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20世紀初頭、アイルランドの寒村を舞台に、駐在しているイギリス軍守備隊指揮官ランドルフと、その村に住む人妻ロージーとの不倫を通して描かれるヒューマン・ドラマ。人間のおろかさ、聡明さ、葛藤を重厚に描く名作。
製作年: |
1970年 |
---|---|
製作国: |
アメリカ |
原題: |
RYAN’S DAUGHTER |
受賞記録: |
1970年 アカデミー賞 助演男優賞
1970年 ゴールデン・グローブ 助演男優賞 |
監督: |
デビッド・リーン |
---|---|
出演: |
ロバート・ミッチャム 、 サラ・マイルズ 、 トレヴァー・ハワード 、 ジョン・ミルズ 、 レオ・マッカーン 、 クリストファー・ジョーンズ 、 バリー・フォスター 、 レオ・マッカーン |
脚本: |
ロバート・ボルト |
撮影: |
フレディ・ヤング |
音楽: |
モーリス・ジャール |
20世紀初頭、アイルランドの寒村を舞台に、駐在しているイギリス軍守備隊指揮官ランドルフと、その村に住む人妻ロージーとの不倫を通して描かれるヒューマン・ドラマ。人間のおろかさ、聡明さ、葛藤を重厚に描く名作。
製作年: |
1970年 |
---|---|
製作国: |
アメリカ |
原題: |
RYAN’S DAUGHTER |
受賞記録: |
1970年 アカデミー賞 助演男優賞
1970年 ゴールデン・グローブ 助演男優賞 |
監督: |
デビッド・リーン |
---|---|
出演: |
ロバート・ミッチャム 、 サラ・マイルズ 、 トレヴァー・ハワード 、 ジョン・ミルズ 、 レオ・マッカーン 、 クリストファー・ジョーンズ 、 バリー・フォスター 、 レオ・マッカーン |
収録時間: | 字幕: | 音声: |
---|---|---|
108分 | 1:ドルビーデジタル//英語 2:ドルビーデジタル//日本語 3:ドルビーデジタル//英(解説) |
|
レイティング: | 記番: | レンタル開始日: |
DLR65170 | 2006年09月29日 | |
在庫枚数 | 1位登録者: | 2位登録者: |
8枚 | 0人 | 0人 |
収録時間:
108分
字幕:
音声:
1:ドルビーデジタル//英語
2:ドルビーデジタル//日本語
3:ドルビーデジタル//英(解説)
レイティング:
記番:
DLR65170
レンタル開始日:
2006年09月29日
在庫枚数
8枚
1位登録者:
0人
2位登録者:
0人
DVD
収録時間: | 字幕: | 音声: |
---|---|---|
108分 | 1:ドルビーデジタル//英語 2:ドルビーデジタル//日本語 3:ドルビーデジタル//英(解説) |
|
レイティング: | 記番: | レンタル開始日: |
DLR65170 | 2006年09月29日 | |
在庫枚数 | 1位登録者: | 2位登録者: |
8枚 | 0人 | 0人 |
収録時間:
108分
字幕:
音声:
1:ドルビーデジタル//英語
2:ドルビーデジタル//日本語
3:ドルビーデジタル//英(解説)
レイティング:
記番:
DLR65170
レンタル開始日:
2006年09月29日
在庫枚数
8枚
1位登録者:
0人
2位登録者:
0人
約35,500
タイトル以上
国内ドラマも一部含まれております
約5,400
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中野翠と石川三千花のシネ・エッセイで、「官能的なラブシーンが心に残る映画」として紹介されていた本作。中野翠さんご推奨がこちらで、石川三千花さんは「マリアの恋人」(84)を紹介されていました。どちらも欲求不満で悶々の若妻が主人公、なんて下品な言い方をするとまるでポルノだけど、そうなんだよな、結局、人の悲しさってこういうことなんだよなと思う。人間って愚かで下世話なイキモノだもん。
な〜んとなく「奇跡の海」(98)とカブるのですね。舞台がどちらもケルト諸国だし(「奇跡の海」はスコットランド、「ライアンの娘」はアイルランド)、幸福な結婚をしたハズの若妻がインモラルな道に陥って、村人たちから憎まれるというストーリーとか。なんとヒロインの顔も似てる。エミリー・ワトソンとサラ・マイルズは、どちらもビミョーにおっかさんフェイス。
違うのは「奇跡の海」のベスは夫を深く深く愛していたけど、ライアンの娘ローズはそうではなかったということ。その点でなかなか共感を得にくいヒロイン像ではありますが、業の深い自分などは、こういう、人の「どうしようもなさ」に心がチクチクします。
理性のブレーキが効かないというか、そもそも「ブレーキをかけることに何の意味があるの?」というような無意識の情熱を秘めているローズ。結婚前に神父とセックスについて語り合うのですね。彼女はその行為によって自分が劇的な変化をとげるのではないかと期待している。確か「翼を手に入れる」みたいなこと言ってた気がしますが、ウム、それはどうだかね。
ま、ともかく、大好きだった先生、チャールズ(ロバート・ミッチャム)は、彼女の方から積極的にアプローチして強引にゲットした男だったのだけど、早い話、翼をくれなかったんです。初夜もなんか、ささっとしてました。ベッドインしたときに、洋服かけからドレスがパサッと落ちると、わざわざベッドから出てって拾ってかけ直すウザッたさよ。彼女と合うわけないのだな。
実際の結婚生活で、少しずつ失望を感じていくローズ。夫の趣味はクラッシック音楽鑑賞とガーデニングだもんな。新婚間も無い静かな夕べ、今日も今日とてダンナは押し花作りに夢中。(たぶん)庭から摘んできた花を分厚い本に挟んでバン!だって。こういう描写が上手いですねぇ。あのバン!は結婚生活が崩壊のスタートをきったBANG!だったのかも。
そんな折にイギリス軍将校ドリアン少佐(クリストファー・ジョーンズ)という影のある男が彼女の前に現れる。かなりトートツに恋に落ちる2人。戦場で心の傷を負ったこの男は、ローズの前でそういう脆さを見せるのですね。分別臭く高みから自分を庇護しているような夫とは明かに違う。たぶん、ローズにとっては「求められている実感」があったのだなぁ。この人、彼女の胸に顔をうずめちゃうんだもん。なんか、女ってそういうのに弱いとこある・・・と思う。
で、当然のごとく悲劇に転がっていくのですが、ここに反英独立闘争のエピソードが絡んできて、独立運動を支援する村人の結束が、一人の女性に対する暴挙へと転換していく様が、これまた人間の暗部をさらけ出していてキリキリと心が痛む。
知的障害者のマイケルという中年男(ジョン・ミルズはこれでアカデミー賞を獲ったそうです)の存在も忘れられない。彼は口がきけないのだけど、すべてを見て、すべてを白日に晒す役割を担っている。ちょっと『人間失格』に出てくる竹一という少年を思い起こさせるのですね。主人公が道化を演じて鉄棒からわざと落ちたときに「ワザ、ワザ」とささやき、主人公を震撼させる子。主人公は彼のことを「すべてを見抜く神」と恐れるのです。
この作品のマイケルもまた、「すべてを見抜く神」だったのかもしれない。ローズも少佐も、彼の行為によって裁かれることになるのだから。そして、マイケルがいつも神父と共に行動しているのも、そういう暗喩のような気がする。
ラストも「奇跡の海」とは真逆で“救済”はないのだけど、だからこそ、自分の力で這い上がる、人が持っている底力、再生しようとする本能みたいなものを感じさせてくれた。
秋の夜長に堪能したい人間ドラマです。今どきのハリウッド作品の軽さに比べたらカロリー多め、でもちゃんと栄養あるから良いでしょう。娯楽に関しちゃメタボで結構ざんす。
このレビューは気に入りましたか? 16人の会員が気に入ったと投稿しています
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☆物語
戦争中、前線とは遠く離れたアイルランドの小さな村が舞台となる。
村酒場の赤鼻な主ライアンの娘ロージーが主人公。彼女はかつて自分を教えてくれたくたびれた中年教師(妻を亡くしている)にあこがれをもっていて、その延長から積極的に彼にアプローチし結婚までこぎつける。しかし、教師の妻というとりたてて不自由の無い生活のかわり、精神的な充足感の欠乏に悲しいくらい不満を抱くようになっていた。
そこへ、イギリス軍で、前線で足を悪くした少佐が左遷されたかのように、この村の駐屯地に配属されてくる。
彼はライアンの酒場にいき、留守番でいたロージーと出会う。彼は戦場のトラウマをもっていて、居合わせた知的障害の下僕マイケルが繰り出すリズミカルな靴音に戦場を思い出し、体が震えだす。しまいにはがくがくと立ってられないぐらいに自らの制御が利かず床へ倒れてしまう。そんな弱い彼の一面にロージーは吸い寄せられるようキスをし抱擁を交わす。それからの二人は浜辺や森で何度も密会を重ね、互いの不足を補うように求め合い、愛し合う。そんな二人に夫は気づいてしまう。小さいな村だ。村人達もロージーの不貞を知ることになる。子供達も彼女に冷たくなった。
村の英雄が反逆的な事件を起こす。少佐は彼を一発だけ撃つ。ロージーは少佐に英雄の隠密行動を密告したかどで、村人からリンチを受ける。女の命である髪をずたずたに切られ、服を剥ぎ取られ。夫は体を張ってかばおうとしたが…
浜にちらかった弾薬を下僕が集めていて、少佐に見せる。一人きりになった少佐は、夕日が完全沈むのを待って、爆弾に着火し自殺する。
夫とロージーは村を追われるように出て行く。ロージーを叱咤しつつ、暖かく見守ってきた村唯一の神父と下僕が二人を見送る。
☆aiai's eye
とにかくアイルランドの浜辺が美しい。一度行ってみたい。
役者は名優ぞろいだが特に印象的だったのは、下僕役のマイケル。一言もセリフ無しに表情だけで、物悲しさまで表現した。
映画自体は、軽快な音楽とともに幕開けし、楽しい予感でスタートするが、後半は暗くどうにも救いが無い感じで終わる。不貞の顛末を悲惨に描くというのは、伝統保守主義の教条的な匂いが漂い、あまり好きな持っていきかたではない。しかし反面、少佐とロージーの濃厚なラブシーンは不貞という負のイメージを払拭させたいとしか思えないほど、一見アンマッチなアイルランドのすばらしい自然を背景に撮っている。このあたりが監督の二面性を垣間見るようでもあった。これほど世の中に不倫が横行している時代から見るとさほどでもないが、逆にあの時代にあれだけストレートに描いたという点は評価できるかもしれない。
2枚組みで途中休憩がある長い作品だが、少佐の描きかたが短い気がする。少佐にはかなり効果的なシーンが用意されているので映画的には十分かもしれないが、物語としてはちょっと弱い。だから少佐が自殺するあたりがブラックホールになっていて、ロージーの心理描写がどう揺れているか掴みづらかった。
2枚目の特典映像は貴重。いろんな製作秘話がたくさんです。
このレビューは気に入りましたか? 11人の会員が気に入ったと投稿しています
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
デビット・リーン全作踏破中。
タイトルは一発ボケをかまさせて戴きました。
この映画は宗教色の濃い「宗教がこんなに生きる事に日々係わっているのだ」とびっくりさせられるような映画だ。「宗教とは、ゴッドの存在とは、カトリックの人々にはそんなに強く生きる事を支配しているものなのだ」と衝撃を受けざるを得ない映画だと思える。この映画ではキリスト教や教会はなにかの喩えではなく、それそのものとして存在している。
早く言うと、不倫の映画である。人はなぜ不倫するか、というのも大きなテーマで私はその答えを持っているがこの映画の焦点は「なぜ」ではないのでここでは述べない。
主人公はサラ・マイルズ。妖艶でもない普通のアイルランドの田舎の年頃の娘である。それが、事もあろうに不倫の主役である。これだけで十分衝撃的だ。「こんな人が不倫をしてしまうんだ!」状態。
ところで、セックスとは何か、をここで論じる必要があるので論じる。地球上の生物は例外無く自分のDNAを残そうとしている。その手段がセックスである。(原生生物とか雌雄一体の生物とか細かい話は今は省く) 我々はセックスをするために生まれ、セックスをして死ぬのである。しかし、セックスの目的がDNAを残すためだと意識してセックスはしていない。本能でセックスしているだけだ。
話は飛ぶが、ドイツのアウトバーンの出口は、半径の小さい急カーブになっている。フランスから来た日本企業のパリ駐在員が初めてアウトバーンの出口に差し掛かったときこう言った。
「わーなんでこんな急カーブ作るんだ?危ないじゃないかったくドイツ人は」
彼はドイツ人の事を分かっていなかった。
アウトバーンの出口が急カーブになっているのは、高速のまま一般道に出ないように強制的に速度を落とさせる為の手段なのである。ドイツで車の教習所に通えば、高速の出口は60Km制限だという事は習っているし、道路が急カーブになっていることも実地教習で見ている。これで速度オーバーする車はゼロなのである。あの急カーブを100Km超でそのまま曲がる事はシューマッハでもできない。【日本で同様にスピード違反で困っている地区で、速度標識を5メートル置きに10本くらい立てた道路を見た事があるがドイツ人はそんなことしない。ドイツ人は道路を曲げる】
何が言いたいかと言うと、人間がセックスする目的は我々には本当の所は分かっていないという事である。本能はどうしてあるのか? なぜそんな本能があるのか?
本能はゴッドが人間に組み込んだものである。そして、その目的がある筈である。愚かな人間にはゴッドの意図がまだ分からないだけなのだ。「目的を達成させる為に当人がどうしても従わなくてはならない仕組みを組み込む」セックスが快感なのはその為である。高速の出口を曲げるのもその為である。ゴッドとドイツ人はビヘイビアが似ている。
支配者である英国軍人と逢引の約束を取り付けるシーン、ロージーはゆりの花に囲まれている。ゆりの花言葉はpurity。「純潔」である。ゆりの花が黄色い花粉に汚れている。ゆりだってセックスするのだ。ゆりの開いている花と、まだ閉じている固くて太い蕾が対になって、画面に大写しになる。エロスだ。ここはもちろん○ニスと(テニスではない)××××の暗示である。純潔とは処女の事ではない。ゴッドの意思に沿っているという意味である。彼女はゴッドの与えた本能のままに生きている。
家に帰るとドレスが黄色い花粉で汚れているのを夫に見咎められる。もちろんこの花粉は○ーメンの暗喩である。(ラーメンではない)
そして、森の中のセックスシーン。美し過ぎる。涙出る。自然と一体なのだ。映るのは、仲良くなった二頭の馬、クモの糸二本、種を飛ばしているタンポポが二本、芽を出したゼンマイが二本。みんな、それと知らずまま、ゴッドの御意思に従って生命を紡いでいるのである。ロージーも同じなのだ。だらしない女なのではない。ピュア、あまりにピュアな女性なのである。
聖人は生きている間に民衆に理解された人は少ない。みんな信ずる所に従った為に受難の人生を送っている。ロージーは追放されるが、神父から「聖パトリックの遺品」をもらう。「本物かどうか疑わしいけど(ダウト)」と神父は言う。バスに乗る二人に「別れるのか?」と神父は訊く。「そうは思わない(ダウト)」と神父は言う。神父は「ダウト」をプレゼントしたのである。
こんなに宗教が組み込まれている映画とは知らなかった。重たい映画だ。私は傑作だと思う。
このレビューは気に入りましたか? 8人の会員が気に入ったと投稿しています
入力内容に誤りがあります。
内容をご確認のうえ、修正いただきますようお願いいたします。
ユーザーレビュー:21件
投稿日
2008/09/20
レビュアー
ポッシュ(卒業)※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
中野翠と石川三千花のシネ・エッセイで、「官能的なラブシーンが心に残る映画」として紹介されていた本作。中野翠さんご推奨がこちらで、石川三千花さんは「マリアの恋人」(84)を紹介されていました。どちらも欲求不満で悶々の若妻が主人公、なんて下品な言い方をするとまるでポルノだけど、そうなんだよな、結局、人の悲しさってこういうことなんだよなと思う。人間って愚かで下世話なイキモノだもん。
な〜んとなく「奇跡の海」(98)とカブるのですね。舞台がどちらもケルト諸国だし(「奇跡の海」はスコットランド、「ライアンの娘」はアイルランド)、幸福な結婚をしたハズの若妻がインモラルな道に陥って、村人たちから憎まれるというストーリーとか。なんとヒロインの顔も似てる。エミリー・ワトソンとサラ・マイルズは、どちらもビミョーにおっかさんフェイス。
違うのは「奇跡の海」のベスは夫を深く深く愛していたけど、ライアンの娘ローズはそうではなかったということ。その点でなかなか共感を得にくいヒロイン像ではありますが、業の深い自分などは、こういう、人の「どうしようもなさ」に心がチクチクします。
理性のブレーキが効かないというか、そもそも「ブレーキをかけることに何の意味があるの?」というような無意識の情熱を秘めているローズ。結婚前に神父とセックスについて語り合うのですね。彼女はその行為によって自分が劇的な変化をとげるのではないかと期待している。確か「翼を手に入れる」みたいなこと言ってた気がしますが、ウム、それはどうだかね。
ま、ともかく、大好きだった先生、チャールズ(ロバート・ミッチャム)は、彼女の方から積極的にアプローチして強引にゲットした男だったのだけど、早い話、翼をくれなかったんです。初夜もなんか、ささっとしてました。ベッドインしたときに、洋服かけからドレスがパサッと落ちると、わざわざベッドから出てって拾ってかけ直すウザッたさよ。彼女と合うわけないのだな。
実際の結婚生活で、少しずつ失望を感じていくローズ。夫の趣味はクラッシック音楽鑑賞とガーデニングだもんな。新婚間も無い静かな夕べ、今日も今日とてダンナは押し花作りに夢中。(たぶん)庭から摘んできた花を分厚い本に挟んでバン!だって。こういう描写が上手いですねぇ。あのバン!は結婚生活が崩壊のスタートをきったBANG!だったのかも。
そんな折にイギリス軍将校ドリアン少佐(クリストファー・ジョーンズ)という影のある男が彼女の前に現れる。かなりトートツに恋に落ちる2人。戦場で心の傷を負ったこの男は、ローズの前でそういう脆さを見せるのですね。分別臭く高みから自分を庇護しているような夫とは明かに違う。たぶん、ローズにとっては「求められている実感」があったのだなぁ。この人、彼女の胸に顔をうずめちゃうんだもん。なんか、女ってそういうのに弱いとこある・・・と思う。
で、当然のごとく悲劇に転がっていくのですが、ここに反英独立闘争のエピソードが絡んできて、独立運動を支援する村人の結束が、一人の女性に対する暴挙へと転換していく様が、これまた人間の暗部をさらけ出していてキリキリと心が痛む。
知的障害者のマイケルという中年男(ジョン・ミルズはこれでアカデミー賞を獲ったそうです)の存在も忘れられない。彼は口がきけないのだけど、すべてを見て、すべてを白日に晒す役割を担っている。ちょっと『人間失格』に出てくる竹一という少年を思い起こさせるのですね。主人公が道化を演じて鉄棒からわざと落ちたときに「ワザ、ワザ」とささやき、主人公を震撼させる子。主人公は彼のことを「すべてを見抜く神」と恐れるのです。
この作品のマイケルもまた、「すべてを見抜く神」だったのかもしれない。ローズも少佐も、彼の行為によって裁かれることになるのだから。そして、マイケルがいつも神父と共に行動しているのも、そういう暗喩のような気がする。
ラストも「奇跡の海」とは真逆で“救済”はないのだけど、だからこそ、自分の力で這い上がる、人が持っている底力、再生しようとする本能みたいなものを感じさせてくれた。
秋の夜長に堪能したい人間ドラマです。今どきのハリウッド作品の軽さに比べたらカロリー多め、でもちゃんと栄養あるから良いでしょう。娯楽に関しちゃメタボで結構ざんす。
投稿日
2006/10/06
レビュアー
aiai※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
☆物語
戦争中、前線とは遠く離れたアイルランドの小さな村が舞台となる。
村酒場の赤鼻な主ライアンの娘ロージーが主人公。彼女はかつて自分を教えてくれたくたびれた中年教師(妻を亡くしている)にあこがれをもっていて、その延長から積極的に彼にアプローチし結婚までこぎつける。しかし、教師の妻というとりたてて不自由の無い生活のかわり、精神的な充足感の欠乏に悲しいくらい不満を抱くようになっていた。
そこへ、イギリス軍で、前線で足を悪くした少佐が左遷されたかのように、この村の駐屯地に配属されてくる。
彼はライアンの酒場にいき、留守番でいたロージーと出会う。彼は戦場のトラウマをもっていて、居合わせた知的障害の下僕マイケルが繰り出すリズミカルな靴音に戦場を思い出し、体が震えだす。しまいにはがくがくと立ってられないぐらいに自らの制御が利かず床へ倒れてしまう。そんな弱い彼の一面にロージーは吸い寄せられるようキスをし抱擁を交わす。それからの二人は浜辺や森で何度も密会を重ね、互いの不足を補うように求め合い、愛し合う。そんな二人に夫は気づいてしまう。小さいな村だ。村人達もロージーの不貞を知ることになる。子供達も彼女に冷たくなった。
村の英雄が反逆的な事件を起こす。少佐は彼を一発だけ撃つ。ロージーは少佐に英雄の隠密行動を密告したかどで、村人からリンチを受ける。女の命である髪をずたずたに切られ、服を剥ぎ取られ。夫は体を張ってかばおうとしたが…
浜にちらかった弾薬を下僕が集めていて、少佐に見せる。一人きりになった少佐は、夕日が完全沈むのを待って、爆弾に着火し自殺する。
夫とロージーは村を追われるように出て行く。ロージーを叱咤しつつ、暖かく見守ってきた村唯一の神父と下僕が二人を見送る。
☆aiai's eye
とにかくアイルランドの浜辺が美しい。一度行ってみたい。
役者は名優ぞろいだが特に印象的だったのは、下僕役のマイケル。一言もセリフ無しに表情だけで、物悲しさまで表現した。
映画自体は、軽快な音楽とともに幕開けし、楽しい予感でスタートするが、後半は暗くどうにも救いが無い感じで終わる。不貞の顛末を悲惨に描くというのは、伝統保守主義の教条的な匂いが漂い、あまり好きな持っていきかたではない。しかし反面、少佐とロージーの濃厚なラブシーンは不貞という負のイメージを払拭させたいとしか思えないほど、一見アンマッチなアイルランドのすばらしい自然を背景に撮っている。このあたりが監督の二面性を垣間見るようでもあった。これほど世の中に不倫が横行している時代から見るとさほどでもないが、逆にあの時代にあれだけストレートに描いたという点は評価できるかもしれない。
2枚組みで途中休憩がある長い作品だが、少佐の描きかたが短い気がする。少佐にはかなり効果的なシーンが用意されているので映画的には十分かもしれないが、物語としてはちょっと弱い。だから少佐が自殺するあたりがブラックホールになっていて、ロージーの心理描写がどう揺れているか掴みづらかった。
2枚目の特典映像は貴重。いろんな製作秘話がたくさんです。
投稿日
2009/12/01
レビュアー
bokensdorf※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
デビット・リーン全作踏破中。
タイトルは一発ボケをかまさせて戴きました。
この映画は宗教色の濃い「宗教がこんなに生きる事に日々係わっているのだ」とびっくりさせられるような映画だ。「宗教とは、ゴッドの存在とは、カトリックの人々にはそんなに強く生きる事を支配しているものなのだ」と衝撃を受けざるを得ない映画だと思える。この映画ではキリスト教や教会はなにかの喩えではなく、それそのものとして存在している。
早く言うと、不倫の映画である。人はなぜ不倫するか、というのも大きなテーマで私はその答えを持っているがこの映画の焦点は「なぜ」ではないのでここでは述べない。
主人公はサラ・マイルズ。妖艶でもない普通のアイルランドの田舎の年頃の娘である。それが、事もあろうに不倫の主役である。これだけで十分衝撃的だ。「こんな人が不倫をしてしまうんだ!」状態。
ところで、セックスとは何か、をここで論じる必要があるので論じる。地球上の生物は例外無く自分のDNAを残そうとしている。その手段がセックスである。(原生生物とか雌雄一体の生物とか細かい話は今は省く) 我々はセックスをするために生まれ、セックスをして死ぬのである。しかし、セックスの目的がDNAを残すためだと意識してセックスはしていない。本能でセックスしているだけだ。
話は飛ぶが、ドイツのアウトバーンの出口は、半径の小さい急カーブになっている。フランスから来た日本企業のパリ駐在員が初めてアウトバーンの出口に差し掛かったときこう言った。
「わーなんでこんな急カーブ作るんだ?危ないじゃないかったくドイツ人は」
彼はドイツ人の事を分かっていなかった。
アウトバーンの出口が急カーブになっているのは、高速のまま一般道に出ないように強制的に速度を落とさせる為の手段なのである。ドイツで車の教習所に通えば、高速の出口は60Km制限だという事は習っているし、道路が急カーブになっていることも実地教習で見ている。これで速度オーバーする車はゼロなのである。あの急カーブを100Km超でそのまま曲がる事はシューマッハでもできない。【日本で同様にスピード違反で困っている地区で、速度標識を5メートル置きに10本くらい立てた道路を見た事があるがドイツ人はそんなことしない。ドイツ人は道路を曲げる】
何が言いたいかと言うと、人間がセックスする目的は我々には本当の所は分かっていないという事である。本能はどうしてあるのか? なぜそんな本能があるのか?
本能はゴッドが人間に組み込んだものである。そして、その目的がある筈である。愚かな人間にはゴッドの意図がまだ分からないだけなのだ。「目的を達成させる為に当人がどうしても従わなくてはならない仕組みを組み込む」セックスが快感なのはその為である。高速の出口を曲げるのもその為である。ゴッドとドイツ人はビヘイビアが似ている。
支配者である英国軍人と逢引の約束を取り付けるシーン、ロージーはゆりの花に囲まれている。ゆりの花言葉はpurity。「純潔」である。ゆりの花が黄色い花粉に汚れている。ゆりだってセックスするのだ。ゆりの開いている花と、まだ閉じている固くて太い蕾が対になって、画面に大写しになる。エロスだ。ここはもちろん○ニスと(テニスではない)××××の暗示である。純潔とは処女の事ではない。ゴッドの意思に沿っているという意味である。彼女はゴッドの与えた本能のままに生きている。
家に帰るとドレスが黄色い花粉で汚れているのを夫に見咎められる。もちろんこの花粉は○ーメンの暗喩である。(ラーメンではない)
そして、森の中のセックスシーン。美し過ぎる。涙出る。自然と一体なのだ。映るのは、仲良くなった二頭の馬、クモの糸二本、種を飛ばしているタンポポが二本、芽を出したゼンマイが二本。みんな、それと知らずまま、ゴッドの御意思に従って生命を紡いでいるのである。ロージーも同じなのだ。だらしない女なのではない。ピュア、あまりにピュアな女性なのである。
聖人は生きている間に民衆に理解された人は少ない。みんな信ずる所に従った為に受難の人生を送っている。ロージーは追放されるが、神父から「聖パトリックの遺品」をもらう。「本物かどうか疑わしいけど(ダウト)」と神父は言う。バスに乗る二人に「別れるのか?」と神父は訊く。「そうは思わない(ダウト)」と神父は言う。神父は「ダウト」をプレゼントしたのである。
こんなに宗教が組み込まれている映画とは知らなかった。重たい映画だ。私は傑作だと思う。
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ライアンの娘