愚行録
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未解決事件の真相に浮かびあがる心の闇
直木賞候補になった貫井徳郎の小説「愚行録」を映画化。
一家惨殺事件の被害者と関係があった者たちの証言を通し、人間の複雑な内面と驚くべき真実をあぶり出します。
エリートサラリーマン一家惨殺事件の発生から1年後、週刊誌記者の田中(妻夫木聡)は、この未解決事件を改めて調査しようと、被害者の元同僚や大学時代の同級生への取材を始めます。彼らの話から分かったのは、容疑者に繋がる重要な情報ではなく、被害者夫妻の意外な実像。
冒頭のバスの席を譲るシーン。このシーンからも傍観者である彼の心に闇があることが分かります。
このシーンから見ても分かるように自分を正当化してしまうのが面白いと思います。でも、人間の嫌なところばかり見せられるという。見終わってあまりいい気もちにはなれません。
ただその愚行が完全な悪と言い切れるものでもなく、育児放棄の容疑で逮捕されている田中の妹(満島ひかり)とその事件が関係してくるのにはビックリでした。人間の負の感情の強さや、さらにそれが増幅していく様は、リアルでした。
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愚行録
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未解決のエリート会社員とその家族が惨殺される事件の関係者に話を聞くうちにいろいろ繋がっていく話。
周りからは理想的に見えてた家族が話を聞いていくうちに実像が違うぞとなっていってまさに愚行をまざまざと見せつけてくれます。
ただ前半から中盤はボンボンのおぼっちゃんの恋愛や就職で他人を利用してのしあがっていくだけを見せられるので正直退屈でした。しかもそれを演じているのが小出恵介さんなので、実生活そのまんまなんじゃないかとスキャンダルが映画に影響を与えてしまう悪い例でした。ノイズになって物語に入り込めなかったです。
主人公の記者が1人1人に話を聞いて被害者の裏の顔が明らかになっていくのと同時に育児放棄した妹の告白が同時進行してそれが結びついていく構成は面白かったです。それにしても映画とはいえこんな階級格差みたいなものがあるのかと驚きの世界でした。
画面のトーンも色彩が暗くて話も暗いので否応にもテンションの下がる作品ではありました。
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観終わった後 気持ちが沈む
「イヤミス(嫌な気持ちになるミステリー)」とは聞いていたけれど、
本当にそのとおりで、二日経った今も立ち直れていません。
一年前に起きた一家惨殺事件を追う雑誌記者・田中(妻夫木聡)は、改めて事件の真相を追うべく被害者一家を知る関係者たちに取材をします。
殺された夫の同僚の話や妻の学生時代を知る友人たちの話を聞いているうちに、「理想的な夫婦」「完璧な一家」のメッキが次第に剥がれ落ちていきます。
取材相手の女性が「日本は格差社会じゃなくて階級社会なのよ」と言ったことばが印象的でした。
被害者の夫と妻が、そんな階級社会の少しでも上を目指そうとする姿が浮かび上がってきます。
夫の場合は露骨で妻のやり方は陰湿、友人たちの場合は必死に映りました。
一家惨殺事件と並行して、記者の田中の妹・光子(満島ひかり)が育児放棄で逮捕されているシーンも描かれます。
田中が妹の面会に行った折、光子が「秘密」と言ったことが、ラストで重要な意味を持っていたことに気づき、大変衝撃的でした。
留置場の光子の体に伸びる無数の手が何を暗示していたのかも分かります。
カマンベールさんが、「三度の衝撃」と書いていますが、ラストで受けた私の衝撃は、弁護士の橘(濱田マリ)が受けた衝撃と同じだったと思います。
後味の悪さが尾を引きます。
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3度の衝撃
基本、物静かな映画です。
雑誌記者(妻夫木聡)のインタビューに答えて行くうちに、
殺害されたエリート夫婦の実像が徐々に明らかになる。
そんな映画です。
確かに「3度の衝撃」には驚きました。
ネタバレはしませんからね。
1の衝撃・・・田中(妻夫木聡)の闇
2の衝撃・・・事件の真犯人
3の衝撃・・・光子(満島ひかり)の子供の父親
この事実は衝撃的でした。1と3が特に驚きました。
基本、良い奴はほとんど出て来ないというイヤミスです。
「愚行録」という題名ですから、どの登場人物も、
愚かな行動を繰り返すのですが、殺された夫の田向(小出恵介)は
実生活でも「愚行」というか不祥事を起こしました。
殺された妻は、美しい容姿の裏で、他人を貶めていた。
他人を踏みにじって、踏み台にしていた被害者に、
同情を感じない自分にも、ちょっと怖くなりましたね。
平凡な男にしか見えない妻夫木聡の「演じすぎない演技」
満島ひかりの「追いつめられた小動物」のような存在感。
2人の名演が光りました。
不協和音のBGMも効果的で、雰囲気を形造りました。
2時間釘付けの魅力はあります。
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「愚行録」 空中分解。
個々のエピソードは面白いのですが、全体として、最終的にまとめきれず、止揚(アウフヘーベン)できなかった映画です。
貫井徳郎(1968年生)の原作は未読です。どうなのだろう。
怒りが分化されていて、収束しなかった。
一家殺人(夫、妻、娘)の犯人を追っている雑誌記者の男(妻夫木聡)は、事件から一年を経る直前、
関係者を洗い始める。
男の妹(満島ひかり)は、産んだ子をネグレクト(育児放棄)し、収監されている。
殺された夫(小出恵介)の「親友」(眞島秀和)の話によれば、二人は、会社の新入社員の女性(松本れいか)を弄んで得得としている。
そんな告白をしたあと、「親友」は演技的に泣き出す。
殺された妻(松本若菜)の周辺では、彼女が「美魔女」であっただけに、関係者は多い。
ここで、二人のいろいろな女が登場する。臼田あさ美、市川由衣が名演。
が、だれにも言い分があり、だれの言っていることが真実なのか、疑わしい。
すべてが嘘にすぎない。
芥川龍之介の「藪の中」を思う。
一家殺人の犯人は、独白という形で語られる。細密にわたっているが、それが真実とは言えないだろう。
もう一つの殺人が加わるが、それは、真実であろう。
救いのない作品。堂々めぐりする悲劇。それは嫌いではないが、エピソードは一つにまとまらなかった。
東京の有名な私立大学の問題。
内部進学(付属校から上がった金持ちの子供)連中と、外部入学(地方からそこの大学に入った者)との違和感。
これは、自分も味わったことがある。最後まで壁があった。
あっち、こっち、という感覚は、三回生ころ消えていったが、卒業後、つきあっているのは、不思議と外部どうしだね。
最初のバスの中の場面。
初老の男が、「優先席」に座っている妻夫木に「席を譲れ」と言う。
譲った妻夫木は、足が悪いようで、車内で転んでしまう。
バスから降りて、妻夫木は、びっこを引いている。バスが去ったあと、演技をやめて歩く。
それほど賢い。それほど、怒りがある。
しかし、皆の怒りは、収斂して、次元を狂わすほど、高まっていかない。
最後、妻夫木は、またバスから降りていく。
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愚行録