ゲド戦記 / 岡田准一
全体の平均評価点: (5点満点)
(211)
解説・ストーリー
ル=グウィンの名作ファンタジー『ゲド戦記』をスタジオジブリが映画化した長編アニメーション。巨匠・宮崎駿監督の息子、宮崎吾朗の第一回監督作品。声の出演は主人公アレン役に岡田准一、ヒロインのテルー役には新人・手嶌葵。多島海世界“アースシー”では、西海域の果てに棲む竜が、突如、人間の住む東海域に現われ共食いを始めた。それに呼応して、世界ではさまざまな異変が起こり始める。世界の均衡が崩れつつあるのだった。偉大な魔法使い、大賢人ゲドは、災いの源を探る旅に出る。やがて彼は、心に闇を持つ少年、エンラッドの王子アレンと出会う…。 [ジブリがいっぱいCOLLECTION]
ル=グウィンの名作ファンタジー『ゲド戦記』をスタジオジブリが映画化した長編アニメーション。巨匠・宮崎駿監督の息子、宮崎吾朗の第一回監督作品。声の出演は主人公アレン役に岡田准一、ヒロインのテルー役には新人・手嶌葵。多島海世界“アースシー”では、西海域の果てに棲む竜が、突如、人間の住む東海域に現われ共食いを始めた。それに呼応して、世界ではさまざまな異変が起こり始める。世界の均衡が崩れつつあるのだった。偉大な魔法使い、大賢人ゲドは、災いの源を探る旅に出る。やがて彼は、心に闇を持つ少年、エンラッドの王子アレンと出会う…。 [ジブリがいっぱいCOLLECTION]
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「ゲド戦記」 の解説・あらすじ・ストーリー
解説・ストーリー
ル=グウィンの名作ファンタジー『ゲド戦記』をスタジオジブリが映画化した長編アニメーション。巨匠・宮崎駿監督の息子、宮崎吾朗の第一回監督作品。声の出演は主人公アレン役に岡田准一、ヒロインのテルー役には新人・手嶌葵。多島海世界“アースシー”では、西海域の果てに棲む竜が、突如、人間の住む東海域に現われ共食いを始めた。それに呼応して、世界ではさまざまな異変が起こり始める。世界の均衡が崩れつつあるのだった。偉大な魔法使い、大賢人ゲドは、災いの源を探る旅に出る。やがて彼は、心に闇を持つ少年、エンラッドの王子アレンと出会う…。 [ジブリがいっぱいCOLLECTION]
「ゲド戦記」 の作品情報
「ゲド戦記」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ
ゲド戦記の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
115分 |
日本語・英語 |
1:ドルビーデジタル/ステレオ/日本語 2:ドルビーデジタル/ステレオ/英語
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レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
VWDG8104 |
2007年07月04日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
19枚
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1人
|
3人
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1:ドルビーデジタル/ステレオ/日本語
2:ドルビーデジタル/ステレオ/英語
【Blu-ray】ゲド戦記の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
115分 |
日本語・英語 |
1:リニアPCM/ステレオ/日本語 2:DTS-HD Master Audio/6.1chサラウンド/日本語/(ロスレス)
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レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
VWBG1289 |
2011年11月16日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
6枚
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3人
|
2人
|
1:リニアPCM/ステレオ/日本語
2:DTS-HD Master Audio/6.1chサラウンド/日本語/(ロスレス)
ゲド戦記の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
115分 |
日本語・英語 |
1:ドルビーデジタル/ステレオ/日本語 2:ドルビーデジタル/ステレオ/英語
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レイティング: |
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レンタル開始日: |
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VWDG8104 |
2007年07月04日
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在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
19枚
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1人
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1:ドルビーデジタル/ステレオ/日本語
2:ドルビーデジタル/ステレオ/英語
【Blu-ray】ゲド戦記の詳細
収録時間: |
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音声: |
115分 |
日本語・英語 |
1:リニアPCM/ステレオ/日本語 2:DTS-HD Master Audio/6.1chサラウンド/日本語/(ロスレス)
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レンタル開始日: |
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VWBG1289 |
2011年11月16日
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在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
6枚
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3人
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2人
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1:リニアPCM/ステレオ/日本語
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ユーザーレビュー:211件
監督不在映画の末路。
投稿日:2007/07/04
レビュアー:JUCE
まずこの映画のファンの方に謝っておきます。私はこの作品と言うより、監督宮崎吾郎の勘違いが嫌いですし、この映画の出来もつらいものだと思っています。
宮崎吾郎がこの映画を監督することに父である宮崎駿は大反対だったと言います。その真意がどこにあったのかはこの映画の出来を見ることで明らかです。この映画は初監督の作品としてはヒットを飛ばしたでしょう。しかしそれは作品の質が良いから、この作品の質が高いから?。決してそうではありません。観客は『ジブリ』ブランドを観に行ったのです。そのブランドこそは父、宮崎駿が綿々と培って来たものなのです。断っておきますが私は宮崎駿ファンでもなければジブリファンでもありませんが、これまでのジブリ作品の質の高さは認めています。
宮崎吾郎監督は映画制作日誌の中でこの映画のテーマを「いま、まっとうに生きるとはどういうことか?」と述べていますが、残念ながらそんなテーマはこの映画を観ても全く感じ取ることが出来ませんでした。もしろこの映画の中で描かれている(描こうとしている)のは父殺しの主人公アレンが自分を見つめなおしていく成長の旅です。間違いなく吾郎監督の父へのメッセージなどでしょう。ただこの父を刺すという強烈な行為の割りに、映画では最後に申し訳程度に改悛を見せるだけで、物語を通してほとんど主人公は自分行為に対して苦悩を見せることさえ無い。この父親殺しは原作には無く、原作者には大いに不興をかったらしいです。そこまでして追加したシーンの割には全く中途半端です。
ブログでテーマはと発表してしまうのと同じく、劇中でもすべて制作者の伝えたいことを登場人物の台詞として語らせています。私は映画は出来上がった時からは、制作者の映画ではなく、それを鑑賞する観客一人ひとりの映画になっていくのだと思います。その人の生活環境、価値観によって様々な見方が出来る。それが映画の良さだとも思うのですが、そういう点でも本作は期待はずれ(実は元々期待してなかった)でした。
作画のクオリティーやアニメーションに関してはジブリですので、ジブリクオリティーです。ですから余計に監督の力量によって映画がこれほど平板になってしまうのかと思うと監督の資質が映画の質に与える影響は計り知れないものがあることをまざまざと見せ付けられました。
ちなみに有名な話ですが本作と同時期に上映され口コミで評価を上げて言った『時をかける少女』の細田守監督。じつは当初『ハウルの城』の監督でした。制作半ばで放逐されたのは有名な話です。時期ジブリ後継者と言われながらも半ばで離脱した細田守監督。対して実績も無いのにいきなり大作の監督として抜擢された宮崎吾郎監督。その後の作品の評価を見ると両者の因縁を感じずにはいられません。
“父親との確執”、“ジブリ後継者争いの因縁”“原作者との確執”こうした裏事情を考慮してみると大変興味深い映画なのですが、勿論こうした部分は映画の本質とは違う部分です。期待とのギャップや裏事情から来るやっかみを差し引いたとしても本作は魅力がある作品とは言えないのが正直なところです。
このレビューは気に入りましたか?
66人の会員が気に入ったと投稿しています
吾朗監督は まさに詩人ですね
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
レビューを表示する
孤独と焦燥におびえる少年。
素直すぎるようで、しかし抵抗感なく溶け込んでいます。
多島海世界「アースシー」のビジュアル化もきちんと「たそがれ」というモチーフによって統一されています。
風に惑わされ、遠く空の移ろいに心を奪われていた、たそがれの人が不意に立ち止まる。
音の無い草原で、少女が歌を歌っている。
その光景が、「自分と世界」というアンバランスな均衡から、
「僕と君」という世界への気付いた事を物語っていると思います。
風と空の描写の積み重ねが用意され、小説でも、絵でも表現できない映像の巧みさがまさに表現されていた1シーンだと思います。吾朗監督が抱く世界が展開し、その風が心地よく吹き抜けるような感覚を私は覚えました。
宮崎駿監督の「もののけ姫」と比べると、どちらも少年の旅でありながら、吾朗監督は、とても世界など見渡せぬ、ちっぽけな道中として描かれていて、欲張らず、自分の丈に合った小さな世界しか出てこないところも、好感がもてました。
旅に出てくる「陽や風」を省略したくないというこだわりが、初々しいひとだなぁ〜と感じましたね。
むしろ、美しい情景描写が印象的です。
映像ばかりでもなく、主人公の弱さ、不安定さ、自分を見つめるための勇気・・・は、むしろ私たちに投げかけられたメッセージと受け止めましたが・・・
大勢の人の心をわし掴みにする程の力量もなければ、まだまだ荒削りなところもあり、隙も多いのですが、
全体に流れる色彩と音楽の美しさ、セリフと歌詞の美しさ、
ゲーム感覚のような刺激に慣れた人たちを引き込むには、線が細すぎて、インパクトも弱いかも知れませんが、今までの「ジブリ作品」のイメージにとらわれず、ちょっと歩みをゆるめて詩人吾朗監督の詩に耳を傾けると、大きな癒しとなりましたが・・・
このレビューは気に入りましたか?
23人の会員が気に入ったと投稿しています
またまた、長いレビューを書いちまった・・・・
投稿日:2007/07/18
レビュアー:こんちゃん
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
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事前の評価は、さんざんな酷評が多かったので、あまり期待はせずに(娘が、どうしても観たいというので・・・。娘に嫌われたくないパパとしては、行かざるを得なかったのです)劇場で鑑賞しましたが、期待していなかったせいか、そんなに悪いとは思いませんでした・・・・が、文句をつけます。
「指輪物語」「ナルニア国物語」に並ぶ三大古典ファンタジーの一つで、アシューラ・K・ル・グィン女史原作の「ゲド戦記」シリーズ初の映画化だそうですが(原作は読んでません)その3巻目がメインプロットなので、そこまでの経緯がよくわかりません。
宮崎吾郎の初監督作品と言うことで、非常に真面目な作りだという印象はあるのですが、明らかな経験不足は、ジブリのベテランスタッフを持ってしてもカバーしきれていないですね。
話自体はシンプルなので、原作未読の私でも何とかついて行けるのですが、この原作へのスタンスの不明瞭さは作品全体にも不明瞭感を与えてしまっているようです。
これは「ゲド戦記」を名乗る意味があったのでしょうか?
優れたファンタジーは、その世界観で観客を魅了してくれるものです。ストーリーの設定部分や細部の詰めという肝心な部分は明らかな説明不足なのに、説教臭いメッセージだけ威丈高に台詞で言わせる。以前「CASSHERN」を観た時のまさにあの感じがよみがえりました。言葉だけで伝えるのであれば何も映画という媒体を使う必要なんかないんじゃないでしょうか?
まあ、百歩譲ってセリフでテーマを語るのも一つの手法だと考えたとしても、物語の流れに乗っていないから、せっかくの台詞が印象に残らないのです。
「命を大切にしない奴なんて、大っ嫌いだ!」
って、それで?と思っちゃいませんか?
アニメで見せる世界観はどういう方向を目指すにしろ
「これは実写では絶対むりだよね」
と思えるような心躍る映像を見せてもらいたいものだと思うのです。ジブリには、それをできる実力があるのですから。ル・グイン女史が、20年以上前に宮崎駿氏から、「ゲド戦記」のアニメ化の申し入れを断ったのは、ディズニーのようなアニメしか知らなかったからで、その数年後「となりのトトロ」を観て衝撃を受け、
「ミヤザキはクロサワやフェリーニと同じ、天才だと思っています。」
と、今回は進んでアニメ化に協力したのは、そういう意味なのに、ある意味裏切ってしまったのではないでしょうか?
原作者のル・グイン女史が、この作品についてかなり不満であるというコメントを出しています。以下、一部抜粋します。
*************************
映画スタジオが自著をどのように扱うか、口出しのできる作家はほとんどいません。一般に、契約書に署名してしまえば、著者はもう存在しないも同然です。「監修者」などの肩書きに意味はありません。ですから脚本作家以外の作家に、映画の出来についての責任を問わないでください。著者に「どうしてあの映画は……」と質問してもむだです。著者も「どうして?」と思っているのですから。
宮崎吾郎氏に
「どうでした。作品の出来は。気に入ってもらえましたか」
と聞かれてわたしは
「ええ、あれはわたしの本ではなく、あなたの映画です。いい映画でした」
と答えました。
もちろん映画は、小説を正確になぞろうとすべきではありません――両者は異なる芸術で、語りの形式がまったく違っているからです。大きな変更が必要になる場合もあるでしょう。そうは言っても、同じ題名を冠した、40年にわたって刊行の続いている本を原作にしたと称するからには、その登場人物や物語全体に対して、ある程度の忠実さを期待するのは当然ではないでしょうか。
興味がある方で、全文を読みたければこちらへ
http://hiki.cre.jp/Earthsea/?GedoSenkiAuthorRespon
se
**************************
否定的なことばかり書きましたが、DVDをレンタルして観るには、それほど悪くはありませんし、ケチケチさんがおっしゃるように、宮崎吾郎監督の評価は、この後の作品からが本当の意味での評価になると思います。
ジブリが作る。宮崎駿の息子が作る。世界三大ファンタジーのひとつ。それだけで、興行的な成功は、半ば約束されているので、そのプレッシャーの中での製作はさぞかし気苦労が有ったと思うのです。だから、思ったほどの興業成績があがらなかったのは、かえって良かったのかもしれません。次作に期待ですね。
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23人の会員が気に入ったと投稿しています
原作を知らない人には難しく見える作品で説明不足は否めない!
投稿日:2007/08/04
レビュアー:RUSH
僕は原作を知らない。知らずにこの作品を見たが、結論から言えば、原作を知らない者に対してとても不親切きわまりない作品であると思った。後から調べたのだがこのゲド戦記は5章あってこの作品は主に第3章を中心に宮崎吾朗監督のオリジナル解釈を織り交ぜた作品であることがわかった。僕にはこれが最大のポイントだった。初めて見終えて思ったことは「中途半端」だったのだ。この作品の前後が是非知りたいと思ったのもやはり「中途半端」という気持ちがそう思わせたに違いない。この作品には結構期待していた。ゲド戦記といえばファンタジーと原作を知らない僕でもそれぐらいは知っている。それだけにどんなファンタジーを見せてくれるのか期待を抱かずにはいられなかったのだ。しかも宮崎駿監督ではないとしてもジブリ作品として世に公開するということにも期待せずにはいられなかったのだ。だがどうだろう?抱いていた期待を考えると期待はずれといわざるを得ないのかもしれない。
とにかく原作を知らない僕は説明がほしかった(笑)。ハイタカとテナーの関係やテルーの素性、アレンの生い立ちなど気になることがこの作品には全く描かれていなかったので突然、途中から始まり、中途半端に終わったという感じがしてならなかった。これらは原作の3章以外で描かれることなので、この作品にも描かれないのは当然といえば当然なのだがどこか割り切れないものが残った。演出という点でもう少しどうにかならなかったのかと残念でしようがない。原作とは違うこの作品を見てエンラッドに戻ったアレンがどうなったのか?とか、ハイタカとテナーのその後はどうなったのか?とか、テルーのその後はどうなったのか気になってしようがない(^^;。監督のオリジナル解釈でこの作品は製作されているので原作から推測することが不可能なだけに消化不良感がぬぐい去れない。オープニングの国王の刺殺は絶対にいただけないと思ったし、ジブリ作品らしくないとも思わされた。何故アレンは父である国王を刺殺しなければいけなかったのかぐらいは描いてほしかったと思う。しかも劇場公開の前後だったと思うが新聞に「国に帰れば死が待っている。二度と会うことのない二人だけど」とのコピーが掲載されていた。これはアレンが国に帰って国王殺しの罪により処刑されることを意味するのではないか?と当時僕は思ったものだが、この点に関して今作品にはそれをうかがわせる描写はどこにも存在しなかった。しかし、この作品のメッセージ性は十分にジブリ作品を思わせるものとなっていたのは認めないといけないだろう。でも全ての決着を闘いでつけてしまうというのは何か違うような気がしてならない。原作者がこの作品を見て「これは僕の作品ではない。吾朗の作品」と言ったと聞いたことがあるがまさにその通りである。
ジブリ作品は2Dにこだわりを見せるが、この作品でも目を引くような作画レベルを見せてくれた。それは全てのシーンの背景処理である。背景処理と言うより背景美術といった方が良いかもしれない。あまり代わり映えしないがとても美しい。特に水の動きや床に移る姿はとてもアニメとは思えないような素晴らしさだった。思わず「おぉ〜!」と声を上げたぐらいだ(^^;。また、声優陣もたいしたものだ。特にクモ役を演じた田中裕子は「もののけ姫」のエボシ役以来の出演だが「さすが」と思わせる演技をしていたと思う。この人は善人でも悪人でも色々なキャラクターを演じきれる人。とても素晴らしい。ウサギ役の香川照之にはちょっと違和感を覚えたが、田中裕子と同じようにテナー役の風吹ジュンもとても素晴らしかった。その相手役のハイタカ、タイトルのゲドその人を菅原文太が演じているがやはりベテラン俳優ともなれば味というか雰囲気を醸し出せるのだろうか、落ち着き払った台詞回しがとても印象に残る。で問題の主役級の二人、テルー役の手嶌葵とアレン役の岡田准一に関しては特にどうこういうことはないし、何かを感じることができなかった。そしてほんのちょっと、ワンシーンしか登場しないが強烈な印象を残すキャラがいる。これはひとえに声優を務めた俳優の力量そのものを表しているといっても過言ではないだろう。そのキャラはハジア売りのおやじと女主人である。ハジア売りのおやじは内藤剛志、女主人は倍賞美津子が演じているが最初は気がつかなかったがとても気になっていた(^^;。エンドクレジットで初めてわかったのだが、「やっぱり」と思わせてくれた。そして国王の出番は少なかったが小林薫の落ち着き払った声がとても良かった。
宮崎吾朗監督の第1回監督作品であるのでとやかくいうのはどうかとも思うが、それは期待の表れだと僕は思う。彼の今後の作品を期待したいと思うし、父親を超えてほしいとも思う。
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17人の会員が気に入ったと投稿しています
そんな酷評されるほどでもないけど でも凡作
前評判が悪い作品だったので、とにかくジブリ作品であることと宮崎駿の息子が監督であることを忘れて、なるべく真っさらな気持ちで観てみました。で、見終わった感想としては、ん〜、まあ、そんな酷評されるほどの作品でもないと思うけど、でもやっぱり凡作には違いないですね。とくに感動もカタルシスも感じませんでしたしね。
素敵だなあとか美しいなあと思うシーンも、ほとんど無かったですしね。何というか、風景も街並みも、その空気感みたいなのが希薄でした。たぶん演出の技術的なことだと思うんですけど、画面に奥行きがないですもんね。いつも人物がカメラの近くに立ってる感じで、せせこましい。遠近感や光陰の対比の表現が乏しいために、画面の中に空間の広がりを感じにくいし、そのために、観客を引き込むために大事なファンタジーの世界観がうまく感じ取れなくて、ちょっと作品に入り込みにくい感じ。作品舞台の多島海世界なんて言葉だけでも美しいのに、多島海を思わせる風景なんて1つもないしねえ。もっと設定を生かしましょうよ。もったいない。
手嶌葵の歌もせっかく良いのに、劇中での使い方が下手。
ストーリーは起伏が無くて平坦。登場人物が少ないわりには、それぞれの人物描写も掘り下げが浅くて感情移入がしづらい。でも、そうしたことより見せ方の技術的な稚拙さの方が気になる作品でした。いや、初監督作品ということを考えれば、立派すぎる出来ではあるけど、お金を払って観る客にはそんなこと関係なく、今までの水準のジブリ作品を求めるわけですから、そういう意味では、やはり期待ハズレということになりますね。
それと、作品のテーマを登場人物にペラペラしゃべらせるのは、興醒めするのであまり感心しないし、その言ってる内容も、どこか実感を伴わず、えてして言葉遊びのようになってる感じ。「死を拒絶することは生を拒絶すること」「死ぬことが分かっているから命は大切なんだ」とセリフでは言うけれど、それを場面として描写してる箇所はどこにもない。そうしたテーマを物語にとけ込ませていくのが演出であって、それをセリフで言わせるだけなら、誰も作品作りに苦労しませんって。
まあ、監督の真面目さや作品作りへの情熱は十分伝わりましたよ。ただ単に、才能と技術が無いというだけ。1作目ということを差し引いても、才能のキラメキはちょっと感じなかったなあ。
それにしても、ちょっと父親の宮崎駿の影響を悪く受けすぎじゃないですかねえ。良くも悪くも宮崎駿のモノマネ作品っぽい。それを吾朗監督も分かっていて、なんとなく主人公のアレンを自分自身に投影してるような気がします。アレンのように吾朗監督ももがき苦しんでるのかも。
もっと独自性を出せばいいのに。それとも、上からの注文にガンジガラメになってるのかな。宮崎駿のような作品を作れっとか(笑)。
それと、これはジブリに対してちょっと辛辣に書きますが、今回の作品は完全にプロデューサーの傲慢による失策だと思うなあ。ジブリという組織存続のために、すでに歳のいってる宮崎駿の次なる才能を求めて、次世代をじっくり育てることを放棄して、手っ取り早く宮崎駿のDNAとその話題性に飛びついてしまったように見受けられますね。
同時期に公開されていた秀作アニメ「時をかける少女」の細田守監督が、当初「「ハウルの動く城」の監督に決まっていたのを追放したのには、ジブリのブランドに対しての保守的姿勢の感じを受けます。非常に狭量。挑戦や次の才能の育成をせずにいれば、その組織はやがて衰退するでしょう。宮崎駿という個人の才能に頼りっきりでいるなら、それは避けられなくなりますよ。宮崎吾朗の監督起用は、次なる才能の育成というより、ジブリの保守的姿勢がそうさせたように思いますねえ。
独偏満足度 60%
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13人の会員が気に入ったと投稿しています
ユーザーレビュー
監督不在映画の末路。
投稿日
2007/07/04
レビュアー
JUCE
まずこの映画のファンの方に謝っておきます。私はこの作品と言うより、監督宮崎吾郎の勘違いが嫌いですし、この映画の出来もつらいものだと思っています。
宮崎吾郎がこの映画を監督することに父である宮崎駿は大反対だったと言います。その真意がどこにあったのかはこの映画の出来を見ることで明らかです。この映画は初監督の作品としてはヒットを飛ばしたでしょう。しかしそれは作品の質が良いから、この作品の質が高いから?。決してそうではありません。観客は『ジブリ』ブランドを観に行ったのです。そのブランドこそは父、宮崎駿が綿々と培って来たものなのです。断っておきますが私は宮崎駿ファンでもなければジブリファンでもありませんが、これまでのジブリ作品の質の高さは認めています。
宮崎吾郎監督は映画制作日誌の中でこの映画のテーマを「いま、まっとうに生きるとはどういうことか?」と述べていますが、残念ながらそんなテーマはこの映画を観ても全く感じ取ることが出来ませんでした。もしろこの映画の中で描かれている(描こうとしている)のは父殺しの主人公アレンが自分を見つめなおしていく成長の旅です。間違いなく吾郎監督の父へのメッセージなどでしょう。ただこの父を刺すという強烈な行為の割りに、映画では最後に申し訳程度に改悛を見せるだけで、物語を通してほとんど主人公は自分行為に対して苦悩を見せることさえ無い。この父親殺しは原作には無く、原作者には大いに不興をかったらしいです。そこまでして追加したシーンの割には全く中途半端です。
ブログでテーマはと発表してしまうのと同じく、劇中でもすべて制作者の伝えたいことを登場人物の台詞として語らせています。私は映画は出来上がった時からは、制作者の映画ではなく、それを鑑賞する観客一人ひとりの映画になっていくのだと思います。その人の生活環境、価値観によって様々な見方が出来る。それが映画の良さだとも思うのですが、そういう点でも本作は期待はずれ(実は元々期待してなかった)でした。
作画のクオリティーやアニメーションに関してはジブリですので、ジブリクオリティーです。ですから余計に監督の力量によって映画がこれほど平板になってしまうのかと思うと監督の資質が映画の質に与える影響は計り知れないものがあることをまざまざと見せ付けられました。
ちなみに有名な話ですが本作と同時期に上映され口コミで評価を上げて言った『時をかける少女』の細田守監督。じつは当初『ハウルの城』の監督でした。制作半ばで放逐されたのは有名な話です。時期ジブリ後継者と言われながらも半ばで離脱した細田守監督。対して実績も無いのにいきなり大作の監督として抜擢された宮崎吾郎監督。その後の作品の評価を見ると両者の因縁を感じずにはいられません。
“父親との確執”、“ジブリ後継者争いの因縁”“原作者との確執”こうした裏事情を考慮してみると大変興味深い映画なのですが、勿論こうした部分は映画の本質とは違う部分です。期待とのギャップや裏事情から来るやっかみを差し引いたとしても本作は魅力がある作品とは言えないのが正直なところです。
吾朗監督は まさに詩人ですね
投稿日
2007/08/19
レビュアー
ミルクチョコ
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孤独と焦燥におびえる少年。
素直すぎるようで、しかし抵抗感なく溶け込んでいます。
多島海世界「アースシー」のビジュアル化もきちんと「たそがれ」というモチーフによって統一されています。
風に惑わされ、遠く空の移ろいに心を奪われていた、たそがれの人が不意に立ち止まる。
音の無い草原で、少女が歌を歌っている。
その光景が、「自分と世界」というアンバランスな均衡から、
「僕と君」という世界への気付いた事を物語っていると思います。
風と空の描写の積み重ねが用意され、小説でも、絵でも表現できない映像の巧みさがまさに表現されていた1シーンだと思います。吾朗監督が抱く世界が展開し、その風が心地よく吹き抜けるような感覚を私は覚えました。
宮崎駿監督の「もののけ姫」と比べると、どちらも少年の旅でありながら、吾朗監督は、とても世界など見渡せぬ、ちっぽけな道中として描かれていて、欲張らず、自分の丈に合った小さな世界しか出てこないところも、好感がもてました。
旅に出てくる「陽や風」を省略したくないというこだわりが、初々しいひとだなぁ〜と感じましたね。
むしろ、美しい情景描写が印象的です。
映像ばかりでもなく、主人公の弱さ、不安定さ、自分を見つめるための勇気・・・は、むしろ私たちに投げかけられたメッセージと受け止めましたが・・・
大勢の人の心をわし掴みにする程の力量もなければ、まだまだ荒削りなところもあり、隙も多いのですが、
全体に流れる色彩と音楽の美しさ、セリフと歌詞の美しさ、
ゲーム感覚のような刺激に慣れた人たちを引き込むには、線が細すぎて、インパクトも弱いかも知れませんが、今までの「ジブリ作品」のイメージにとらわれず、ちょっと歩みをゆるめて詩人吾朗監督の詩に耳を傾けると、大きな癒しとなりましたが・・・
またまた、長いレビューを書いちまった・・・・
投稿日
2007/07/18
レビュアー
こんちゃん
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
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事前の評価は、さんざんな酷評が多かったので、あまり期待はせずに(娘が、どうしても観たいというので・・・。娘に嫌われたくないパパとしては、行かざるを得なかったのです)劇場で鑑賞しましたが、期待していなかったせいか、そんなに悪いとは思いませんでした・・・・が、文句をつけます。
「指輪物語」「ナルニア国物語」に並ぶ三大古典ファンタジーの一つで、アシューラ・K・ル・グィン女史原作の「ゲド戦記」シリーズ初の映画化だそうですが(原作は読んでません)その3巻目がメインプロットなので、そこまでの経緯がよくわかりません。
宮崎吾郎の初監督作品と言うことで、非常に真面目な作りだという印象はあるのですが、明らかな経験不足は、ジブリのベテランスタッフを持ってしてもカバーしきれていないですね。
話自体はシンプルなので、原作未読の私でも何とかついて行けるのですが、この原作へのスタンスの不明瞭さは作品全体にも不明瞭感を与えてしまっているようです。
これは「ゲド戦記」を名乗る意味があったのでしょうか?
優れたファンタジーは、その世界観で観客を魅了してくれるものです。ストーリーの設定部分や細部の詰めという肝心な部分は明らかな説明不足なのに、説教臭いメッセージだけ威丈高に台詞で言わせる。以前「CASSHERN」を観た時のまさにあの感じがよみがえりました。言葉だけで伝えるのであれば何も映画という媒体を使う必要なんかないんじゃないでしょうか?
まあ、百歩譲ってセリフでテーマを語るのも一つの手法だと考えたとしても、物語の流れに乗っていないから、せっかくの台詞が印象に残らないのです。
「命を大切にしない奴なんて、大っ嫌いだ!」
って、それで?と思っちゃいませんか?
アニメで見せる世界観はどういう方向を目指すにしろ
「これは実写では絶対むりだよね」
と思えるような心躍る映像を見せてもらいたいものだと思うのです。ジブリには、それをできる実力があるのですから。ル・グイン女史が、20年以上前に宮崎駿氏から、「ゲド戦記」のアニメ化の申し入れを断ったのは、ディズニーのようなアニメしか知らなかったからで、その数年後「となりのトトロ」を観て衝撃を受け、
「ミヤザキはクロサワやフェリーニと同じ、天才だと思っています。」
と、今回は進んでアニメ化に協力したのは、そういう意味なのに、ある意味裏切ってしまったのではないでしょうか?
原作者のル・グイン女史が、この作品についてかなり不満であるというコメントを出しています。以下、一部抜粋します。
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映画スタジオが自著をどのように扱うか、口出しのできる作家はほとんどいません。一般に、契約書に署名してしまえば、著者はもう存在しないも同然です。「監修者」などの肩書きに意味はありません。ですから脚本作家以外の作家に、映画の出来についての責任を問わないでください。著者に「どうしてあの映画は……」と質問してもむだです。著者も「どうして?」と思っているのですから。
宮崎吾郎氏に
「どうでした。作品の出来は。気に入ってもらえましたか」
と聞かれてわたしは
「ええ、あれはわたしの本ではなく、あなたの映画です。いい映画でした」
と答えました。
もちろん映画は、小説を正確になぞろうとすべきではありません――両者は異なる芸術で、語りの形式がまったく違っているからです。大きな変更が必要になる場合もあるでしょう。そうは言っても、同じ題名を冠した、40年にわたって刊行の続いている本を原作にしたと称するからには、その登場人物や物語全体に対して、ある程度の忠実さを期待するのは当然ではないでしょうか。
興味がある方で、全文を読みたければこちらへ
http://hiki.cre.jp/Earthsea/?GedoSenkiAuthorRespon
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否定的なことばかり書きましたが、DVDをレンタルして観るには、それほど悪くはありませんし、ケチケチさんがおっしゃるように、宮崎吾郎監督の評価は、この後の作品からが本当の意味での評価になると思います。
ジブリが作る。宮崎駿の息子が作る。世界三大ファンタジーのひとつ。それだけで、興行的な成功は、半ば約束されているので、そのプレッシャーの中での製作はさぞかし気苦労が有ったと思うのです。だから、思ったほどの興業成績があがらなかったのは、かえって良かったのかもしれません。次作に期待ですね。
原作を知らない人には難しく見える作品で説明不足は否めない!
投稿日
2007/08/04
レビュアー
RUSH
僕は原作を知らない。知らずにこの作品を見たが、結論から言えば、原作を知らない者に対してとても不親切きわまりない作品であると思った。後から調べたのだがこのゲド戦記は5章あってこの作品は主に第3章を中心に宮崎吾朗監督のオリジナル解釈を織り交ぜた作品であることがわかった。僕にはこれが最大のポイントだった。初めて見終えて思ったことは「中途半端」だったのだ。この作品の前後が是非知りたいと思ったのもやはり「中途半端」という気持ちがそう思わせたに違いない。この作品には結構期待していた。ゲド戦記といえばファンタジーと原作を知らない僕でもそれぐらいは知っている。それだけにどんなファンタジーを見せてくれるのか期待を抱かずにはいられなかったのだ。しかも宮崎駿監督ではないとしてもジブリ作品として世に公開するということにも期待せずにはいられなかったのだ。だがどうだろう?抱いていた期待を考えると期待はずれといわざるを得ないのかもしれない。
とにかく原作を知らない僕は説明がほしかった(笑)。ハイタカとテナーの関係やテルーの素性、アレンの生い立ちなど気になることがこの作品には全く描かれていなかったので突然、途中から始まり、中途半端に終わったという感じがしてならなかった。これらは原作の3章以外で描かれることなので、この作品にも描かれないのは当然といえば当然なのだがどこか割り切れないものが残った。演出という点でもう少しどうにかならなかったのかと残念でしようがない。原作とは違うこの作品を見てエンラッドに戻ったアレンがどうなったのか?とか、ハイタカとテナーのその後はどうなったのか?とか、テルーのその後はどうなったのか気になってしようがない(^^;。監督のオリジナル解釈でこの作品は製作されているので原作から推測することが不可能なだけに消化不良感がぬぐい去れない。オープニングの国王の刺殺は絶対にいただけないと思ったし、ジブリ作品らしくないとも思わされた。何故アレンは父である国王を刺殺しなければいけなかったのかぐらいは描いてほしかったと思う。しかも劇場公開の前後だったと思うが新聞に「国に帰れば死が待っている。二度と会うことのない二人だけど」とのコピーが掲載されていた。これはアレンが国に帰って国王殺しの罪により処刑されることを意味するのではないか?と当時僕は思ったものだが、この点に関して今作品にはそれをうかがわせる描写はどこにも存在しなかった。しかし、この作品のメッセージ性は十分にジブリ作品を思わせるものとなっていたのは認めないといけないだろう。でも全ての決着を闘いでつけてしまうというのは何か違うような気がしてならない。原作者がこの作品を見て「これは僕の作品ではない。吾朗の作品」と言ったと聞いたことがあるがまさにその通りである。
ジブリ作品は2Dにこだわりを見せるが、この作品でも目を引くような作画レベルを見せてくれた。それは全てのシーンの背景処理である。背景処理と言うより背景美術といった方が良いかもしれない。あまり代わり映えしないがとても美しい。特に水の動きや床に移る姿はとてもアニメとは思えないような素晴らしさだった。思わず「おぉ〜!」と声を上げたぐらいだ(^^;。また、声優陣もたいしたものだ。特にクモ役を演じた田中裕子は「もののけ姫」のエボシ役以来の出演だが「さすが」と思わせる演技をしていたと思う。この人は善人でも悪人でも色々なキャラクターを演じきれる人。とても素晴らしい。ウサギ役の香川照之にはちょっと違和感を覚えたが、田中裕子と同じようにテナー役の風吹ジュンもとても素晴らしかった。その相手役のハイタカ、タイトルのゲドその人を菅原文太が演じているがやはりベテラン俳優ともなれば味というか雰囲気を醸し出せるのだろうか、落ち着き払った台詞回しがとても印象に残る。で問題の主役級の二人、テルー役の手嶌葵とアレン役の岡田准一に関しては特にどうこういうことはないし、何かを感じることができなかった。そしてほんのちょっと、ワンシーンしか登場しないが強烈な印象を残すキャラがいる。これはひとえに声優を務めた俳優の力量そのものを表しているといっても過言ではないだろう。そのキャラはハジア売りのおやじと女主人である。ハジア売りのおやじは内藤剛志、女主人は倍賞美津子が演じているが最初は気がつかなかったがとても気になっていた(^^;。エンドクレジットで初めてわかったのだが、「やっぱり」と思わせてくれた。そして国王の出番は少なかったが小林薫の落ち着き払った声がとても良かった。
宮崎吾朗監督の第1回監督作品であるのでとやかくいうのはどうかとも思うが、それは期待の表れだと僕は思う。彼の今後の作品を期待したいと思うし、父親を超えてほしいとも思う。
そんな酷評されるほどでもないけど でも凡作
投稿日
2007/09/09
レビュアー
ハット
前評判が悪い作品だったので、とにかくジブリ作品であることと宮崎駿の息子が監督であることを忘れて、なるべく真っさらな気持ちで観てみました。で、見終わった感想としては、ん〜、まあ、そんな酷評されるほどの作品でもないと思うけど、でもやっぱり凡作には違いないですね。とくに感動もカタルシスも感じませんでしたしね。
素敵だなあとか美しいなあと思うシーンも、ほとんど無かったですしね。何というか、風景も街並みも、その空気感みたいなのが希薄でした。たぶん演出の技術的なことだと思うんですけど、画面に奥行きがないですもんね。いつも人物がカメラの近くに立ってる感じで、せせこましい。遠近感や光陰の対比の表現が乏しいために、画面の中に空間の広がりを感じにくいし、そのために、観客を引き込むために大事なファンタジーの世界観がうまく感じ取れなくて、ちょっと作品に入り込みにくい感じ。作品舞台の多島海世界なんて言葉だけでも美しいのに、多島海を思わせる風景なんて1つもないしねえ。もっと設定を生かしましょうよ。もったいない。
手嶌葵の歌もせっかく良いのに、劇中での使い方が下手。
ストーリーは起伏が無くて平坦。登場人物が少ないわりには、それぞれの人物描写も掘り下げが浅くて感情移入がしづらい。でも、そうしたことより見せ方の技術的な稚拙さの方が気になる作品でした。いや、初監督作品ということを考えれば、立派すぎる出来ではあるけど、お金を払って観る客にはそんなこと関係なく、今までの水準のジブリ作品を求めるわけですから、そういう意味では、やはり期待ハズレということになりますね。
それと、作品のテーマを登場人物にペラペラしゃべらせるのは、興醒めするのであまり感心しないし、その言ってる内容も、どこか実感を伴わず、えてして言葉遊びのようになってる感じ。「死を拒絶することは生を拒絶すること」「死ぬことが分かっているから命は大切なんだ」とセリフでは言うけれど、それを場面として描写してる箇所はどこにもない。そうしたテーマを物語にとけ込ませていくのが演出であって、それをセリフで言わせるだけなら、誰も作品作りに苦労しませんって。
まあ、監督の真面目さや作品作りへの情熱は十分伝わりましたよ。ただ単に、才能と技術が無いというだけ。1作目ということを差し引いても、才能のキラメキはちょっと感じなかったなあ。
それにしても、ちょっと父親の宮崎駿の影響を悪く受けすぎじゃないですかねえ。良くも悪くも宮崎駿のモノマネ作品っぽい。それを吾朗監督も分かっていて、なんとなく主人公のアレンを自分自身に投影してるような気がします。アレンのように吾朗監督ももがき苦しんでるのかも。
もっと独自性を出せばいいのに。それとも、上からの注文にガンジガラメになってるのかな。宮崎駿のような作品を作れっとか(笑)。
それと、これはジブリに対してちょっと辛辣に書きますが、今回の作品は完全にプロデューサーの傲慢による失策だと思うなあ。ジブリという組織存続のために、すでに歳のいってる宮崎駿の次なる才能を求めて、次世代をじっくり育てることを放棄して、手っ取り早く宮崎駿のDNAとその話題性に飛びついてしまったように見受けられますね。
同時期に公開されていた秀作アニメ「時をかける少女」の細田守監督が、当初「「ハウルの動く城」の監督に決まっていたのを追放したのには、ジブリのブランドに対しての保守的姿勢の感じを受けます。非常に狭量。挑戦や次の才能の育成をせずにいれば、その組織はやがて衰退するでしょう。宮崎駿という個人の才能に頼りっきりでいるなら、それは避けられなくなりますよ。宮崎吾朗の監督起用は、次なる才能の育成というより、ジブリの保守的姿勢がそうさせたように思いますねえ。
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