双生児−ＧＥＭＩＮＩ−

本木さんの鬼気迫る演技もりょうさんの神秘的な演技も
印象的でしたが、竹中直人さん、浅野忠信さん、村上淳さん
が出てると思わなかったのでびっくりしました。

塚本監督の世界観が、うまく乱歩と融合している作品です。
えてして、暴走しがちな塚本監督ですが、
この作品は、きちんとまとまっていて、
監督のこだわり、役者、ストーリー、美術などが
うまく影響しあいすばらしい作品にしあがっています。
私は、貧民窟をあえて、汚くせず、
布をうまく使った表現方法が非常に気に入りました。
主演の本木さんの演技は鬼気せまって、すばらしいです。

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いかにも外人受けの（裏を返せばまともな日本人が見れば違和感があり、日本的美意識ともかけ離れている）底の浅い疑似ジャポネズムに吐き気がしそうな作品です。
特典映像の中のベネチアに招待され、普通にしている主演のRYOと本木のほうが、作品中の彼らよりも魅力もあり、自然に「演技」している。役者の魅力を全く作品で表現できなかった監督兼脚本の塚本の力量のなさを、監督本人が反省し、次につなげてほしい。
初期の「鉄男」が、作品中でグロテスクな表現の中でも、無名の俳優すら輝かせて見せていた当時と比べても明らかに後退しています。とても残念な作品です。

　塚本晋也作品に江戸川乱歩の原作。はじめはピンときませんでしたが、塚本氏の映像感覚と共通点があり、思っていたよりもずっと良かったです。
映画や本で触れる‘明治’が、最近とても気になる私には、設定にも魅力を感じました。
和と洋の融合した部屋。調度品や家具、舞台となる旧家にいたるまで、なかなかいい雰囲気です。

大徳寺医院の若き医者・雪雄は、何不自由なく裕福に暮らしてきました。
美しい妻・りんとの出会いは奇妙であったけれど、記憶喪失以外は心配もなく幸せな毎日。
しかしいつの頃からか、どこかで誰かに見られているような視線を感じはじめます。
恐ろしい形で運命に翻弄されようとしていたのです―――

聡明かつ温厚な雪雄でしたが、ただひとつ、貧民窟だけは害毒と思えてならない欠点がありました。
ある時、両親が相次いで死ぬ奇怪な出来事を皮切りに、雪雄に忍び寄る魔の手。
彼は襲われ暗い井戸の底へ突き落とされてしまいます。
犯人は雪雄に瓜二つの男で、貧民街に住む・捨吉。
中身のまったく違うふたりの人物を、本木雅弘が熱演しています。

なぜこんな仕打ちを受けるのか…次第に明らかになっていく展開がおもしろい。
記憶を失くしたりんの秘密、捨吉の秘密、そして雪雄の秘密。
過去の因縁が絡みに絡んで、捨吉の復讐劇に巻き込まれた夫婦は、それぞれに抱えた現実と対峙します。

貧民窟の鮮烈な色使いと、変わらないグロテスクな映像が、塚本氏らしい。
今回は出演せず、本木雅弘に全部託して成功しているように思います。
撮影の過酷さが、見てるだけで伝わってくるほど、すごい映画ですね。

「あるところに双生児が生まれ、ひとりの腿には真っ黒い蛇の痣がありました―――」

いかにも明治、いかにも乱歩原作の奇妙なお話。
かたや裕福な医者の息子、かたや貧民窟のやくざ。
運命の逆転でもって人間が変わる――それが静かにやってくるラストが好きでした。
変わらない短尺と、出演陣みんな眉がないのもいい。

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最後に回診に行ったのは・・・
おそらく兄（雪雄）ですかねえ。

雪雄の顔を見て、ボロを着た男が二度目にびっくりしたのは
あくまで以前とは違う実際に人（弟）を殺めたが
為に生まれた幸雄の新たな『顔』だったからでしょうか。

でも、最後の人物がどちらなのかと、
意味深に迫るが為に、今までの構成の重圧感が
ややずれた感がしてしまいました。
どちらなのかとすっきりしないが為に
妙にすっきりしすぎる最後なのでは。