ダラス・バイヤーズクラブ

マシュー・マコノヒーとジャレッド・レトーが共にアカデミー賞主演男優賞と助演男優賞に輝き、２人の驚異的な減量で話題先行した作品ですが、‘映画の面白さ’という点で、個人的にはもの足らない印象です。

エイズ治療に有効な薬の販売ルート確立に尽力した男の物語で、重いテーマだけに、Ｍ・マコノヒー迫真の演技には驚かされます。９６年「評決のとき」の若手弁護士の印象はみじんにも感じません。
一方のＪ・レトーも性同一性障害のエイズ患者を力むことなく演じ、これまた名演技です。
この２人の演技には文句のつけようがありません。
実話を忠実に映画化しているのでしょうから、これはこれで立派な作品なのでしょう。

でもやっぱり‘映画の面白さ’ということにこだわってしまい、何かスッキリしない印象ばかりが残りました。

テーマがＨＩＶだからなんとなく重そうで、凹みそうで怖くて気になりつつ避けてた作品でした。


でも結果観て大正解！
素晴らしい映画でした！

主演２人の壮絶な減量は言わずもがな、まずストーリーが面白い。

ロンが死と直面して、そこから這い上がっていく姿がなんとも痛快。

もちろん、その先にはどうしても死が待っていることは承知の上。

ＨＩＶウィルスはどう頑張っても消えて無くなることはない。
だからどうにかして悪化を止め上手く共存していくしかない。

そこに気づいてからのロンの巻き返したるや！
生きる目的を見つけ、水を得た魚のように治療薬を求めて奔走するロンの生命力がとにかくすごい。カッコいい！

エイズ患者の物語なのに全然辛気臭くない。
死の床で衰えていく主人公を観せられるよりもずっと心に響いてきました。

そして特筆せずにはいられないキーパーソン、レイヨン！

カーテン越しの初登場シーンからその美しさ、儚さに目が釘付けでした。

減量だけではない、その役作りの徹底振りにほんとやられました。
シビアな話の空気を自然と和らげる可愛らしさ！ジャレッド・レトー、素晴らしすぎます。


淡々とした映画ですが、ロンが裁判の後に拍手で迎えられるシーンなど胸が熱くなりました。


久々に出会えた『役者の演技で魅せる映画』


本当に観てよかったです。

この映画は、1992年に『ダラス・モーニングニュース』の記事で取り上げたられたロン・ウッドルーフ（英語版）の実話が基となっているそうです。

無類の女好きのカーボウイはエイズで余命一月と宣言され、そんな馬鹿なとカーボウイは図書館でエイズに効く薬はないかと調べるが…
アメリカでは認証されていない為に使用できない。
それで諦めないカーボウイ、なんと国外までアメリカでは違法と言われるエイズ薬を買いに行く。
そしてアメリカに持ち込み、病院で知り合ったホモ友と一緒に販売網を設け、会社として設立までする。

なんともトントン拍子の展開だが、そうは問屋が卸さないで次々と問題が発生。
余命一月の彼はなんとその後数年生きて亡くなった。
そんな彼の生涯と患者の意思を無視した政府機関との戦いが見物。

これはかならず見て後悔しない価値のある作品である。
「ドラッグ・酒・女」にだらしない電気技師でロデオ・カウボーイのロン・ウッドルーフ（マシュー・マコノヒー）は偶然の血液検査でわずかHIV余命３０日であることを医師に告げられるが・・・
突然の死の宣告「３０日」を受け入れることができず、限られた時間で助かる方法を模索するのであった・・・

当時まだエイズは「ゲイ特有の病気」だと一般的には思い込まれており、無類の女好きであるロンは診断結果を信じようとしなかったが、詳しく調べるうち、異性との性交渉でも感染することを知る。しかし友人や同僚たちに疎んじられ、居場所を失ってゆく。

この作品でまずロン・ウッドルーフはどうしようもなく汚い男である。
友人や同僚たちにゲイ扱いされていたため、ゲイには嫌悪感で一杯で当たりが強い。
HIVと宣告されてもなを「ドラッグ・酒・」を止めることさえもできないどうしようもない男であるが・・・

そんなどうしようもない奴が徐々に変わっていくのである「なんとかして生きたい→薬を売り金儲け→同じ病人のため」というように
途中でなんとか生きながらえる為に未承認の薬を求めてメキシコに渡るわけだが、車を止めて銃を持ち泣き叫ぶロン・ウッドルーフに感動しましたね
「生きたい　生きたい」という気持ちの裏腹「もういっそのことここで銃の引きがねを弾き死んだ方が楽なんじゃないか」ここでロンの弱い心の部分がでていた。
そしてあれだけ毛嫌いしていたゲイのレイヨンにさえ心を開いていく・・・

最後には「患者が薬がほしいがお金がない」と言っていますと秘書にゆわれたロンが「入らしてやれ」といい
秘書「ですがうちにはもう資金がありません」
ロン「じゃ俺の車を売れ」
と秘書に車のキーを渡したのにはここまでロンが変わったんだなと関心しましたね。

いや〜改めて映画っていいな〜〜と思わせてくれる作品でしたね！

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男らしい男であるカウボーイからファゴット（オカマ）への転落、あるいは落馬（落牛）。
HIVに感染することによりこの世から追放された主人公は、それまで差別していた日陰者であるファゴットと同棲するこになる。
エイズ患者という被差別者であり、この世のホームレスでもある人々を主人公はボランティア精神とは無縁にも関わらず結果的には救うことになる。
人間存在そのものがこの世から追放された堕天使であるとするならば、天国から落下して片足を骨折したサタンには善意などというものとは最初から無縁なのだ。
おそらく、誰も気に止めることのないだろう場面が冒頭に仕込まれてある。不法移民が片足を潰されるという何気ない場面に何かの意味を見つける人は多分皆無に近いのではないかと思う。