雪に願うこと

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存亡の危機にあるばんえい競馬。現実とリンクするそんな裏寂れた舞台で淡々と進むストーリー。派手な見せ場やどたばた、アクションはありませんが見終わってジーンと来る。そんな映画です。

田舎を嫌い過去を捨てて上京し、やがて事業に失敗しすべてを失った主人公・矢崎学（伊勢谷）は捨て去ったはずのふるさと北海道に戻ってくる。いつも調子コイテいてどうにもならなくなるとドタキャンするそんなどこにでもいるような彼が初めて人生に正面から向き合う。そんな重いテーマをサラッと見せてくれるのは流石です。

嫌われ松子や出口のない海で波に乗っている伊勢谷友介さんの主演、繊細な人物描写を武器にする実力派映画監督根岸吉太郎氏のメガホンというと間違いないでしょう。脇も豪華絢爛。

ＡＴＧ出身ならではのきめ細かな出来栄えです。ラストは余韻を残して見るものの想像に任せる手法は古典ではあるが、説明過多の今時逆に斬新。

同じ馬でも心動かされる作品にはならなかった。
多分、ストーリー自体が単純だからかな。

ばんえい競馬の騎手って、あんなに簡単に
出来るもの？スタント？素人、それも女性
が楽々御せるはずがないと思うのですが・・。
訓練期間はどの位なのでしょう？競馬の
騎手の大変さを、実際に乗馬を習っている
時に見様見真似でやったことがあり、あの
姿勢で1分と持たない自分にビックリした記憶
があるので（ただ単に運動音痴？）分かるので
すが、ちょっとその辺が気になりました。

役者陣はよく揃えたという感じ。まぁ、落ちついて
観てられるメンバー。ただ主人公の彼はわざと
ああいう台詞の言い方なのでしょうか？
何だか舞台調、棒読みに聞えた部分もありました。

今、話題のばんえい競馬って事で観たけど、どうなんだろう？うん、イイ映画だとは思う。けど、思っていたより淡白な感じ。確かに「ばんえい競馬」に携わる人々の生活感は伝わってきたけど感動とはチョット違う感じ。ストーリー的にもヒネリもなく、よくある話的な展開で、何を主体にし何を訴えたいのか伝わってこない。ただ粛々と観るには静かでイイと思う。そういえば、この前観た「ハチクロ」にも伊勢谷君が出てるけど「ハチクロ」での彼と「雪に・・」の彼とが全然違うのがチョットおかしかった。とにかく落ち着いて静かに観る事ができる作品でした。

は、＜ネタバレ＞になるので、づっーと下↓に。

ばんばの魅力は第2障害の坂越え。
人馬が呼吸を合わせるのはもちろん、仕掛けるタイミング待ちで、騎手の間でも駆け引きがある。たずなだけでなく作戦の良し悪しで、ゴール直前で息切れしてストップしてしまうこともあり…のやる方も掛けてる方も人生の縮図を感じるレースなんです。
そんな、ばんばの魅力を伝えてくれると同時に、知ることのできない厩舎の生活、まさに人馬一体の生活に感動できます。

その、ばんばと重なる人生が、身勝手な甘えの挫折、力を蓄えても越えられない坂を前にした時の葛藤、認知症の悲しさ、期間限定の結ばれない愛…。
そして、静かに終わる「再生」のテーマに、きっと観ている自分にも希望がわいてくる映画です。

そんな、道産子の象徴“ばんえい競馬”も、ニュースで話題になっていたように、現在（2007年）は、売上減少による累積赤字の増大で、旭川・北見・岩見沢がレースから撤退し、帯広のみの開催です。

だから、この映画は“ばんえい競馬”の危機を救うべき社会的期待もあった映画なのです。
この映画観て、ばんばの魅力を感じてください。
（楽天で馬券買えますし、協賛賛同金の切手販売も行ってます）










＜ネタバレ＞
でも…映像がきれいすぎて、現実の厳しさが伝わらないんです。
あえて言うなら、そこに住む人が「雪に願うこと」は「雪よ降るな」ってこと。
ザクザク音たてる雪は違うんですよ。キュキュと音をたて皮膚が痛い雪なんです。
わっー北海道って綺麗、幻想的。観光客カメラだけで撮らないで欲しい。
弟のセリフ「兄さんが羨ましいよ。生きることに迷いがない。」
違うんです。「迷うことが許されない厳しい生活」があるんです。
そこをカメラで観せてくれれば、東京国際映画祭４冠だけじゃなく、全ての賞を総ナメにできるくらいの、後世に語り継がれる邦画名作「ばんば映画」になっていたと思う。

北海道のばんえい競馬場を舞台に家族愛と再生をテーマにしたヒューマンドラマ。ほのぼのと感動します。最近の日本映画は面白いですね。