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『ドン・キホーテ』を下敷きに、街をパズルにして展開する冒険活劇。女マリーは刑務所を出たばかりの元テロリストで、永い監獄暮らしのせいで閉所恐怖症、屋外で寝ている。ふとしたことから彼女と知り合ったバチストは、恋人との連絡役を引き受ける。しかしそこから、パリの街を双六に見立てた、秘密の地図に従っての謎解きゲームが始まる……。
製作年: |
1981年 |
---|---|
製作国: |
フランス |
原題: |
LE PONT DU NORD |
監督: |
ジャック・リヴェット |
---|---|
製作: |
バーベット・シュローダー 、 ジャン=ピエール・マオ |
製作総指揮: |
マルティーヌ・マリニャック |
出演: |
ビュル・オジェ 、 パスカル・オジエ 、 ピエール・クレマンティ 、 ジャン=フランソワ・ステヴナン |
脚本: |
シュザンヌ・シフマン 、 ジェローム・プリウール 、 ビュル・オジェ 、 シュザンヌ・シフマン 、 ジャック・リヴェット |
撮影: |
ウィリアム・リュプチャンスキー 、 ウィリアム・ルプシャンスキー 、 カロリーヌ・シャンプティエ |
音楽: |
アストル・ピアソラ |
『ドン・キホーテ』を下敷きに、街をパズルにして展開する冒険活劇。女マリーは刑務所を出たばかりの元テロリストで、永い監獄暮らしのせいで閉所恐怖症、屋外で寝ている。ふとしたことから彼女と知り合ったバチストは、恋人との連絡役を引き受ける。しかしそこから、パリの街を双六に見立てた、秘密の地図に従っての謎解きゲームが始まる……。
製作年: |
1981年 |
---|---|
製作国: |
フランス |
原題: |
LE PONT DU NORD |
監督: |
ジャック・リヴェット |
---|---|
製作: |
バーベット・シュローダー 、 ジャン=ピエール・マオ |
製作総指揮: |
マルティーヌ・マリニャック |
出演: |
ビュル・オジェ 、 パスカル・オジエ 、 ピエール・クレマンティ 、 ジャン=フランソワ・ステヴナン |
脚本: |
シュザンヌ・シフマン 、 ジェローム・プリウール 、 ビュル・オジェ 、 シュザンヌ・シフマン 、 ジャック・リヴェット |
---|---|
撮影: |
ウィリアム・リュプチャンスキー 、 ウィリアム・ルプシャンスキー 、 カロリーヌ・シャンプティエ |
音楽: |
アストル・ピアソラ |
収録時間: | 字幕: | 音声: |
---|---|---|
124分 | 日本語 | 1:ドルビーデジタル/モノラル/フランス語 |
レイティング: | 記番: | レンタル開始日: |
COBM5548 | 2007年12月19日 | |
在庫枚数 | 1位登録者: | 2位登録者: |
5枚 | 0人 | 1人 |
収録時間:
124分
字幕:
日本語
音声:
1:ドルビーデジタル/モノラル/フランス語
レイティング:
記番:
COBM5548
レンタル開始日:
2007年12月19日
在庫枚数
5枚
1位登録者:
0人
2位登録者:
1人
DVD
収録時間: | 字幕: | 音声: |
---|---|---|
124分 | 日本語 | 1:ドルビーデジタル/モノラル/フランス語 |
レイティング: | 記番: | レンタル開始日: |
COBM5548 | 2007年12月19日 | |
在庫枚数 | 1位登録者: | 2位登録者: |
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収録時間:
124分
字幕:
日本語
音声:
1:ドルビーデジタル/モノラル/フランス語
レイティング:
記番:
COBM5548
レンタル開始日:
2007年12月19日
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映画って何だろう。かつてゴダールは女と車とがあれば映画はできるとうそぶいた(らしい)。事実、彼の長編デビュー作である『勝手にしやがれ』は女と車とを最大に活用した映画だったし、ヌーヴェル・ヴァーグの胎動を準備したロッセリーニの『イタリア旅行』だって、まさしく女と車との映画だった。だが、この言葉はゴダール一流の諧謔と受け取るだけではなく、映画の本質をずばり言い当てた箴言としても理解できるものだと思う。すなわち、題材を問わず実は何だって映画になるのだ、と。
しかし、ゴダールが上記の言葉を吐いた1960年前後においては「何でも映画になる」と言う提言は妄言かアイロニーとしてしか一般的には受け取られず、その状況は今日においても基本的には変わっていない。かといって別に誰かがゴダールの発言を明確かつ徹底的に論破した訳ではないのだが、映画は伝えるべき物語やテーマがある(べきだ)という「絶対的な原理」が頑迷なまでに浸透しきっており、その「信仰」が「何でも映画になる」と言う本来原理的なはずの映画の原点を頑なに拒否しているのだ。
もちろん、物語を楽しんだりこそで提示されているテーマなるものに思いを馳せるのも映画の楽しみの一つだと思うし、それにふさわしい作品だってあると思う。でも、被写体にカメラを向け、ショットをつなぎ合わせてシークエンス(シーン)を構成し、それが一つの繋がりとなることがすなわち映画作品であると言う原理自体は、物語の筋や直接的かつ直線的なテーマには収まらないはずの多くのものをもたらすはずなのだと思う。
ストローブ=ユイレの作品を彷彿させるパノラミック・ショットから始まる『北の橋』は、「何だって映画になる」ことを感じさせてくれる自由な感覚に満ち溢れた幸せな作品だ。イントロダクションにあるように一応謎解き的な物語構成が成されており、サスペンス風味と言えないことは無いとは思うが、これらはアリバイ的にかろうじて付けられた要素に過ぎず、こうした予定調和的な物語要素を期待するとものの5分とたたぬうちに退屈さという手痛いしっぺ返しを受けることになるだろう。そうではなくて、通常の映画のルールを取り敢えず忘れ去り、nekoさんの素敵なレビューに記されている通り「パリの廃墟を歩き回るような楽しさ」を表層的かつ無責任に味わうのが本作の愉しみ方と言えるだろう。そしてその体験は、例えばジャン=ピエール・ジュネのような単なる意匠の目新しさに過ぎない皮相的なものとは根本的に異なった、本質的な新しさをもたらしてくれるはずだ。
とは言うものの私自身が実はそうであるように、物語に捕らわれた者にとって物語から離れ自由に振る舞うことほど難しいことはない。物語から離れて自由になることに思いめぐらせるのはそれこそ物語的なことに他ならないのだから、本作のような「手強い作品」については理屈抜きに二回、できれば続けて観ることをお薦めする。一度目は何のかんのと言いながら訳の分からない物語の筋を追うことになると思うが、二度目にはこの作品に接する勘所のようなものが掴めてくると思うので、その時に(恐らくは)本作が一切照明を用いず自然光で撮影されていることの意味や意義(これこそがallcimena ONLINEで本作を「最も純粋に映画的なオール・ロケによる作品」と評している真の意味なのだ)を感じ取ることができるだろうし、二人が階段や廃線の上を歩きながら語り合うシークエンスの美しさを味わうことができるだろうし、これまたnekoさんのご指摘通り「どうしようもなく可笑しいラスト」シークエンスとその後に続くファーストショットと対を成すパノラミック・ショットに途方もない感動を味わえると(いいなと)思う。
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昨年発売された、DVD-BOXで再見。同梱の「セリーヌとジュリーは舟でゆく」「彼女たちの舞台」の何れも傑作に値するので随分と悩んだが、此方をレビューしたい。
ヌーヴェル・ヴァーグの作風を推し進めたエクスペリメントな感性が素晴らしく、徹頭徹尾オール・ロケに徹した作劇に監督の強い意志も垣間見える。初見は「アメリ」にタッチが似てると感じたが、再見後もサスペンスよりファンタジーの要素が強い事は、揺ぎ無い。
この起承転結を「是」とするHollywoodとは真逆なセンテンスは、フランス映画の一つの到達点と言える佇まいを見せる。物語とは理屈でなく感性だ、と監督は強く語り掛ける。
Jacques Rivette監督と言えば、「美しき諍い女」で有名。文字通りキャンバスに描く、油絵の如き演出が絶賛されたが、一つだけ難点が有るとすれば監督の作品はどれも長い(笑)。
「美しき諍い女」のオリジナルが4時間で驚いてちゃダメ。本作と同じBulle Ogier主演「Out1、Noli me tangere」は、12時間40分と超!長尺。監督は基本的に台本を用いず、即興的な演劇手法が特徴だが、本作はその典型と言える。
因みに、お薦めの3作品の中では本作が一番短い。
物語のベースは「ドン・キホーテ」で、パリの街を双六に見立てたサスペンスが骨子だが、其処にHollywoodの様なスリラーを求めては×。
「アメリ」がクローズドな迷宮を描いたのと同じく、オール・ロケの本作も基本的には人間のラビリンスをシュールに描く。作為を感じない自然な演出は、不思議な魅力と魔力で支配される。
この個性の強い演出に虜に成るか、斜に構えて揶揄と見るかは其々ですが、私は一見突き放した感の有る手法も、フランスらしくて好きだ。
主演のBulle OgierとPascale Ogierの親子も見所(全然似てない)。残念ながら公開後の1984年に他界され、これが最初で最後の共演。個性的な女優が紡ぎ出す、不条理物語は忘れられないモーメントを残してくれる。
本編に花を添える、Astor Piazzollaの音楽も素晴らしい。日本でお馴染みのフレーズも有るが、この音楽の秀逸さで監督が映し出すParisの風情が、どの映画とも違う佇まいに感じる。
団体旅行で駆け足で見るParisの情景では無く、日本と違う時間の揺らぎを味わう・・・これは滅多にお目に掛かれない。
本作はHollywoodなら「不条理サスペンス」のカテゴリーに該当するが、本質は全然違う。肝心の双六事の辻褄や結末は、正直どうでもいい話(笑)。
脚本や演出を「理解」しようとしても、それはフランス映画のお決まりで無駄な努力。物語に素直に身を委ね、自由に解釈するのが正解と思う。
本作はセンシティヴな作劇で観客を翻弄する、フランス映画の一つの頂点。「理屈っぽい映画は、どうも苦手」と仰る方には是非!見て欲しい。
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これはいいですね。
バイクでぶぅ〜んと橋を渡ってくる女の子バチスト(パスカル・オジエ)。トラックの荷台に乗ってトロトロっと現れるマリー(ビュル・オジエ)。バチストがバイクで道路をぐるぐる回る時の気持ち良さは、カイヨワの“遊びの分類”で言う「イリンクス」(眩暈)に近い気がする。この後、マリーとぶつかって転倒してバイクが壊れてしまうのだが、ここから2人はず〜っとパリの街を歩き回ることになる。帰る場所もなく野宿したり他人の車で寝たりして、この起点も終点もなくひたすらフラフラと移動を繰り返す様が、冒頭のバイクのぐるぐる感とシンクロしていた気がする。
謎の地図を手に入れた2人は、怪しい男たちに狙われたり殺人事件に出くわしたりとサスペンスの要素はいろいろ出てくるものの、その辺はゆる〜くハズされて、起点から終点に向かう“物語”という枠組は取っ払われている。nekoさんが評されている通り「どこから来てどこへ行くの?」というバチストの問いかけが映画そのものなのだろう。閉ざされた空間でのシーンが見事なまでに一つもない、どこまでもオープンな空気が広がっている画(え)。階段を昇ったり降りたり、線路の上を奥から手前に歩いてきたりと主人公2人の動きもとても映画的だが、人物の後ろで電車がナナメに入ってきたり出ていったり、人物の横の川面を「アタラント号」みたいな船がどよ〜んと前進してきたりと、いろんなモノがカメラの前で動く、というかカメラがそれらを意図的に捕えているのも何やらゾクゾクした。映画はモーション・ピクチャー、動く絵、ですもんね。カプチーノさんが感動されていた「おばあちゃんトコトコ」もたぶん偶然なんでしょうけど、こういう奇跡的な瞬間がフィルムに刻印され、その目撃者になれるのが映画ファンの幸福です。
バチスト役のパスカル・オジエは、20年近く前に観たエリック・ロメールの「満月の夜」ではオバサン顔の印象が強かったが、この作品ではずいぶんと少女っぽくて驚いた。で、お母さんのビュル・オジエは吉田日出子に見えて仕方なかった。って、関係ないですね。・・・ジッパーの壊れたブーツをヒモでしばっちゃうんですね、この人は。現代劇でこういう靴の壊れ方ってない。ヒールが折れるんじゃなくて女性の靴がこういう風に壊れるって、アニエス・ヴァルダの「冬の旅」でサンドリーヌ・ボネールのブーツがぱこぱこになっちゃうのを思い出した。不思議と印象に残ったシーン。
レビューもどこから来てどこへ行くの?になっちゃいました。すいません。
このレビューは気に入りましたか? 9人の会員が気に入ったと投稿しています
入力内容に誤りがあります。
内容をご確認のうえ、修正いただきますようお願いいたします。
ユーザーレビュー:16件
投稿日
2007/12/24
レビュアー
parole※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
映画って何だろう。かつてゴダールは女と車とがあれば映画はできるとうそぶいた(らしい)。事実、彼の長編デビュー作である『勝手にしやがれ』は女と車とを最大に活用した映画だったし、ヌーヴェル・ヴァーグの胎動を準備したロッセリーニの『イタリア旅行』だって、まさしく女と車との映画だった。だが、この言葉はゴダール一流の諧謔と受け取るだけではなく、映画の本質をずばり言い当てた箴言としても理解できるものだと思う。すなわち、題材を問わず実は何だって映画になるのだ、と。
しかし、ゴダールが上記の言葉を吐いた1960年前後においては「何でも映画になる」と言う提言は妄言かアイロニーとしてしか一般的には受け取られず、その状況は今日においても基本的には変わっていない。かといって別に誰かがゴダールの発言を明確かつ徹底的に論破した訳ではないのだが、映画は伝えるべき物語やテーマがある(べきだ)という「絶対的な原理」が頑迷なまでに浸透しきっており、その「信仰」が「何でも映画になる」と言う本来原理的なはずの映画の原点を頑なに拒否しているのだ。
もちろん、物語を楽しんだりこそで提示されているテーマなるものに思いを馳せるのも映画の楽しみの一つだと思うし、それにふさわしい作品だってあると思う。でも、被写体にカメラを向け、ショットをつなぎ合わせてシークエンス(シーン)を構成し、それが一つの繋がりとなることがすなわち映画作品であると言う原理自体は、物語の筋や直接的かつ直線的なテーマには収まらないはずの多くのものをもたらすはずなのだと思う。
ストローブ=ユイレの作品を彷彿させるパノラミック・ショットから始まる『北の橋』は、「何だって映画になる」ことを感じさせてくれる自由な感覚に満ち溢れた幸せな作品だ。イントロダクションにあるように一応謎解き的な物語構成が成されており、サスペンス風味と言えないことは無いとは思うが、これらはアリバイ的にかろうじて付けられた要素に過ぎず、こうした予定調和的な物語要素を期待するとものの5分とたたぬうちに退屈さという手痛いしっぺ返しを受けることになるだろう。そうではなくて、通常の映画のルールを取り敢えず忘れ去り、nekoさんの素敵なレビューに記されている通り「パリの廃墟を歩き回るような楽しさ」を表層的かつ無責任に味わうのが本作の愉しみ方と言えるだろう。そしてその体験は、例えばジャン=ピエール・ジュネのような単なる意匠の目新しさに過ぎない皮相的なものとは根本的に異なった、本質的な新しさをもたらしてくれるはずだ。
とは言うものの私自身が実はそうであるように、物語に捕らわれた者にとって物語から離れ自由に振る舞うことほど難しいことはない。物語から離れて自由になることに思いめぐらせるのはそれこそ物語的なことに他ならないのだから、本作のような「手強い作品」については理屈抜きに二回、できれば続けて観ることをお薦めする。一度目は何のかんのと言いながら訳の分からない物語の筋を追うことになると思うが、二度目にはこの作品に接する勘所のようなものが掴めてくると思うので、その時に(恐らくは)本作が一切照明を用いず自然光で撮影されていることの意味や意義(これこそがallcimena ONLINEで本作を「最も純粋に映画的なオール・ロケによる作品」と評している真の意味なのだ)を感じ取ることができるだろうし、二人が階段や廃線の上を歩きながら語り合うシークエンスの美しさを味わうことができるだろうし、これまたnekoさんのご指摘通り「どうしようもなく可笑しいラスト」シークエンスとその後に続くファーストショットと対を成すパノラミック・ショットに途方もない感動を味わえると(いいなと)思う。
投稿日
2007/12/14
レビュアー
masamune※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
昨年発売された、DVD-BOXで再見。同梱の「セリーヌとジュリーは舟でゆく」「彼女たちの舞台」の何れも傑作に値するので随分と悩んだが、此方をレビューしたい。
ヌーヴェル・ヴァーグの作風を推し進めたエクスペリメントな感性が素晴らしく、徹頭徹尾オール・ロケに徹した作劇に監督の強い意志も垣間見える。初見は「アメリ」にタッチが似てると感じたが、再見後もサスペンスよりファンタジーの要素が強い事は、揺ぎ無い。
この起承転結を「是」とするHollywoodとは真逆なセンテンスは、フランス映画の一つの到達点と言える佇まいを見せる。物語とは理屈でなく感性だ、と監督は強く語り掛ける。
Jacques Rivette監督と言えば、「美しき諍い女」で有名。文字通りキャンバスに描く、油絵の如き演出が絶賛されたが、一つだけ難点が有るとすれば監督の作品はどれも長い(笑)。
「美しき諍い女」のオリジナルが4時間で驚いてちゃダメ。本作と同じBulle Ogier主演「Out1、Noli me tangere」は、12時間40分と超!長尺。監督は基本的に台本を用いず、即興的な演劇手法が特徴だが、本作はその典型と言える。
因みに、お薦めの3作品の中では本作が一番短い。
物語のベースは「ドン・キホーテ」で、パリの街を双六に見立てたサスペンスが骨子だが、其処にHollywoodの様なスリラーを求めては×。
「アメリ」がクローズドな迷宮を描いたのと同じく、オール・ロケの本作も基本的には人間のラビリンスをシュールに描く。作為を感じない自然な演出は、不思議な魅力と魔力で支配される。
この個性の強い演出に虜に成るか、斜に構えて揶揄と見るかは其々ですが、私は一見突き放した感の有る手法も、フランスらしくて好きだ。
主演のBulle OgierとPascale Ogierの親子も見所(全然似てない)。残念ながら公開後の1984年に他界され、これが最初で最後の共演。個性的な女優が紡ぎ出す、不条理物語は忘れられないモーメントを残してくれる。
本編に花を添える、Astor Piazzollaの音楽も素晴らしい。日本でお馴染みのフレーズも有るが、この音楽の秀逸さで監督が映し出すParisの風情が、どの映画とも違う佇まいに感じる。
団体旅行で駆け足で見るParisの情景では無く、日本と違う時間の揺らぎを味わう・・・これは滅多にお目に掛かれない。
本作はHollywoodなら「不条理サスペンス」のカテゴリーに該当するが、本質は全然違う。肝心の双六事の辻褄や結末は、正直どうでもいい話(笑)。
脚本や演出を「理解」しようとしても、それはフランス映画のお決まりで無駄な努力。物語に素直に身を委ね、自由に解釈するのが正解と思う。
本作はセンシティヴな作劇で観客を翻弄する、フランス映画の一つの頂点。「理屈っぽい映画は、どうも苦手」と仰る方には是非!見て欲しい。
投稿日
2008/01/07
レビュアー
ポッシュ(卒業)※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
これはいいですね。
バイクでぶぅ〜んと橋を渡ってくる女の子バチスト(パスカル・オジエ)。トラックの荷台に乗ってトロトロっと現れるマリー(ビュル・オジエ)。バチストがバイクで道路をぐるぐる回る時の気持ち良さは、カイヨワの“遊びの分類”で言う「イリンクス」(眩暈)に近い気がする。この後、マリーとぶつかって転倒してバイクが壊れてしまうのだが、ここから2人はず〜っとパリの街を歩き回ることになる。帰る場所もなく野宿したり他人の車で寝たりして、この起点も終点もなくひたすらフラフラと移動を繰り返す様が、冒頭のバイクのぐるぐる感とシンクロしていた気がする。
謎の地図を手に入れた2人は、怪しい男たちに狙われたり殺人事件に出くわしたりとサスペンスの要素はいろいろ出てくるものの、その辺はゆる〜くハズされて、起点から終点に向かう“物語”という枠組は取っ払われている。nekoさんが評されている通り「どこから来てどこへ行くの?」というバチストの問いかけが映画そのものなのだろう。閉ざされた空間でのシーンが見事なまでに一つもない、どこまでもオープンな空気が広がっている画(え)。階段を昇ったり降りたり、線路の上を奥から手前に歩いてきたりと主人公2人の動きもとても映画的だが、人物の後ろで電車がナナメに入ってきたり出ていったり、人物の横の川面を「アタラント号」みたいな船がどよ〜んと前進してきたりと、いろんなモノがカメラの前で動く、というかカメラがそれらを意図的に捕えているのも何やらゾクゾクした。映画はモーション・ピクチャー、動く絵、ですもんね。カプチーノさんが感動されていた「おばあちゃんトコトコ」もたぶん偶然なんでしょうけど、こういう奇跡的な瞬間がフィルムに刻印され、その目撃者になれるのが映画ファンの幸福です。
バチスト役のパスカル・オジエは、20年近く前に観たエリック・ロメールの「満月の夜」ではオバサン顔の印象が強かったが、この作品ではずいぶんと少女っぽくて驚いた。で、お母さんのビュル・オジエは吉田日出子に見えて仕方なかった。って、関係ないですね。・・・ジッパーの壊れたブーツをヒモでしばっちゃうんですね、この人は。現代劇でこういう靴の壊れ方ってない。ヒールが折れるんじゃなくて女性の靴がこういう風に壊れるって、アニエス・ヴァルダの「冬の旅」でサンドリーヌ・ボネールのブーツがぱこぱこになっちゃうのを思い出した。不思議と印象に残ったシーン。
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北の橋