プルーフ・オブ・マイ・ライフ

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偉大な数学者親子の話ですが、
ストーリーそのものには数学はあまり関係ありません。
数学嫌いの方でもアレルギー反応は出ないと思います。

精神を病んでしまった偉大な数学家の父。
その父が発病した年齢に達してしまった娘。
父に似て数学の才能もある自分も父と同じように
精神を侵されてしまうのか・・・

そんな不安を抱えた娘キャサリンをグウィネス・パルトロウが
見事に演じています。

父の死後、そのデスクに残されたノート。
それは、数学的に価値ある世紀の証明であるとともに
キャサリンにとって、自分自身の存在を証明するものでも
あったのでしょうね。

地味で盛り上がりに欠ける展開。
過去の出来事や彼女の心の中の出来事が錯綜して
ややわかりにくい点もあります。
でも、不思議に退屈することなく見ることができました。
それだけ俳優たちの演技が良かったということではないでしょうか。

短い作品だっただけに、ここでラスト？となったので
もう少し、キャサリンとハルの未来を見せてくれても
良かったんじゃないかと思いました。

昔，私はとても数学が好きでした。
日本でも屈指の理系学部を持つ大学の付属高校に通っていたのですが，担任の数学の先生から，才能があるから是非数学科に進んで欲しいと勧められたのでした。確かに，難問珍問ほど燃え，クラスでただ一人自分だけが問題が解けたということもたびたびありました。当時は，今の職で専門としているようなしていないような関係の文系の学部に進みたかったから，その勧めには応じず，気にも留めなかったのですが，今考えると，数学科に進まなかったことをひどく後悔しています。
今，ある程度は希望通りの進路に来ましたが，でも，自分では期待していただけに，行き詰まりによる挫折感が大きい。病気にもなった。本当にできるだけ過去に遡って人生やり直したいと考えています。
やっぱり，人間，才能だと思います。確かに，数学科に私が進んだからといって大成していたとは全くもって言えませんが，少なくともある程度は自分を発揮できただろうと思います。やりたいことよりも，自分の資質が重要です。もしだれかが自分の才能を認めてくれたら，それを信じてみることが大切だと思います。人生の分かれ目になるかもしれません。
やりたいことが見つからないから働かない，といったニートの人たち，そんな人がこれを読んだら言いたい。自分の資質を探し，それを活かすようにしろ，と。
など，いろいろと考え込んでしまうきっかけとなった映画でした。

自分の資質，そして存在を「証明」してくれる大切な人の存在。それが，この映画のテーマであるような気がします。

サービスシーンはありませんが，ベッドシーンはあります。暴力シーンはありません。内容は難しいですが，お子様もご覧になれます。しかしあまりおすすめしません。

私的評価：★★★★☆（４点）

狂ってしまった天才数学者をアンソニー・ホプキンスが演じているので、その天才という面が狂気と同じくらいにリアリティをもって感じられる。一方、その血を引いているかもしれないという不安から、自分の天才的な部分さえも肯定できないでいる娘キャサリン(グウィネス・パルトロウ)。

その数学的大発見を彼女がしたのか、父親が狂気の隙間で解いたのかというミステリーじみた展開がまずおもしろい。さらに、父の教え子ハルが彼女の真の理解者、そして恋人になれるのかなれないのかという展開に、"常識的"な姉の雑音が入りハラハラさせられる。

私が特に興味深いと思ったのは、知的な彼女にとって、"愛"は論理を超えた気持ちで示されないと安心できないものであるのに、それと同時にやはり論理的にも証明されないと安心できないという点。

最後のシーンを見ながら、「ほらね」と心の中でクスッと笑ってしまった。

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数学は味付けにすぎない。親を介護する悩みが描かれている。
かつて強かった親、絶対で自分を庇護する存在が、絶対ではなくなり、弱くなり、惨めな姿をさらす。
それに向き合いながら面倒をみる。
親の姿に傷つき、親をこんな風にしたのは自分ではないかと罪悪感を抱き、きちんとした施設に入れ、プロの手にゆだねた方が幸せではなかったかと後悔する。
それほど、介護することによって傷ついてしまうのだろう。

介護に正解はない。
キャサリンはハルの理解に救いを見いだす。
介護者を孤独にしてはいけない、一人で抱え込ませてはいけないと考えさせられた映画だった。

できれば、演劇版をみてみたい。
アンソニー・ホプキンズは言うに及ばず、グィネス・パウトローも、ジェイク・ギレンホールも、ホープ・ディヴィスも演技派、魅せられました。

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数学も抽象数学の領域になると問題は美意識になると言う。
そこまでいかなくとも証明を自ら作り出す者とただそれを理解する人のあいだには才能に大きなへだたりがあるようだ。
この映画ではキャサリンとハルがその両者になる。
しかし面白いのは大数学者にもキャサリンの姉のような俗物（凡人から見れば普通）ができること、キャサリンにはハルのような
人間が合うということだ。人生の妙ともいえようか？
しかし変人，奇人揃いの数学者のなかで生き抜いていくのは
まさに心の格闘技だと思った。
父ロバートが数式でなく最後に詩を残したのももしかしたら
数学の世界から美意識の世界に突き抜けたのかもしれない。