カッコーの巣の上で

　やんちゃした分

　見終わった後

　心が静まり返った。

就寝時には足かせ・ベルトで拘束され、朝になれば順番に並んで看護師に薬をもらうーーーそんな入院生活からみんなを解放したのがマクマーフィ（ジャック・ニコルソン）。

暴行罪、淫乱罪で刑務所に入り、更正農場から「好戦的で勝手な発言が多く、課せられた労働を嫌う傾向がある」「労働逃れのため精神患者を装っているのではないか」と鑑定を受けるために精神病院に移送されてきたマクマーフィは、生気のない患者たちにさまざまな刺激を与え、言動で刺激し”行動することには意味がある”ということを示す。

強制入院ではない患者が、自分の希望で入院している現実。　”外の世界”で生きていくことは、物事をまんま正直に受け止める、ある意味純粋な人間には難しく勇気がいること。
『17歳のカルテ』でもそうだったが、自分を主張せずにおとなしくしていたら安全に暮らせる”中の世界”は、馴染んだら抜け出せなくなる。

自分をしっかり持つことが、どんなことにも屈しない唯一の方法だということがラチェッド婦長（ルイーズ・フレッチャー）、チーフ（ウィル・サンプソン）を見ていたらわかる。

あの婦長さんは怖い。
人の心理を巧みについてくる。
大きな声を出さなくても腕力でねじ伏せなくても、この人をおとなしくさせるには「この一言」というのを掴んでいる。
そして患者が目の前で自殺しても、平然と「いつも通り日課をこなすように」といっちゃう。

マクマーフィがみんなの前から消え、また元のように戻ってしまったのかと思いきやチーフには彼の意志が引き継がれていた。
ラストの逃走プランは彼が最初の頃提案したプランだもんね。
自分で死ぬこともできなくなったマクマーフィには、ああいう結末の方がシアワセだろう。そしてそれができたのは彼しかいない。


人間の自由と尊厳を描くこの作品についてミロス・フォアマン監督は第１にリアルでなければならない。次に人を楽しませユーモアがなければならないと言っている。

充分リアル＆ユーモアを楽しませてもらいました。
30年以上前のものですが、興行的にも大ヒット、批評家からも絶賛、1975年のアカデミー賞主要5部門受賞した作品は今見ても名作です。
今まで難しそうな映画かな〜と避けてきたのが悔やまれます。

他の方のレビューを読んでいて、違和感を覚えたのですが、この映画を見てこれは”昔のこと”だと、思ってほしくないです。あの時代の世界的な先進国（？）の医療水準から見ると割と進んだ医療だと感じました。

私は、2年前、日本ではマトモな部類の開放病棟の病院をわざわざ探して、入院していたことがあります。軽度の患者さんのみ受け入れるところです。院長が精神患者の人権を守るために、若いころ活動をしていたこともある人でした。
でも、院長から何かわからない薬を大量に飲まされて、ろれつが回らなくなったりしました。摂食障害の友人が喧嘩をしてちょっと大声を出して取り乱したときに、点滴大量に入れて無理やり眠らされて病院を追い出されたときはショックでした。

あと、病人の演技がうまいって言う人が居るけど、イメージじゃないかなあ？？一般化しないで、映画の一人物としてみてほしい。薬の過剰投与でちょっと普通の人と違う感じは共通している部分はあることはあるかもしれませんが、重度にせよ、軽度にせよみんながみんなああでは無いです。

レビューになってないけど、ちょっと待って！と思ったので。
長々とすいません。
そこら辺を踏まえてご鑑賞ください…！

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ずっと観たいと思いつつ、なかなか勇気が出ませんでした。

名作であることと精神病棟の話であること・・
という浅い知識しか持っていませんでしたが、重そうだったので観終わった後に心がすごく動きそうで。。
実際観た今は想像以上の衝撃と疲労感です。
直後よりも、少し時間を置いてからの方が
すごい映画だったなぁと思えてきます。

邦題が映画の意味合いを変えてるようで、残念なような、
逆に深読みせずに観れてよかったような。
原題はone flew over the cuckoo's nestですが
one flew (overを上にと訳すのか？flewに付けて
逃げると訳すのか‥？）
要は飛んで行ったのは２でも３でも大勢でもなく、
残念ながら「one」でした。
実際はマクマーフィー（ジャックニコルソン）の魂も乗せて
併せて一つになったという意なのでしょうか。

いずれにせよ、チーフ（インディアンな方）がマクマフィーに
手をかける心理は理解できる。
でも、実際にはできないことです。
しかし、彼が手をかけたことで、ロボトミー手術によって
見る影もない変わり果てたマクマーフィーの姿は
誰にも知られず、永遠に奔放で豪傑な姿のまま
他の患者仲間の心に残るのでしょう。
チーフがマク同様「大きい男だった」という酒にのまれた
実父の死を語るシーンがありましたが、父の最期も彼が葬ってしまったのかなと後で感じました。

カッコーという鳥は、別の鳥の巣に卵を産み、
まんまと育てさせるズルイ鳥！という認識を幼い頃から
持っていましたが、
この作品はまさにそれを表しているのですね。
ビリーが自殺前に母親のことを婦長とやりあうシーンは
まさにそこを表現している様に思えてなりません。

登場される方々が、本当の患者さんなのか、演技なのか
分からないくらいリアルだったため、胸がズキズキもしたし、
楽しそうなシーンには、心からホッと嬉しくなりました。
作品作りや演者を選ぶのに、かなりの力を注いだ事が
本当によくわかります。

名作と言われる作品でも「ん？」と人物名や流れを把握するために巻き戻しすることも度々あるのですが、
この作品は一度もそれがなかったです。
それだけ、力を入れて見入ってしまったためか、
大変な疲労感を感じました。
素晴らしい作品がゆえにというのはもちろんでしょうが、
ガンガン声を張るマクマーフィーという男のキャラのせいでも
あるでしょう（笑）
何度も観たとレビューされてる方もいらっしゃいますが、
本当に感心します。私は当分観れません。満腹です。。
そして、音楽はとてもよかったと感じています。

原作の小説はチーフの視点から書かれているとのこと、
この衝撃と疲労感が落ち着いたら、ぜひゆっくり
読んでみたいと思います。

タイトルは知っていたけれど、初めて観ました。
６回程毎日観たのですが、悲しく辛い作品でした。

観ていて痛々しさを感じると同時に
人間性について、人格について考えさせられました。

精神を病んでいると、本当の自分が現れてくるようです。
主なメンバーの個性を見ていて感じました。

音楽がとても効果的に使われていて何回か
眠ってしまいました。

精神病院で働く人たちの苦労は想像以上です。
患者の日常に、変化をもたらす事がいい事なのか
悪い事なのか…。
私にはまだ良く理解できません。

すべての人が真剣に考えるべき題材を取り上げた
秀作だと思います。