ママの遺したラヴソング

ストーリ展開のテンポが、ゆっくり過ぎるとは思わなかった。
むしろ、いがみ合っていた人間が、急接近して戸惑ったくらいであった。
エンド間際、二つ並んだ墓碑を見て、享年の若さにショックを受けた。
初老の元教授は、４９歳で亡くなっている。
５９歳の設定でも若過ぎると感じるほど、「初老」に演じられていた。
それほど、「酒」によるダメージが大きいということか。

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18歳のパーシーは学校へ通わずボーイフレンドと暮らし、だらだらと過ごしていた。殆んど覚えてない母親が他界したために故郷の家に帰ってくるのだが、、、そこにいたのは母の友人と称する元英文学教授と作家志望の若者で、母の遺言で3人はしばらく同居する事となる。結局はパーシーが母と過ごせなかった喪失感を埋めていきながら地元の人たちの暖かさに囲まれ大学へ入学する、というもの。

酒びたりで体を壊し講釈をたれる中年ボビーも、彼を超える勇気を持たない付き添いのようなローソンも、なんだか頼りないダメ人間。パーシーが来てから明かされる過去の出来事や、新しく踏み出す生活の彼らの心情描写にもっと掘り下げがあればさらに魅力的な二人になったような気がする。教授ボビーのたらたらと操る比喩的な名言が、少々難解で劇中では文章を噛んで含めるように吸収できず素通りしてしまうのが残念だった。

パーシーが幼い自分が創作した母親の思い出を語ったり、父親ではないかとサックス奏者を見詰めるくだりは切なさが漂い、周囲の優しさを感じた。これまで受け止めてもらえなかった亡き母への思いが、一方通行ではなく自分も愛されていたと感じられ、それが死んでから伝わりさらに導いてくれたという流れが好きでした。

◆ちょうど、これはゆみゆみさんのレビューでみたくなった作品でした。ご返信感謝。

「ジョン・トラボルタの主演作にはそれほどの駄作はない」
という自分勝手なセオリーを信じて借りた今作。
イントロダクションの最初の三行に書かれた内容が、この作品の全貌といっていいほどの、ゆっくりとした展開のドラマでした。
ただそれだけのストーリーなのに、どことなく魅せられる作品。
トラボルタが出ている以上“美しき哉、人生は”って感じには決してなっていないのが、逆に刺激になりました。
非常にスローテンポ、しかし優しく柔らかいタッチのドラマに仕上がっていました。

作中の登場人物の台詞の中に過去の文学で用いられた名言が、作中に散りばめられています。
それを聴いて、
「あ、また本を読みたいな…」
ってしみじみと思わされました。
秋に見て良かったなと思える一本でした。

"9デイズ"や"リクルート"で見かけて、超カッコイイ!!と思っていた俳優さんですが、あんまりメジャーでないせいか、あまりお目にかからなかったGabrial Macht。　私の数々のレビューを読んで下さった方は分かると思いますが、私が見たい!と思う映画を選ぶ基準は、ジャンル(ホラーは除外しますが)やストーリーの内容でなくて、出演してる俳優さん。　だから、その映画を見終わった後もあの映画はあの俳優が出ていた…っていうのを1番良く覚えてます、例え映画自体があんまり面白くなかったとしても…。　だから、この映画も私の記憶の中には残る事でしょう…。

作品自体は、こういう単館上映向けのストーリーはかなりアタリハズレが激しいですよね。　この作品は決してハズレではナイけど、決してアタリでもナイと言っておきます。　音楽がとっても良かった!　John Travoltaのdirty old manっぷりも凄いですが、さすが昔は"サタデー・ナイト・フィーバー"とかでブイブイ言わせてただけある!　彼の弾き語りもかなり哀愁漂ってた感じ。　Gabriel Macht演じるLawsonの語りもすごく優しかったですね。　エンディングテーマでも流れていたTheresa Andersonの"Lorraine's Song"が今でも頭の中から離れなくて、その歌だけのためにサントラ欲しいかも?と思っています。　うーん、この作品がアタリでもハズレでもないのは、ストーリー自体以外に色々良かった点があるからかな…。

お色気ムンムンじゃないスカーレット、よかった。
普通のなかなか素直になれない女の子。
こんな役もすんなり出来るんだ・・・。
パーシーのママがすごく魅力的だったのは、彼女を知る
人々からも良く解る。彼女がいい人だったから、
娘もみんなに受け入れられ、助けられる。
それなのにね、反抗的で。特に母なき実家に住んでいるボビー
には、すごかった。でも、いい加減な生活や言動の中で、
パーシーと口論になり言ったボビーの言葉で、
「故人に敬意を払え」って。当然です。
でも素直じゃないパーシーはこれまた反抗的で、自分の感情をぶつける。似てるといえば似てる二人。
ぜんぜん負けてない、スカーレットの演技。迫力、でも良くないよね、やっぱり、どんな人でも、母親だし、故人だし。
ボビーと同様同居しているローソンのパーシーへの優しさや愛情にも、ちょっとジーンとしちゃった。
二人にははっきりとする愛情表現が無いのもまた、その深さを感じた。ママが遺してくれたもの、それは娘が生きていける術、そして助けてくれる優しい人々、そして娘そのもの。
優しくて、人にやさしくする事の大切さが一杯の映画です。