人間の証明

角川映画の松田優作、単発ドラマの渡辺謙、と映像化されてきた森村誠一の代表作のテレビドラマ化。
森村氏が絶賛したという竹野内『棟居』刑事。
１２０分では描ききれないのは仕方ないのですが、ドラマ化した分、登場人物のエピソードが細かく描かれ、それまでのもやもやスッキリしなかった部分が丁寧に出ていたと思います。
シリーズでもあっという間に引き込まれて見てしまう作品です。

岩代太郎氏の音楽も単なるBGMではなくひとつの作品として
完成度が高いと思います。

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最近のドラマが、面白くない理由がよく分かります。
コメディでも社会派でも、何でもいいんだけど、最近のは、薄っぺらいんだよね。

錚々たるメンバーによる、社会派ドラマ。
原作がしっかりしたものだけど、主演はもちろん脇の隅々まで、すごい役者ぞろい。
どのシーンも、冷や冷やしない。
個々の役者さんの演技に厚みがないというのか。
（若けりゃいいっていうのは間違いだよ！！）
堀北さんはあまり好きな女優さんではなかったけど、このドラマではとってもいいと思う。
一番のお気に入りは、棟居の、よれっとしたスーツと細身のネクタイ（というか、竹野内さん、細い！！）。
なんだか「現代」なのか、「過去」なのか微妙な感じがいい。


人の過去や存在は消せないし、人は「非人」になれるのか。

見所は、棟居ｖｓ郡恭子。
保身のためなら、実の子も殺害してしまうのだろうか。
実の子を殺害したとしても、まったく動じない。

この物語の中で、私は、文枝や夫と文枝の愛人がかわいそうで仕方がなかった。
翔平がもう少ししっかりした人なら、こんな惨事にはならなかったのに。
母親の権力と財力、彼女の路子に助けられただけで。


この原作は、もともと戦後３０年くらいで、このドラマが約５年前。
横渡さんが、「母親が実の子供を殺せますかね？」と言うのが、印象的。
今では、虐待による殺人事件が起こっても、「酷い親だ」と思うくらいで、世間から執拗に非難されることが少なくなった。
というか、事件が多すぎる。
それよりも、「どうしていいのか分からなかった」「育てる自信がない」と、
生んだばかりの子供の首を絞めたり、コインロッカーに放置したり、トイレに流そうとしたり。
これって、人や人間のすることじゃない。
人の姿をした怪物だ。

恭子には「人」としての感情はまだ残っていた。
過去を消す為の殻だっただけ。

この作品、女優でピアニストの松下奈緒が生意気な「悪女」役ででてるんだね。
しかも彼女、綺麗な顔してガムテープで口を塞がれてます。
松下奈緒がこんな「危機一髪」的な役をよく演じたなぁと感心しました（笑）。

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１人の黒人が殺害され、
１人の老女がお風呂で溺死し、
１人のホステスが死んだ（直接の原因は事故だもんな）。

警察が捜査し、夫と愛人が女性を捜し、
選挙活動する人がいて、その候補者を取材する人がいる。

だんだんと事件が繋がってくる。


タエさんの友人であった、よしのさん。
いしだあゆみさんって、すごい女優だ。
３０年前の、若かりし頃のは・・・あまり違和感がない。


すごくもったいないのは、時代設定かな？
やはり原作どおり、戦後のほうがよかったかも。
ベトナム戦争後・・・少し無理がある・・・

この作品には、人間の心のトラウマ、幼少体験の悲惨さ、人を恨む心、いろいろと人間の心のブラックな部分が出てきて息が苦しくなるくらいだが、それを越えて『究極に追い込まれた時も、人として正義を貫けるか』という問いかけや、『母性とは何か』の問いかけなどいろいろ深く考えさせられる要素を含んでいる。ストーリーだけを見ても、さまざまに縺れた糸を丹念にほぐしていくような、おもしろさは充分楽しめるが、私は30年前に小説を読んだ時には感じなかった、複雑な人間ドラマに深く心を動かされた。