エクソシスト＜ディレクターズ・カット版＞

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　ホラー映画苦手な私だが、このレビューの感想や某文芸雑誌の特集などを読んでみると、本作はホラー映画をメジャーに押し上げた点では評価されるが、恐怖度ではそれほどでもない云々と書かれていたので、今年の猛暑も手伝っておそるおそる観る決断をした。
　ちなみにこのdiskは両面再生になっていて、片面に本編、片面に特別映像が収められている。両面とも表示プリントが無いので分かりづらく、確かめて再生して下さい。（このあたりから不気味だ）
　冒頭、フリードキン監督が前宣伝で登場し「この作品は灯りを落としてボリュームを上げて観て下さい」と述べているが、言ってることがよく分からない。真っ昼間から鑑賞。
　
　あの有名な挿入音楽は耳に心地良いし、映像も良く出来ている。少女リーガンのあの特殊メイクはダメ。ああいうのが苦手。声が男のだみ声に変わるところも怖い。（ブルブルブルッ）
　あれっ？と思ったのは、取り憑いた悪霊が「ファックしろ！」とか「ケツの穴に突っ込め！」とか言ってるが、この世を超越した霊がこんな卑猥な俗っぽい台詞言うのかなと、ちょっと可笑しくなってしまった。あ、この世に未練があるから悪霊になってるのか・・・。

　カラス神父とメリン神父の壮絶な悪魔払いの儀式にはちょっと感動。二人ともなにか訳ありの神父ゆえにその勇気が素晴らしい。リーガンが浮き上がるシーンも神秘的で見事。ラストは一見する追い払って勝利したかに見えるが、神父の結末を考えると必ずしもそうとは言えないようだ。
　悪霊は誰だったのか、カラス神父の母との関係など、分からない所もあったが、観終えた後の余韻は、何か達成感のようなものを感じて充実感さえ得られた。
【ホラー克服期間中】による採点。怖さ度：７５点（夢には出て来なかった）

見直して気づいた事。

�@カラス神父はロッキーに似ており、警部からボクサー風と言われている。
�A警部は映画が好きだし、捜査はちょっとコロンボ風。さすが名優という感じ。
�Bスパイダー・ウォークはカットしてＯＫ
�Cメリン神父の最期がせつなすぎる。
�Dあの家の執事さんや助手の方は別の意味でえらい。（逃げないので）
�Eリンダ・ブレアはとにかくすごい！

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「『エクソシスト』を観た」と言うと、みんなが「度胸あるな」と言った76年という時代もあったのです。
これは、未公開シーンを含めたDVDですが、勿論それ以前の「本家エクソシスト」です。リンダちゃんの首がぐるりと一回転する場面は、スクリーンを直視できませんでした。
なにしろまだR指定なんてない頃なんで、幼き者も大人も老人も、立ち見も含めて満員過剰気味の暑苦しい硬い椅子にこびりつくように映画を観ましたねぇ。懐かしいですねぇ。

汚物を吐く場面とか、派手に人相を変えて悪魔がのり移る場面とか、神父のもつ十字架におびえる場面とか、場面ごとに素直に奇声を上げる日本人でした。

この映画以降、どんどん、スリラー映画は活気づきエスカレートしていき、撮影技術や映像効果も進歩したので、こんなアナログなスリラー映画はもう、古の奥へと去っていくかと思いきや、こんなたった15分のシーンを見つけたのか取っておいたのか、どちらにせよ、奥の一手を使って販売したのですね。

回顧の念で観て、「あの頃の私」を思い出すのも良し、図太くなってしまった根性を哀しむのも良し、色々な見方があるでしょうが、今の人、つまり、80年以降に生まれた人は、怖くないでしょうね。実際、怖くないですからね。
怖いとかそんなのでなくって、ブームだったということを理解して下さい。

幼い頃からチラっとは観たりしてたんだけど全部観たことがなくてディレクターズカット版が出たときに「ちょうどイイ」と思い観てみたわけ。そしたら凄いね！怖くて！なんか体の芯のほうから怖いというか、僕これ観ると頭がイタくなる。幼い頃に観なくてよかった、観たらかなりのショックだっただろうね。あの１８０度首が回転するシーンとかスパイダーウォークを観たときは「これがあの有名なシーン」とかおもってたけど実際リアルに考えたらかなり怖くなってきた。身近な人が突然あんなのになったら・・・
本当に悪魔が存在するとしたら、人の力なんて無力なものだろうね。この映画を観るとそう思わざるをえない。神父ですら心の隙を突かれるんだから、心の闇は厄介。
あとこの映画は音楽が怖い。単調なあのピアノの旋律が頭から離れない。
なんでもそうだけど同じことを繰り返すって怖いと思いません？
あとＢＧＭがないのもイイね。余計な音がないと余計怖い。より身近に感じて。

通常版を観たのが、もうずいぶんと前なので、ディレクターズカットでどこが増えているのか、厳密には解りませんでした。ただ発掘現場まわりのカットは増えているんじゃないのかな。メリン神父の底無しの疲労感が伝わってきました。ここいら辺が、思いのほか「ビギニング」とのつながりを良くしていて、感心しちゃいました。

みなさん書いてらっしゃるとおり、ホラー映画としてはあんまり今観る価値はないと思います。フリードキン監督だから、ちゃんとした一本の映画になっているけれど、「だから何？」の付加価値分は時代のせいで飛んでしまっているので。

「ビギニング」を観て面白かった人がさかのぼって観るオリジンとしてお勧めです。