ドキュメンタリー・タッチで描いた作品。
「彼女について私が知っている二、三の事柄」 の作品情報
「彼女について私が知っている二、三の事柄」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ
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彼女について私が知っている二・三の事柄 HDニューマスター版の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
86分 |
日本語 |
1:ドルビーデジタル/モノラル/オリジナル
|
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
GAYR1242 |
2008年02月01日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
7枚
|
0人
|
0人
|
彼女について私が知っている二・三の事柄 HDニューマスター版の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
86分 |
日本語 |
1:ドルビーデジタル/モノラル/オリジナル
|
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
GAYR1242 |
2008年02月01日
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在庫枚数 |
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ユーザーレビュー:11件
"Vogue Godard"
投稿日:2008/01/27
レビュアー:ひきむすび
中流家庭の主婦の売春
ファッションに敏感で夫はガソリンスタンド勤務
でも そのことはさほど重要ではない。
引用を散りばめて作られたこの作品は
ゴダールその人を表す雑誌のようなものです。
この物語に登場する人物は とってつけたかのような素っ気無さ
人物コラムを読み上げたかのようなセリフ
この人たちは 一般代表の一人物に過ぎないようです。
我が家にいながら 遠い戦場の情報に沸き
家の中に無関心な夫
自分を潤すために身売りする妻
ここにも生々しさ エロティックな描写はなく
単に 政治や時代へのゴダールの不満の暗喩であるような気がします。
道路や橋(高架道?)の建設がところどころに差し込まれ
心 言葉 文化はどこへいくんだ?という
憤り 嫌悪を感じるんですね。
メイド・イン・USAを撮った同じ年に たった二ヶ月で撮りあげたというこの作品。
それだけにストレートな感情が随所に現れています。
ゴダールという人物を知るのにとてもいい作品と思います。
このレビューは気に入りましたか?
11人の会員が気に入ったと投稿しています
神秘は売り切れだ
投稿日:2008/05/17
レビュアー:よふかし
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
レビューを表示する
裸足のラヴァースさんがどこかでゴダールは古びると書いておられて、そこでは確かその字義通りというより、古びるからこそ面白いというような反語的な意味合いも感じられたように記憶している。
冒頭に「産業社会についての18章」などと出るこの作品は、60年代ゴダールのカラフルでオサレな見た目と、同時代を撃つ適当かつ真摯な問いかけが奇跡的なバランスを保っていて、実に面白い。政治性とポップ・アートが何の違和感もなく結合している幸福感に満ちている(コーヒーの泡のクロースアップにうっとり。可愛いジュリエット・ベルトの登場もうれしい)。
――などと言えばやや懐古趣味的だけれど、産業社会の進展で埋没していく個人という主題は、消費に明け暮れ日常から政治がすっぱり消えてしまった現在の日本に生きる僕にはとても身近だし、ベトナムをイラクに置き換えてみれば、40年たっても何も変わらないということがよく分かる。つまり、古いのだが、古くないのだ。
一応、「売春」である。これより数年前にアンナ・カリーナ主演で撮られた『女と男のいる舗道』では、主人公が娼婦に「堕ちてゆく」様がドラマティックに描き出されていた。けれど、本作ではもう、主婦ジュリエットの選択に、ドラマは微塵も存在しない。彼女は亭主の稼ぎが少ないので、子どもを預け客を取る。そしてその金で美容室に行って爪の手入れをし、服を買う。飢えているわけではない。高度に産業化された社会では、人々に行為の意味を考える暇も力も与えない。
意味が失われてゆく非人間的な現代社会に対抗するには、語るしかないのだ。自分は何者か、何を望んでいるか、常に声に出して言葉を紡ぎ続けるしかない。だから本作では、主要な人物も脇役も、突如カメラを真正面から見据えて自己紹介を始めるのである。映画の一登場人物ではなく、そこに存在する「個」なのだとでも言うように。だから淡々とはしているけれども、本作をドキュメンタリー・タッチというのは誤りではないか。昨今流行りの「手持ちカメラでブレブレ画面」のえせドキュメンタリー手法が馬鹿馬鹿しく思えるほどに、ゴダールはここできちんとドキュメンタリーの手法を援用していることは確かだと思うけれども、中身は相当作りこまれていて、主婦売春の実態を明らかにしようとするジャーナリスティックな意図からも遠く離れているからだ。
唯一の武器は、語ることだ。映画はそう主張しているように思える。けれども、(ここが僕は素晴らしいと思うのだが)カメラ目線で大した自己表明はなされない。名前、好きな色、せいぜいが将来の夢。冷酷な社会に抵抗するには、あまりに脆弱な僕らの言葉の数々。それでもカフェに数多の書物を積み上げ、片端から言葉を探し続ける二人の男、注文を聞かれて「この神秘アイスってのちょうだい」というと、店主は「神秘は売り切れだ」と叫ぶ。
神秘は売り切れ――その言葉に僕は笑った。75点。
ふと思った。本作もHDニューマスターとして、見事に産業化された・・・のかもしれない。
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7人の会員が気に入ったと投稿しています
世界と自分との結びつき
投稿日:2008/05/28
レビュアー:neko
混沌とした映画ですね。
パリの街の、ある一部分を淡々と冷めたような視線で描いた様な、夢を語るのではなく、ただ生きていることを語る様な映画。
“風景は人間の顔のようなもの”と話す後に写し出される工事現場。
無機質に響き渡る金属音。漠然とした不安。
パリの街と、売春する主婦とを重ね合わせた何とも不思議な味わいの映画です。
初めて観るにはちょっと難しい映画な気がしますね。
言葉や語ること、いろいろと考えていた私にはハッとする様な表現があったり、あんな風な仕事をしている私は、昔の、パリの街の、工事現場が妙に興味深かったり。
背景のポスターがいいです。売春宿に掛けてあるのは「女と男がいる舗道」のナナだったり(ですよね?)、冷めた夫婦のベッドに掛けてある何だかドキッとするような絵だったり、それからラスト近くの、水色の背景に黒猫のポスターがとびきり可愛い(部屋にほしい!!!)。
「セリーヌとジュリーは舟でゆく」で可愛かったジュリエット・ベルト、この映画がデビュー作なんですね。ちょっとタレ目な感じがとても可愛い人です。
もうちょっと髪が伸びたらこんな風にしたい・・・(あくまで願望)。
リナさんを追いかけてゴダール監督の映画を初期の頃から何作か観進めていますが、観るたびに違った色々な感覚が味わえるような気がします。
--------------
リナさん、「セリーヌとジュリー・・・」観ました。
私も追いかけっこはリナさんを想像しながら書きました♪が、消してしまい、、、しばらく頭が真っ白!!レビュー読むの好きなのにとても恥ずかしい。またどこかで読んでもらえたらなぁと思います。よふかしさんもご心配おかけしました。リヴェット監督は猫好きとのお話、喜びました。
それからたくさん投票してくれた方、ありがとうございました。
ちょっと落ち込み気味だったので、とても嬉しかったです。
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5人の会員が気に入ったと投稿しています
蜃気楼の女
「彼女について私が知っている二、三の事柄」(1966、フランス、カラー、90分)。
監督・脚本はゴダール。撮影はラウル・クタール。
1966年8月のパリの郊外。公団の賃貸住宅。マンションではなく、一戸建てで抽選中だ。当たった夫「ロベール」(ロジェ・モンソレ・ジャンソン)は、二人の子供──「クリストフ」(クリストフ・ブルセイエ)と「ソランジュ」(マリー・ブルセイエ)に優しく、幼い長女も長男も、父のことが好き。ガソリンスタンドに勤める「ロベール」はアマチュア無線家で、友人のロジェ(ジャン・ナルボニ)とずっと交信している。「アロー」。
1966年8月のパリの郊外。「ジュリエット」は夫のいない昼間、売春をしている。
さて、ゴダールは、どんなことを書きたかったであろうか? 「アロー」。
妻は夫のことを知りたくなくもないだろうか。子供が騒いでいて、大変だ。彼女は家事に追われて、皿を洗う。夫は仕事に忙殺され、自分はゆっくり、風呂にも入れない。
夫は妻の一部分しか知らない。二人で子供つくったが、その子供は日中、会うこともはなく、午後の夜、仕事に疲れて帰宅すると、ときには、童話を話して眠らせようとするが、自分も疲れて眠ってしまう。朝まで。朝になると床に落ちている。
男が、「彼女」について知っていることが、幾つでも、それはどうでもいい。
多く知っているだろうか。それとも、少ししか彼女のことを知らないから別れる理由になるだろうか。むしろ、知らないほうが、別れは(死ぬまで)幸福ではなかろうか。
これは「女」のことと推定する。「男」は異なるような気がする。
「男」は「阿呆」なので、幻想を、夢の女を抱き続け、死んでゆく。昔、愛した女。
その夢の女のイメジ。
〇服装は、紫のTシャツ。
〇ことばつかいは、フランク。男っぽい。
〇喫煙者。スマート・ボールが好き。夏に太り、冬に少し痩せる。
〇北陸の蜃気楼の浮き出る街の出身。埋没林のある街。
〇大学のゼミでは、芥川龍之介の「藪の中」と、アンブローズ・ビアスの小説を関連させて、卒論にした。
〇国文だが、アパレル・メーカーに就職した。
この女を忘れられない。「彼女について私が知っている二、三の事柄」。
気が強いんだが、脆くもあり、やっぱり強い女だった。黒眼がちの潤んだ強い視線は、どこへ行ったか、と思います。
彼女について、多く書いたが、しょせん、負け犬の言葉です。彼女が今、そばにいないのですから。男は情けなく、昔の女を忘れられないものです。
だらっと、自分のことばかり書きましたが、アンナ・カリーナは、出版社で煙草を吸いながら、手伝いはしません。それでいいのです。ゴダールの求めるままに、活版印刷の喧騒とともに。
このレビューは気に入りましたか?
3人の会員が気に入ったと投稿しています
居心地はよくないけど不思議な面白さを感じる
投稿日:2022/10/23
レビュアー:趣味は洋画
彼女について私が知っている二、三の事柄(1966年、フランス・イタリア、カラー、86分)
ジャン=リュック・ゴダールが今年9月13日に91歳で他界された後、「気狂いピエロ」(65年)を観ました。
そして本日、この奇妙なタイトルの映画にチャレンジしました。
ヌーヴェル・バーグの鬼才といわれるだけあって、さすがに過激で難解ですが、資本主義社会の歪みを批判する作風は他の名作と変わりません。
ゴダールの映画は敷居が高くて馴染めないという向きもありますが、観終えたあとの不思議な快感はどこからくるのでしょう。
1966年8月、パリ郊外には次々と公団住宅が建築され、ブルドーザーの音が響いている。首都圏拡張計画の一環なのだ。主婦のジュリエット(マリナ・ヴラディ)は、夫ロベール(ロジェ・モンソレ)、小学生の息子、幼い娘と4人で公団住宅に暮らしている。ロベールはガソリンスタンドで働いているが、給料が安く、生活は楽ではない。夫の趣味はアマチュア無線で、暇さえあれば無線を傍受して楽しんでいる。ジュリエットには夫に言えない秘密があった。夫が仕事で留守の間、街の売春宿へ向かい、小遣い稼ぎをしているのだ。同様の行いをしている主婦はほかにもおり、売春宿には託児設備もある。ジュリエットは幼い娘を預けるが、泣き叫ぶのを無視して動じない。行為を済ませたジュリエットは街に出て洋服を選び、友人のマリアンヌ(アニー・デュプリー)が勤めている美容院へ行く。暫くすると、マリアンヌにアメリカ人男性(ラウール・レヴィ)から電話が入り、マリアンヌはジュリエットと2人で、その男性の宿泊しているホテルへ向かった。男は新聞社の駐在特派員で、サイゴンでベトナム戦争の取材をしているという...
冒頭からヒソヒソ話をしているような口調で、ナレーションが入ります。実はそのナレーションもゴダール自身の語りでした。
ナレーションで、タイトルに使われている「彼女」とは「パリ首都圏」、「彼女」とは「マリナ・ヴラディ」、「彼女」とは「ジュリエット・ジャンソン」と、3つを指し、混迷なストーリーの入り口へ誘(いざな)います。
取り立てて面白いストーリーでもなく、話の起伏も感じられないのですが、奇妙なセリフが独り言のように次々と出てくるので ‘想像する楽しみ’ はあります。
着物姿の女性が描かれた、JALマーク入りのポスターが貼られていたり、「PAN AM/パンアメリカン航空」と「TWA/トランスワールド航空」の航空バッグを頭に被って歩くジュリエットとマリアンヌのシーンがあったりと、遊び心も入っています。時代を感じます。
本作のスタッフは著名な映画人が名を連ねております。
製作は「パリ・テキサス」、「ベルリン・天使の詩」のアナトール・ドーマン、撮影は「勝手にしやがれ」、「ピアニストを撃て」のラウール・クタール、編集は「気狂いピエロ」のフランソワーズ・コラン、衣装は「鬼火」、「暗殺の森」のギット・マグリーニ女史といった具合。
脚本とナレーションはゴダールです。
ところが本作にはクレジット紹介が一切ありません。
最初にも最後にも、スタッフやキャストの記述が流れません。
その理由については、特典映像で語られています。フレディ・ビュアシュ氏(スイス シネマテーク元館長/評論家)と、ドミニク・ペニ氏(フランス シネマテーク元館長)の対談、「現実の幻影」のなかで。
いつの日か、ゴダールの「小さな兵隊」を観るつもりです。
このレビューは気に入りましたか?
1人の会員が気に入ったと投稿しています
ユーザーレビュー
"Vogue Godard"
投稿日
2008/01/27
レビュアー
ひきむすび
中流家庭の主婦の売春
ファッションに敏感で夫はガソリンスタンド勤務
でも そのことはさほど重要ではない。
引用を散りばめて作られたこの作品は
ゴダールその人を表す雑誌のようなものです。
この物語に登場する人物は とってつけたかのような素っ気無さ
人物コラムを読み上げたかのようなセリフ
この人たちは 一般代表の一人物に過ぎないようです。
我が家にいながら 遠い戦場の情報に沸き
家の中に無関心な夫
自分を潤すために身売りする妻
ここにも生々しさ エロティックな描写はなく
単に 政治や時代へのゴダールの不満の暗喩であるような気がします。
道路や橋(高架道?)の建設がところどころに差し込まれ
心 言葉 文化はどこへいくんだ?という
憤り 嫌悪を感じるんですね。
メイド・イン・USAを撮った同じ年に たった二ヶ月で撮りあげたというこの作品。
それだけにストレートな感情が随所に現れています。
ゴダールという人物を知るのにとてもいい作品と思います。
神秘は売り切れだ
投稿日
2008/05/17
レビュアー
よふかし
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
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裸足のラヴァースさんがどこかでゴダールは古びると書いておられて、そこでは確かその字義通りというより、古びるからこそ面白いというような反語的な意味合いも感じられたように記憶している。
冒頭に「産業社会についての18章」などと出るこの作品は、60年代ゴダールのカラフルでオサレな見た目と、同時代を撃つ適当かつ真摯な問いかけが奇跡的なバランスを保っていて、実に面白い。政治性とポップ・アートが何の違和感もなく結合している幸福感に満ちている(コーヒーの泡のクロースアップにうっとり。可愛いジュリエット・ベルトの登場もうれしい)。
――などと言えばやや懐古趣味的だけれど、産業社会の進展で埋没していく個人という主題は、消費に明け暮れ日常から政治がすっぱり消えてしまった現在の日本に生きる僕にはとても身近だし、ベトナムをイラクに置き換えてみれば、40年たっても何も変わらないということがよく分かる。つまり、古いのだが、古くないのだ。
一応、「売春」である。これより数年前にアンナ・カリーナ主演で撮られた『女と男のいる舗道』では、主人公が娼婦に「堕ちてゆく」様がドラマティックに描き出されていた。けれど、本作ではもう、主婦ジュリエットの選択に、ドラマは微塵も存在しない。彼女は亭主の稼ぎが少ないので、子どもを預け客を取る。そしてその金で美容室に行って爪の手入れをし、服を買う。飢えているわけではない。高度に産業化された社会では、人々に行為の意味を考える暇も力も与えない。
意味が失われてゆく非人間的な現代社会に対抗するには、語るしかないのだ。自分は何者か、何を望んでいるか、常に声に出して言葉を紡ぎ続けるしかない。だから本作では、主要な人物も脇役も、突如カメラを真正面から見据えて自己紹介を始めるのである。映画の一登場人物ではなく、そこに存在する「個」なのだとでも言うように。だから淡々とはしているけれども、本作をドキュメンタリー・タッチというのは誤りではないか。昨今流行りの「手持ちカメラでブレブレ画面」のえせドキュメンタリー手法が馬鹿馬鹿しく思えるほどに、ゴダールはここできちんとドキュメンタリーの手法を援用していることは確かだと思うけれども、中身は相当作りこまれていて、主婦売春の実態を明らかにしようとするジャーナリスティックな意図からも遠く離れているからだ。
唯一の武器は、語ることだ。映画はそう主張しているように思える。けれども、(ここが僕は素晴らしいと思うのだが)カメラ目線で大した自己表明はなされない。名前、好きな色、せいぜいが将来の夢。冷酷な社会に抵抗するには、あまりに脆弱な僕らの言葉の数々。それでもカフェに数多の書物を積み上げ、片端から言葉を探し続ける二人の男、注文を聞かれて「この神秘アイスってのちょうだい」というと、店主は「神秘は売り切れだ」と叫ぶ。
神秘は売り切れ――その言葉に僕は笑った。75点。
ふと思った。本作もHDニューマスターとして、見事に産業化された・・・のかもしれない。
世界と自分との結びつき
投稿日
2008/05/28
レビュアー
neko
混沌とした映画ですね。
パリの街の、ある一部分を淡々と冷めたような視線で描いた様な、夢を語るのではなく、ただ生きていることを語る様な映画。
“風景は人間の顔のようなもの”と話す後に写し出される工事現場。
無機質に響き渡る金属音。漠然とした不安。
パリの街と、売春する主婦とを重ね合わせた何とも不思議な味わいの映画です。
初めて観るにはちょっと難しい映画な気がしますね。
言葉や語ること、いろいろと考えていた私にはハッとする様な表現があったり、あんな風な仕事をしている私は、昔の、パリの街の、工事現場が妙に興味深かったり。
背景のポスターがいいです。売春宿に掛けてあるのは「女と男がいる舗道」のナナだったり(ですよね?)、冷めた夫婦のベッドに掛けてある何だかドキッとするような絵だったり、それからラスト近くの、水色の背景に黒猫のポスターがとびきり可愛い(部屋にほしい!!!)。
「セリーヌとジュリーは舟でゆく」で可愛かったジュリエット・ベルト、この映画がデビュー作なんですね。ちょっとタレ目な感じがとても可愛い人です。
もうちょっと髪が伸びたらこんな風にしたい・・・(あくまで願望)。
リナさんを追いかけてゴダール監督の映画を初期の頃から何作か観進めていますが、観るたびに違った色々な感覚が味わえるような気がします。
--------------
リナさん、「セリーヌとジュリー・・・」観ました。
私も追いかけっこはリナさんを想像しながら書きました♪が、消してしまい、、、しばらく頭が真っ白!!レビュー読むの好きなのにとても恥ずかしい。またどこかで読んでもらえたらなぁと思います。よふかしさんもご心配おかけしました。リヴェット監督は猫好きとのお話、喜びました。
それからたくさん投票してくれた方、ありがとうございました。
ちょっと落ち込み気味だったので、とても嬉しかったです。
蜃気楼の女
投稿日
2021/10/27
レビュアー
ちゅく
「彼女について私が知っている二、三の事柄」(1966、フランス、カラー、90分)。
監督・脚本はゴダール。撮影はラウル・クタール。
1966年8月のパリの郊外。公団の賃貸住宅。マンションではなく、一戸建てで抽選中だ。当たった夫「ロベール」(ロジェ・モンソレ・ジャンソン)は、二人の子供──「クリストフ」(クリストフ・ブルセイエ)と「ソランジュ」(マリー・ブルセイエ)に優しく、幼い長女も長男も、父のことが好き。ガソリンスタンドに勤める「ロベール」はアマチュア無線家で、友人のロジェ(ジャン・ナルボニ)とずっと交信している。「アロー」。
1966年8月のパリの郊外。「ジュリエット」は夫のいない昼間、売春をしている。
さて、ゴダールは、どんなことを書きたかったであろうか? 「アロー」。
妻は夫のことを知りたくなくもないだろうか。子供が騒いでいて、大変だ。彼女は家事に追われて、皿を洗う。夫は仕事に忙殺され、自分はゆっくり、風呂にも入れない。
夫は妻の一部分しか知らない。二人で子供つくったが、その子供は日中、会うこともはなく、午後の夜、仕事に疲れて帰宅すると、ときには、童話を話して眠らせようとするが、自分も疲れて眠ってしまう。朝まで。朝になると床に落ちている。
男が、「彼女」について知っていることが、幾つでも、それはどうでもいい。
多く知っているだろうか。それとも、少ししか彼女のことを知らないから別れる理由になるだろうか。むしろ、知らないほうが、別れは(死ぬまで)幸福ではなかろうか。
これは「女」のことと推定する。「男」は異なるような気がする。
「男」は「阿呆」なので、幻想を、夢の女を抱き続け、死んでゆく。昔、愛した女。
その夢の女のイメジ。
〇服装は、紫のTシャツ。
〇ことばつかいは、フランク。男っぽい。
〇喫煙者。スマート・ボールが好き。夏に太り、冬に少し痩せる。
〇北陸の蜃気楼の浮き出る街の出身。埋没林のある街。
〇大学のゼミでは、芥川龍之介の「藪の中」と、アンブローズ・ビアスの小説を関連させて、卒論にした。
〇国文だが、アパレル・メーカーに就職した。
この女を忘れられない。「彼女について私が知っている二、三の事柄」。
気が強いんだが、脆くもあり、やっぱり強い女だった。黒眼がちの潤んだ強い視線は、どこへ行ったか、と思います。
彼女について、多く書いたが、しょせん、負け犬の言葉です。彼女が今、そばにいないのですから。男は情けなく、昔の女を忘れられないものです。
だらっと、自分のことばかり書きましたが、アンナ・カリーナは、出版社で煙草を吸いながら、手伝いはしません。それでいいのです。ゴダールの求めるままに、活版印刷の喧騒とともに。
居心地はよくないけど不思議な面白さを感じる
投稿日
2022/10/23
レビュアー
趣味は洋画
彼女について私が知っている二、三の事柄(1966年、フランス・イタリア、カラー、86分)
ジャン=リュック・ゴダールが今年9月13日に91歳で他界された後、「気狂いピエロ」(65年)を観ました。
そして本日、この奇妙なタイトルの映画にチャレンジしました。
ヌーヴェル・バーグの鬼才といわれるだけあって、さすがに過激で難解ですが、資本主義社会の歪みを批判する作風は他の名作と変わりません。
ゴダールの映画は敷居が高くて馴染めないという向きもありますが、観終えたあとの不思議な快感はどこからくるのでしょう。
1966年8月、パリ郊外には次々と公団住宅が建築され、ブルドーザーの音が響いている。首都圏拡張計画の一環なのだ。主婦のジュリエット(マリナ・ヴラディ)は、夫ロベール(ロジェ・モンソレ)、小学生の息子、幼い娘と4人で公団住宅に暮らしている。ロベールはガソリンスタンドで働いているが、給料が安く、生活は楽ではない。夫の趣味はアマチュア無線で、暇さえあれば無線を傍受して楽しんでいる。ジュリエットには夫に言えない秘密があった。夫が仕事で留守の間、街の売春宿へ向かい、小遣い稼ぎをしているのだ。同様の行いをしている主婦はほかにもおり、売春宿には託児設備もある。ジュリエットは幼い娘を預けるが、泣き叫ぶのを無視して動じない。行為を済ませたジュリエットは街に出て洋服を選び、友人のマリアンヌ(アニー・デュプリー)が勤めている美容院へ行く。暫くすると、マリアンヌにアメリカ人男性(ラウール・レヴィ)から電話が入り、マリアンヌはジュリエットと2人で、その男性の宿泊しているホテルへ向かった。男は新聞社の駐在特派員で、サイゴンでベトナム戦争の取材をしているという...
冒頭からヒソヒソ話をしているような口調で、ナレーションが入ります。実はそのナレーションもゴダール自身の語りでした。
ナレーションで、タイトルに使われている「彼女」とは「パリ首都圏」、「彼女」とは「マリナ・ヴラディ」、「彼女」とは「ジュリエット・ジャンソン」と、3つを指し、混迷なストーリーの入り口へ誘(いざな)います。
取り立てて面白いストーリーでもなく、話の起伏も感じられないのですが、奇妙なセリフが独り言のように次々と出てくるので ‘想像する楽しみ’ はあります。
着物姿の女性が描かれた、JALマーク入りのポスターが貼られていたり、「PAN AM/パンアメリカン航空」と「TWA/トランスワールド航空」の航空バッグを頭に被って歩くジュリエットとマリアンヌのシーンがあったりと、遊び心も入っています。時代を感じます。
本作のスタッフは著名な映画人が名を連ねております。
製作は「パリ・テキサス」、「ベルリン・天使の詩」のアナトール・ドーマン、撮影は「勝手にしやがれ」、「ピアニストを撃て」のラウール・クタール、編集は「気狂いピエロ」のフランソワーズ・コラン、衣装は「鬼火」、「暗殺の森」のギット・マグリーニ女史といった具合。
脚本とナレーションはゴダールです。
ところが本作にはクレジット紹介が一切ありません。
最初にも最後にも、スタッフやキャストの記述が流れません。
その理由については、特典映像で語られています。フレディ・ビュアシュ氏(スイス シネマテーク元館長/評論家)と、ドミニク・ペニ氏(フランス シネマテーク元館長)の対談、「現実の幻影」のなかで。
いつの日か、ゴダールの「小さな兵隊」を観るつもりです。
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彼女について私が知っている二、三の事柄