めぞん一刻

この作品、マンガを映画化したものだと考えちゃダメだ。マンガや小説などを映画化した場合、原作との相違や近似性が語られ、一般的には原作に忠実であるほど評判が良く、原作が著名で人気作であるほどその傾向は強いようだが、本作品はこうした条件を前提とするなら明らかな失敗作だ。登場人物やキャラクターなどおおよその設定は原作とさほど違いはない。膨大な物語のごく一部だけを抜き出したものなので、説明不足や強引さを少なからず感じるだろうが、これはマンガ/小説を映画化した際の宿命のようなものなので、この作品に限ってと言うことではない。いや、これら基本要素が原作に忠実に従っているだけに、この作品から来る違和感が余計に強烈なものとして感じるのだ。良くあるように、映画にしか登場しない新キャラクターが出たり、映画のための独自の設定や物語があったのなら翻案ものとして割り切って観ることができたのだろうけれど・・・。

じゃあ、作品の出来が悪いのかというとそんなことはなく、それどころか本作は澤井信一郎の最高傑作だと思っている。設定や登場人物のキャラクターそして物語の筋などの基本要素は大人気マンガの映画化という制約を真正面から受け止めて、つまり映画を成立させるためのこうした必要条件から自由になって、映画的なるものに終始している様が実に美しいのだ。

確かにこの作品、一般的な感覚からすればへんてこな映画と言うことになると思う。物語はぶち切れだし、突如妙なシーンが飛び込んできたりする。原作の再現として観た場合はもちろんのこと、普通の劇作品として観た場合であっても戸惑うことだらけだろう。でも、逆な言い方をするなら、この作品には観る者の予想や期待を良い意味で裏切る新鮮な驚きと、その驚きがもたらす理屈抜きの感動があるのだ。それは、自由で奔放な映像で満たされているように感じられる『下妻物語』が、実のところテレビのフォーマットに忠実に従っていることと対比の関係にあると思う。あらかじめ想定され受け入れ可能なものを微細な差異において楽しいと感じることと、この「あらかじめ」や「受け入れ可能」と言う状態が揺るがされることから来る愉しさとの対比。

どちらが正しいなどと言うつもりは全くないが、前者だけでなく後者も享受できる方が幸せで健康的だと思う。

公開当時、映画館まで見に行き、あまりの原作との違いに驚きと失望で家に帰りました。昨年リメイクされた伊東美咲、中林大樹の方がまだマシだと感じましたが、２０年以上経っているので見る側の感性も変わっているのではないかと改めてこちらも見直してみたのですが…。やっぱりいただけません。

脚本、監督の方は、それなりに原作を解釈されてこのような作品を作られたのでしょうが、私の原作に対する思い入れが強すぎるのでしょうか？

この映画の出演者の中で私の感じた原作のイメージに近かった人は、五代君役の石黒賢さんと四谷さん役の伊部雅刀さんぐらいでした。特に伊部さんは原作者の高橋留美子先生が「四谷さんの役は伊部さんしかいない」とおっしゃっていたそうです。響子さん役の石原真理子さんは確かに美人で当時人気のあった女優さんですが、清楚で生真面目でそのくせ少々天然でといった響子さんとはタイプが違うように思います。一ノ瀬さんや朱美さんも原作のほうがもっとハジケていたと思います。映画だけのオリジナルキャストの田中邦衛さんや萬田久子さんはどうしても浮いているように見えます。

この映画の公開時には既にテレビアニメも始まっていて、それがかなり原作のイメージに合っていて、そんな時にこの映画版を見たので余計に違和感を感じたのでしょう。そういえばテレビアニメで１話だけこの映画で使っていたギルバートオサリバンの「アローンアゲイン」と「ゲットダウン」をオープニングとエンディングにも使っていました。多分、映画の宣伝という意味もあったのでしょう。

「めぞん一刻」は、原作のストーリー、人物設定など、全てが完璧な作品だと思います。だからヘタに脚色など加えずドラマでも映画でも原作どおり作っただけでも充分に見応えのあるものになると思います。今後もし、実写版を作るのでしたら原作どおり、それこそセリフの一言一言に至るまで忠実に作ってください！！それが３０年「めぞん一刻」を愛してきたファンからのお願いです。

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あの、ラブコメディの名作、「めぞん一刻」の実写映画。
ファンはたくさんいて、当時、男どもは「響子さん、好きじゃー！」と叫んだものだ。
かく言う、僕も、そのファンの一人。
リアルタイムでは読んでないものの、テレビアニメと原作でメロメロになったものだ。
で、この映画、１９８６年ではまだアニメ化はされていないから、もちろんターゲットは原作ファンだろう。
映画も通して見たところ、原作を読んでないと、いまいちわかりにくいように思う。
でも、原作ファンの一人として言わせてもらえば、なんだか、素直に喜べん映画だ。

お話自体は、原作の流れをなぞりながらも、そこに謎の男と女を絡め、一応、オリジナルストーリーになっている。
この謎の男と女も、どうして絡むかと言えば、男は朱美さんに惚れていて（スナックの常連）、女は四谷さんに惚れている（！）
まぁ、僕としてはこっちの話は蛇足。
愛だの恋だの、男女間の心の機微を語ったりしているが、どうでもいい。
あぁ、五代君と響子さんのすれ違いを見せてくれ！
原作では、五代君の妄想、響子さんの嫉妬心や、お互いの勘違い、不器用さによるすれ違いなんかで、もう、ハラハラドキドキ、ヒッチャカメッチャッカ、目が離せなかったんだけどなぁ。
映画では、そこが弱い。
響子さんが惣一郎さん一辺倒で、五代君に対する恋心なんかが感じれない。
そして、そこから発生する、五代君への嫉妬からくる不器用な態度があまり伝わってこない。
したがって、そのことによる女のかわいさが見えてこない。
僕としてはここがとても好きだったんだけどなぁ・・・・・・。
あぁ、意地の張り合いによる、すれ違いとか見せてほしかった！
一応、最後あたりで五代君が家出するけれど、なし崩し的に和解、ベットイン。
まぁ、結局、できなかったんですけどね。

音無響子さん役は、元祖プッツン女優と言われていた石原真理子。
今見ると、異様に眉毛濃いなぁ。
五代君は、あの、石黒賢。
これは、五代君のだめだめっぷり、若さの暴走ぶりが感じられてグット！
一の瀬さんは藤田弓子、朱美さんは宮崎美子、四谷さんは伊武雅刀。
この中では四谷さんが、いい線いっていた。
トレンチコートを着て帽子をかぶり新聞読んでるところなんか実に、らしい。

でも、やっぱり僕としては、やはりいただけない。
むむぅ〜、微妙な気持ちになりますよ。

脚本・演出・ヒロインのミスキャストを始め公開当初より様々な評価を
集めた作品です。ちゃんとDVDになったんですね。
百歩譲って原作のことを忘れ普通の映画として見てもも突っ込み
どころ超満載だったりもしますが、「四谷さん」役の伊武雅刀だけは
今みてもなかなか良い味出しています。アニメ版の同役の声優さんは
かなり寒々しかったですが・・（＾＾；
原作は今も輝きを失わず新しいファンを増やしているようですね。
未見の方は記念にぜひ！そして海岸を走りましょう orz

いいですね。みんな生き生きしてますね。これは傑作。