腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

永作さんのボケた演技は素晴らしかったです。カンヌへ出品してましたが納得のストーリーですね。フランス人が好きそうな設定じゃないかなって思います。サトエリの美貌に少しドキドキし、きつい性格にムッとし、あの上昇志向にはある意味凄ささえ感じました。本当の才能を持っているのが妹（佐津川愛美）である事、普通に物事を見れるのも妹、なんか皮肉たっぷりのストーリーで非常に楽しめました。この映画も役の設定が、普通じゃあり得ない役柄で、特に永作さんの設定が愛おしくなるくらい好きになりました。

ひねくれてしまえば、大木ひびきじゃないですが「そんな奴おらんやろ〜」って事になるのですが脚本が良かったので全然気にならなかったです。（笑）

でも、演技力って観ると違いがわかりますね〜！
誰とは言えないですが、しっくりしてなかった人も．．．

強烈な作品なんだけど、舞台はものすごく地味な田舎町。こういう小さなコミュニティにこそ、負のエネルギーが鬱屈しそうだなー。

主人公は、自意識過剰＆天上天下唯我独尊キャラの、三流女優・澄伽。その姉を観察者＝表現者として見つめる好奇心旺盛(でもモラルなし)な妹・清深。そして、家族の秘密を一身に背負う、ＤＶ気味な腹違いの兄。薄幸でお人好しなその姉嫁(趣味は呪い人形を作ること)の4人。一癖もふた癖もある家族の濃いドロドロした劇。

澄伽のような人って昨今多そうだなー。実力もないし努力もしないけど“自分は特別”って信じてる人。また芽が出ないのは、事務所のせい、審査員のせい、家族のせいって他人に責任転嫁してイライラしてる。でもプライドが高いかと思えば、誰にでも簡単に体を許したり平気で借金をしたりするのも矛盾してる気がするけど。まあトンでも娘だったけど、妙なエネルギーが満ちあふれていて(方向性は間違ってるものの)感心。このエネルギーを正しい方向に出せば、女優だって何にだってなれそうだけどなー。

サトエリって大根だと思ってたけど、この勘違い娘には適役です。ずその肢体は人間離れしていて相変わらずサイボーグのようだった。また、美少女の佐津川愛美が、ネクラな妹・清深を演じているのもよかった。「やっぱお姉ちゃんは最高に面白いよ」って姉を蔑む台詞、不気味で良かったなー。芸達者な薄幸兄嫁・永作ちゃん＆ＤＶ兄の長瀬正敏も作品を引き締めていたよ。

ドロドロ劇なんだけど、漫画っぽくポップなのであまり重くなくて良かった。見終えて意外にも爽やかな気分。

とかく仕事でも恋愛でも、女性の方が自意識が強く、夢見がちなんだろうなー。図々しいけどかくいう私も、三十路くらいまで自分がちょっと特別なんじゃないかって妄想を抱いてました。集団に馴染めない私は周りとは違うんじゃないかって。三十路を越えて、これは端に集団行動が苦手なだけだって気がつきましたが(苦笑)

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まず、タイトルに惹かれました。

解説を見たら　自身の劇団を率いる気鋭の女流作家　本谷有希子さんの大ヒット戯曲を映画化したとのことで　これは観なきゃ！と思ったんですよ〜。

両親の訃報を聞いて　女優目指して上京していた　澄伽（佐藤江梨子）が　田舎町に戻ってきた事によって　日常に軋みが生まれてくる　という　家族のお話。

自分大好き　それこそ　地球は自分を中心に回っていると勘違いしている　ウザイ澄伽のキャラは　強烈です！（サトエリさんの芝居は賛否両論あると思いますが　私は　キャラがあっていて　いいのでは？と　思いました。）

メチャメチャ　性格悪いです！！！

自分が　女優として大成しないのは　妹の清深（佐津川愛美）が４年前　澄伽をモデルにホラー漫画を描いて　それが　新人賞をとってしまい　田舎中に澄伽の悪行が知れ渡り　恥ずかしい思いをしたトラウマのせいだと　八つ当たり・・・。

田舎の純情娘　清深の事を　イビリ倒します。

母親と再婚した父親の連れ子で　血の繋がっていない　兄ちゃん宍道（永瀬正敏）は　なんで？と思うくらい　妹の澄伽に気を遣い　やたらと「家族なんだから。」を強調・・。

怪しいと思ったら・・・やっぱりね・・・。禁断の愛？同情？とにかく　性格ブスの澄伽の唯一の味方です。

宍道の妻　待子役の　永作博美さんが　健気な垢抜けないトロイ主婦役を好演！東京育ちなのに　誰よりも　田舎臭い　お人好しの待子は　この物語のムードメーカ的存在で　その役割を見事に果たしています。

ずーっと　澄伽にいたぶられていた清深も　意外とシタタカで　どんでん返しもあったりして　家族の日常なんですが　澄伽に引っ掻き回され　ブラックジョークもありの　でも　なんか物悲しい非日常が見え隠れする　興味深い内容で　見応え有りでした！！！

男は　やはり弱い生き物ですね〜。女は逞しいです。なんだかんだ喧嘩しあいながらも　お互いを利用しながら姉妹は　したたかに生きていくのでしょう・・・。

これ　舞台でも絶対面白いと思います！

　冒頭から、葬式の場面で、男が妻らしき女性を、怒って突き飛ばす。女性は二転三転して、ふすま戸に激突・・・。ビックリするようなリアクションで、のっけから、この映画、尋常じゃないなと思わせる。　　　　　
　目立つのは、姉の澄伽。勘違いが激しくて、わがままで、なんか本当にこの辺に居そうな女。外から見ている分には、この自分勝手さは、気持ちが良いけど、ちょっとイライラするところも・・・。
　この家族の中で、誰がいちばんまともか、考えてみたけど、よく分からなかった。でも義兄は、妹二人に振り回されて、いちばん可哀想な気がするし、兄嫁の街子も、素直な性格だけに、この家族の中で痛々しい。
　後半で、妹の清美が、姉に反発して喧嘩になるあたりは、もっとヤレヤレと、思ってしまった。
　結局ラストで、妹は東京に行けたのか、姉はどうなったのか、よく分からなかった。ただ残された、兄嫁の街子が、ちょっと可哀想だ。
　劇中、「家族」という言葉がよく出てくるが、ここでは家族の繋がりとか大切さよりも、「家族」を理由にして、ただ一緒に居るだけ。だから「家族」という言葉は、なんか空々しい。
　この映画は、何が言いたいのか、まったく分からないのだけど、作り手はそういうことは分かっているから、メッセージ性を考えるのは、まったく必要ないようだ。
　ラストも、観ている側を、あっさり突き放すかのようだ。タイトルは、単に奇をてらっているだけかと思っていたら、「腑抜けども」っていうのは、そうか、観ている側のことなのかと、ふと思えてきた。

自分が不幸だと気づいていない兄嫁の待子を
永作博美が朗々と演じている。
普通は薄く、薄くなりがちな兄嫁の存在感が
この狂気すれすれの家族の清涼剤として働いている。

というかもうむしろこの映画のスピンオフとして
待子を主人公にして映画を撮って欲しいと思うほど！！

いい！
「かもめ食堂」の中のもたいまさこ的にいい！！