マイケル・ジャクソン　ＴＨＩＳ　ＩＳ　ＩＴ

まず最初に、僕の「マイケル・ジャクソン観」は、
おそらく（彼が亡くなる前の）世間一般のイメージと同様、
「超売れっ子エンターテイナーだけどいろいろお騒がせな人」といった程度で、
ファンでも無ければ特に曲を知っているわけでもなく、
ライブ映像も観たことありませんでした。

で。
まず最初に、「映画として」の評価を言えば、
まあはっきり言って語るには値しないものです。
そりゃあそうですよね。リハーサル風景ですから。
言ってみれば、特典映像として入っているはずのものを
２時間たっぷり入れましたよ、という内容なので、
当然ながら演技も演出も無いわけです。
彼が亡くなってしまったからこその映画化なので、
仮に無事、このロンドン公演が行われていれば、
おそらくもう少しはしょった形で
DVDなりブルーレイなりに入っていたであろう、
「リハーサル映像」以上の何物でもありません。
そんなことは観る前から百も承知だったので、
こういう評価はフェアではない…というか、
的はずれだとは思いますが、
僕は一応マイケルファンではなく映画ファンとして観たので、
そういう視点で評価させて頂きました。

とは言え、彼のパフォーマンスのすごさは、
公開時に同じような「マイケル観」の人たちから
かなり聞かされていて、大体予想はしていたんですが、
それでもやっぱり純粋にすごい、見入ってしまうものがありました。

何が良い、ってまず曲がいい。
どの曲も非常にキャッチーで、リズムを刻みたくなる曲ばかり。
そのリズムに合わせて展開するダンスがまたかっこいい。
マイケルらしい、人を集めて同じダンスをみんなでやるアレですが、
今更ながらここまで曲のリズムとマッチした動きを追求されると、
観てるだけで気持ちがいい。

そしてやっぱり、マイケル本人の才能。
これはすごかったですね。
こんな動ける50歳、いませんよ。
息も乱れず、歌とダンスをこなしていく50歳。
リハだから、なのかもしれませんが、
歌もダンスもあまり力が入っている感じが無かったんですが、
それが「手を抜いてる」というよりは「無駄がない」。
バックダンサーもすごいんですが、
マイケルは動きに無駄が無く、その分ピシッと決まって見える。
これはもう、本当に「さすが」としか言いようがなかったです。

そういう歌とダンス以外にも、ベースやギターの演奏に対する意見だったり、
照明だったり映像だったり、すべてに彼の指示が入っていて、
なるほど、彼は「ミュージシャン」ではなく、
「アーティスト」だな、と納得。
単なるフロントマンではないところに
彼のすごさがあるんだ、とわかりました。

もう亡くなってしまった方なので、
今更いろいろ掘り返そうとも思いませんが、
僕はこの映画を観て、「マイケルすげぇ！超かっこいい！」と
単純に賞賛する側に立つ気持ちはサラサラありません。
事実はわかりませんが、いろいろな問題があったかもしれない人、
ということはきっと忘れないと思います。
ですが、エンターテイナーとしての才能は、
これはもう超一流としか言いようのないものがあるのは
よーくわかりましたね。
確かにこれだけできるのに亡くなってしまったのはすごく惜しいし、
世界的な損失だ、という気持ちもわかりました。

ふぉ〜

ひ〜はぁ〜

本来ならば特典映像です。
もしくは陽の目を見ない映像のハズでした。
この映像が作品として世に出なければならなかった事実に
未だに喪失感をぬぐえず
残念な気持ちが少しも消えません。
最後のワールドツアーになったであろう
THIS IS IT ツアー
その全貌が明らかになることなく
その興奮を誰一人味わうことなく
全てはまぼろしとなりました。
全ては叶わぬ願いとなりました。

この作品を観ないわけにはいきませんでした。
最後のマイケルを観ないわけにはいきませんでした。
そこに作品のクオリティーは期待していませんでした。
ただ、知りたかった。
マイケルがどんな気持ちでこのツアーを成功させようとしていたか
マイケルがどんな曲を歌おうとしていたか
マイケルがどんなダンスを踊ろうとしていたか
マイケルがどんなメッセージをこのライヴに込めようとしていたか
その思いを少しでも感じたかったです。

ムーンウォークが出てきません。
満足なダンスも披露されません。
それでも、マイケルはそこにいました。
それだけが唯一の望みであり
それだけが唯一の望みであることが
どうしようもなく悲しいです。

ある場面でマイケルがメンバーにＮGを出します。
そのときマイケルは言います。
「怒ってるんじゃないよ　愛だよ」
この一言は消えない記憶となりそうです。
この一言にマイケル・ジャクソンが表れているような気がしました。

マイケルの死という現実より過去も
その当時も
そして今も未来も
言える事はただひとつ
「このライヴが観たかった」

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ぶっちゃけ　私は　マイケルのファンではありません。
ただ　ビートイットやスリラーの音楽映像にはパフォーマンスにトキメいていた時期もありました・・・・。

その後　数々のスキャンダルがニュースで流れたり　黒人なのに　白人より白くなっている姿にど〜なんだろう・・・？と思いつつ
それでも　知人には　熱狂的なファンがいたりしました。

そして　突然の死・・・・・・・・・・・。

ファンじゃない私でも　自分でも驚くほどビックリしました！

やっぱり　彼は　スーパースターなんですね。

もう　姿を見れないと思ったら　彼の最期の姿を見たいと思うものじゃないですか！？


冒頭　オーディションで勝ち抜いた　ダンサーさんのインタビュー。
マイケルのバックダンサー　バックダンサーですよ！　で踊れることを最高の誇りとして　感極まって涙ぐむダンサーさん。

「今まで最高の人達と仕事をしてきたけど　これ（マイケル）が頂点だ。」と言い切る　ギターリスト。

「あなたがいるから　自分は踊っていられる。」自分の生きる道を教えられた　ダンサー。

ダンサーや歌手に拘らず　世界中で　マイケルに崇拝し　魅入られた人々がどれだけいるのだろう・・・？

彼が　こんなにも　愛されている理由・・・・。
それは　彼が　みんなを愛していたからなのかも・・・・。
人によっては　偽善と解釈するかもしれない　ちょっと恥ずかしくなるようなセリフも　彼は　純粋にそう思って　言っているような気がする・・・・。

地球崩壊・環境汚染に胸を痛めていたシーンもあったが　彼は「誰かがやるだろう・・・なら　自分がやる。４年で　地球を救う。」と言い放った。

うん・・・。
マイケルなら　本当に出来るかもしれないという錯覚に陥る。
ある意味　神がかりな人だ・・・・。
人間だけでなく　地球規模で愛を注いでいる人を　神は　連れ去った・・・・・。
そう　思ってしまえるほどに　オーラのある人だ・・・・・。

映像を観ただけで　そんな感想を持てるということは　生で付き合った人達はどーだったんだろう！？

リハーサル。
出番の無いダンサー達が　ステージ前で観客と化している姿。

ゴマすりでもなんでも無く　ひたすら　リハーサルで　少し手を抜いて（慣らすために）　軽く踊って軽く歌っているマイケルに熱狂している姿。

本番を迎える事は出来なかったけど　この　何百時間にも及ぶ　リハーサルで　一緒に過ごした　キャスト・スタッフにとっては　一生の最高の誇れる思い出となるであろう・・・。
その反面　悔しかっただろうなぁ〜〜〜〜〜〜・・・・・・・・。
やりきれないでしょう・・・・・・・・・・・。

チケットを買ったけど　公演中止で　払い戻しをした人っているのだろうか・・・・？
おそらく　いないでしょう・・・・。

ファンではない私みたいな人間でも　こんなに　熱くなれる　そんな人　いるだろうか・・・・・？

そんな　全ての人々の愛を垣間見えたような　悲しい悔しいドキュメンタリー。

人生つまらない・何にもやりたいことが無い等々　つぶやいている人達には　ぜひ　観てもらいたい。


マイケルは最高のエンターティナーであり　パフォーマーであり　演出家であり　アーティストだ！