ミッドナイト・エクスプレス

昔、観たハズだったけど、なんだかすっかり忘れてた。
オリバー・ストーンで、ひっかかって、改めて観たんだけど、
重かった！こんな映画だったんだっけ・・・？
実話が元とは。
でも、今から２８年前に作られた映画だからなぁ。
トルコに対する認識が全然ちがうなぁ！
刑務所の中があんまりにも自由なんで、びっくりした。

こういう話は今でも、日本にもあるんじゃないかな。
タイか、フィリピンの刑務所に入っている日本人っていうの、
テレビでみたことあるけど、そういうことだよね。

同じことをしても、国によって、罪の重さが違うし、
扱われ方も違うだろう。
その時の国同士の国交情勢によっても変わってくるだろう。
だから、どこに行っても、法に反することをしては
いけないよ、どんな目にあったって、自業自得だよ。
ってことだ。

何度も観られる作品では無いが、一度は観賞すべき映画と思う。
が、良くも悪くも極めてアメリカ的であり、そこらあたりが評価の分かれるかもしれない。

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刑務所の内部などはリアリティを感じましたし、（この事件を知らない人には）先の見えない展開で面白かったですが、個人的にはあと一歩といったところです。

政治的意図の込められたこの作品は、当初は４年の刑が国の意図によって終身刑（温情によって３０年になりましたが）にされてしまう不当性を見事に暴いています。作品中の台詞にもありましたが、まさしく彼は「いけにえ」なのです。この映画の影響によってトルコとアメリカの間に囚人の交換協定が結ばれたことは、この映画がこの政治的意図において成功していることを意味しています。

しかし政治的意図に重きを置いたせいか人物描写に欠ける所があります。作品は主人公が逮捕のきっかけとなる犯罪行為のシーンで幕を開け、それまでの生活をうかがわせるのは恋人とのやりとりくらいです（これもほとんどない）。そのせいで観客は主人公に共感しづらく、刑務所の恐怖は伝わっても「犯罪を犯したのだから当然」といった思いすら感じてしまいます。

そうは感じさせまいと、刑務所の恐怖を畳み掛けるように描写していくのですが、これではキョウコさんのようにトルコそのものを悪にしているような印象も受けてしまいます。これは“政府による人権侵害”だということを明確にするためにも協力的なトルコ人の登場人物を出した方がよかったかなと思います。実話だということにこだわると創作の人物を出すのは間違いなのかもしれませんが、映画を作るということ、もとい当事者の記憶想起そのものが絶対的な客観にはなりえない創作の要素も含むものであることを考えると、私はそれもありかなぁと思ったりします。私なんかは、主人公の人間性をしっかり描写した上で、終盤で殺してしまう所長を優しい心の人格者という設定にすれば「主人公＝善」のような二元論を脱して深い作品になるかなと思いましたが・・・政治的意図に副わないしダメかな（笑）

音楽や美術は素晴らしいですし、テーマもリアリティある社会的なものながら、脱獄というスリルのあるエンターテイメント性もあるので、登場人物の設定・描写を丁寧にすれば間違いなくもっと深みのある傑作になったと思いました。

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冒頭のトルコの町の描写などは、雰囲気出ていたと思います。イスタンブールの町は実際にはもっと健全で明るいですが、映画ですから多少の誇張は仕方ないでしょう。

でも、トルコ政府が上映を禁止しただけあって、かなりアメリカ的内容になっています。大麻所持、しかも密輸という重い犯罪を犯したわけですし、逮捕後逃げてますし、刑務所に入るのは順当なはず。必要以上にトルコ人が悪者扱いされているのは、ちょっと不愉快でした。

それにトルコ人の老けた醜い人ばかりを出してきて、アメリカ人はハンサムばかり。これもちょっと映画的かなぁと思います。この映画を見てトルコが嫌いになっちゃった人がいたら、それは間違いですよ。

私の親友が、拘置所に入っていた時を思い出しました。面会事に衰弱していく彼を見るのは本当に苦痛でした。もちろん映画の様な出来事は無かったのでしょうが、犯罪者を美化しないという点では恐い位のリアリティを感じました。主人公を取り巻く事態は二転三転して、ハラハラしながらも引き込まれていく内容です。個人的には、恋人が訪ねてくるシーンで主人公の取った行動が、この映画のハイライトだと思ってます。それは本当に切なくて涙が止まりませんでした。