ワンス・アンド・フォーエバー

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総評して良い作品だと思います。
アメリカ万歳映画ではないように思われます。
しかし、作品全体を通して「アメリカ」的映画ではあると思うのでアメリカ人重視の映画が嫌いな方には受け入れられないでしょう。

戦争映画はその多角性が重要だと思います。

この映画の評価でよく目にする「ベトナム戦争ものはネタ切れ」。
それは違うのではないでしょうか。
既存の映画はベトナム戦争後期を扱った映画がほとんど。
それに対しこの映画は戦争初期に焦点を当てています。

なるほどこの映画の放映時期が9月11日事件と近かったことからも、この映画製作者の狙いはアメリカ人の戦意高揚だったのかもしれない。事実「祖国のために死ねて幸せだ」などかなりプロパガンダ的発言も含まれている。

しかし、この映画はプロパガンダ要素を含むと同時に反戦的要素もはらんでいる様に思われます。

「夫の帰りを待つ妻というベタな設定」という評価も見受けました。
ではこの映画以上に「夫の帰りを待つ妻」の苦悩を掘り下げた映画が他にあったのか。ベタといいつつその描写が抜け落ちている映画ばかりでなかったのか。

「ベトナム人側の視点の描写が少ない」という評価もあります。
なるほど確かに少ない。
しかし、最後のエンディング近くで夫を亡くしたアメリカ人女性とともに同じく夫を亡くしたベトナム人女性をさり気なく描写する技巧。

そこには「戦争における普遍性」があったのではないか。

この作品以上にベトナム人に敬意を払った映画が既存の作品にあるのか。(もちろんアメリカ寄りではありますが）

この映画は弱点もある。
しかしそれと同時に既存の映画と違う新たな基軸を形成したと思います。

戦争映画は戦争を題材にしているからこそ多角性が重要だと思うのです。

それなのに「ネタ切れ」と評してしまうのは既存の映画の枠に固執しているためではないでしょうか。

重要なのは新たな基軸にであった時、再度戦争とは何か、戦争を起こさないためには自分には何が出来るのか、を改めて考えることではないかと思います。

マデリーン・ストーに似たおばちゃんが出てるなぁ、と思ったらマデリーン・ストーだった。

最後まで仲間と共に帰国すると誓い戦い傷つく兵士達と現場を理解出来てないお互いの作戦司令部に疑問が沸くがこの戦場で信じれる者は、上官と仲間だけを頼りに戦う男達の姿に帰国を信じる家族の人間模様が映像に強く出てた。ベトナムに散った若き兵士達の魂は生き残った仲間と一緒に帰国したのでしょう。

ベトナム戦争における米軍最初の大規模戦闘が苦戦しながらも何とか勝利で終わった過程をリアリスティックな戦闘シーンで再現した作品。

銃後の妻達の様子や、戦争に突入する際の軍内部の様子、敵軍の兵士などにも多少は触れてあるが、映画の殆どは戦闘シーン。ミリタリーマニアならいざ知らず一般の人が単なる戦闘行為の再現をスクリーンで見せられて面白いものだろうか。リアルな戦争を描くことで戦争への警鐘を鳴らしていると言いたいのだろうが、私には単に戦場を再現する事だけが目的の映画のように見えてしまった。

「プライベート・ライアン」はドラマ仕立てのストーリーを描く過程で、戦闘シーンを殊更リアルに再現した手法が画期的だった。本作もその流れを汲んでいるが、いかんせんストーリーが無い。基本的にドキュメンタリーなので仕方ない部分があるのは分るが、それなら映画化する必要が無いと言ってしまえばそれまでの話。

戦争ドキュメンタリーでは「ブラック・ホーク・ダウン」があるが、同じ戦闘行為再現型の作品でも一般兵士にスポットを当てるのと指揮官にスポットを当てるのとは違う。本作は原作者である部隊指揮官が主人公となっており、そのキャスティングにメル・ギブソンを持ってきた。これが完全な失敗。

スター俳優＝主人公＝部隊指揮官の図式は６０年代までの戦争礼賛方戦争映画のパターン。現代の戦争映画は指揮官の視点では描けない筈だ。いっそのこと本作は４０年程前にベトナム戦争を正当化するための戦争礼賛映画として生まれてきた方がしっくり来たのでは無いだろうか。

邦題も訳が分らず。メル・ギブソンだから「フォーエバー」を入れときましょうなんて低俗な営業戦略はいい加減に止めるべきだろう。

ＤＶＤの質が最悪、キズだらけ。
返金してもらいたいくらいですね。
ちゃんと管理しているのか疑問に思えます。