冷たい熱帯魚

前作『愛のむきだし』で長丁場を走りきったかのように見えた園子温が、更にエンジンを加速して不謹慎というベクトルに思い切り暴走する。
剥き出しの欲望を平気で晒すものたちの恐怖と戦慄と爆笑とトキメキ。
いったい何なんだ、この全然イケてるイケない笑いは。
容赦なきヴァイオレンスが酷い分だけ跳ね返ってくるおかしみ。これ以上は無いというベスト・キャスティングでお届けする残虐エンターテイメント。特にでんでんに関しては、棺桶に持って行ける程の決定的なキャラクターを獲得した。
ヤバイという言葉がピッタリと嵌る、不思議と痛快で爽快ですらある危険な一本。

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　冷凍食品をカゴに次々入れていく妻、万引きをした娘。娘を引き取りにいったら。優しそうな男のでんでんさんに出会って。そこから、どんどんと巻き込まれていくのをテンポよく見せてくれて140分の長さを感じさせることのない勢いのある映画でした。

　死体損壊のシーンがガッツリと出てきて、血みどろな映像ですが。そのシーンが、妙にコメディな仕上がりになっていて笑えました。楽しそうに体を切断していくでんでんさんが素晴らしかったです。

　序盤から中盤にかけては、でんでんさんの勢いに押されて主人公同様。この男の不気味さに圧倒される展開で素晴らしいですが。ラスト30分は、今まで小心者だった主人公が突然キレて逆転していきますが。そこから一気に失速してしまいました。プラネタリウムずきだった男に一体何が起こったのか?　そこの変化がイマイチわかりずらかったです。
　主人公は、本気で逃げ出そうと思えば逃げられそうな気がしました。あまりに流れに身を任せすぎな印象でした。

　それに、警察が早めに出てきますが、簡単にまかれてしまったり。その後全く姿を消してこれとった捜査をしている様子がみれなかったのが残念です。
　最後に何故、警察は主人公の妻と娘を一緒に連れてきたのか?　それもよくわかりませんでした。

　とはいえ、ラストの血みどろの殴り合いなんかもインパクトあって最高のシーンでした。そして、娘に人生のことを語り最後も血みどろで終わるという。
　ただ、これだけのバイオレンスだったのに。最後の最後は、これだけ?　と残念なオチでがっかりでした。
　とはいえ園監督らしい作品で素晴らしかったです。

この監督の作品は初めて観ましたが、まず、この作品を撮る必要性が理解不能でした。

何しろいろんな意味で汚い。

別の方のレビューにもありましたが、不快さは群を抜いています。

実際の事件をベースにしていると言っても、あまりにも直接的過ぎる映像で、類似の事件が増えていくことに不安を感じました。

親が持っていたAVを観て、同じことをしてみたいと小学生が強姦まがいの暴行事件を起こす世の中です。

子を持つ親として、楽しめる作品ではなかったです。

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カリスマ的人気を誇る園子温監督の映画も、嫌な予感がして（自分のテイストじゃなさそう）今まで避けてきました。
これから見て行こうかなと・・レンタル。しかし、予感的中のもよう・・。
ほとんど邦画をみないからかもしれないけど・・なんだか見ていて展開が遅くていらっとする
殺人鬼を演じるでんでんさんの演技は、すごいんだけど、こういうお調子こいた爺さん、いるいるー！て感じ
無駄な台詞やシーンとかやたら多い印象で、舞台劇か？って感じ。
前半はとにかくスローペースで話が進むし、どうにも冗長で、見せ方が下手なような気がする
DVDだと残りの時間が分かるので、まだ半分も終わってないのか〜とか、やたら気になって、時の流れが遅いんで途中何度か早送りしました
つまらなくはないんですけどね、目が離せないほどおもしろくはないなあ
ただいきなり出てきた血だらけの風呂場の死体解体のシーンは超びっくらでしたね。めっちゃグロいやん
ちょっとグロすぎて、これを見せたいための映画なのかな？っていうくらいエグイ。全然怖くはないんだけど、ちょっと食欲はなくなるかも。
この風呂場のシーンが凄すぎてあとが全部おまけみたいになっちゃってる時点で、どうなんだろう。
最後は、なんだか支離滅裂な展開すぎて、ちょっととっ散らかり過ぎ。

ごく普通の気弱な男が、異常な犯罪に加担させられ巻き込まれていくお話。

園子温の作品は、「紀子の食卓」がすごく好きでした。
「愛のむきだし」はけっこうおバカで冗長だったけど最後まで観たら、なかなか良かったなと思えた。
でも、この「冷たい熱帯魚」はちょっと…、途中で飽きたうえに、最後まで観ても満足感が無かったです。

この映画を面白いと思えるかどうかは、最後のオチというか、カタストロフィーを受け入れられるかにかかってます。
まず前段として、異常な犯罪に巻き込まれていく主人公の鉄壁の防御が凄い。これはほんと、素直に凄い。どんどん進行する事態のなかで、主人公は自分のマトモさ、俺はふつうの男なんだ、みたいなのを保持し続けようとする。妻も娘も、そういう普通さの部品でしかない。そして自分を守ろうとしすぎて、逆に良識からは乖離していくという…。ハリウッド映画だったら、もっと立ち向かうようなテイストになるだろうけど、この主人公は甲羅に頭を引っ込める亀みたいに、為すすべも無くただ自分のアイデンティティを守ろうとしてるだけで、そこが逆説的にアイデンティティの薄弱さをあらわしてるとも言える。

つまり、フラストレーションが溜まるんですよね、地味に。
犯罪者たちの異常っぷりや、刻々と事態が進行する様は見ごたえありですが、その犯罪者たちも最初に提示されたキャラがずっと変化しないので、緊張感というよりビックリ箱がいつ爆発するかを密室で観察させられているような、重苦しい焦燥と倦怠感があります。

で、この抑圧をどう解放するか、が映画を決めるわけですが。
爽快感は無いです。
自分としては、最後まで主人公に意志が生まれなかったのが残念でならない。
事態は変転するし、主人公は行動する。でもそれって結局、自分のペースを守りきれなくて暴走してるだけなので、エンディング後も鬱屈が残る。

重くて湿った犯罪映画と分類させて頂く。それにエロとグロが加わる。
ただ、このべったりした息苦しさは園子温テイストなので、そもそも繊細さとか爽快感を求めるのが間違いではあります。
結論：テイストをきちんと理解したうえで、波長の合う日を選んで観ましょう。