特捜部Ｑ　キジ殺し

初作につづき陰鬱な話。前回は幼い子どもの行為がキーになっていたが、今回は思春期の悪ガキがテーマ。ストーリーは、性格の破綻した少女と偏執的な暴行マニアで性犯罪者でもある少年との間の愛憎劇を柱にして組み立てられている。
先進国では基本的に思春期の少年少女はセックスしてはならないことになっているが、その理由の一端を見せられた感じがした。思春期の少女がセックスに溺れると善悪の見境がつかなくなるらしい。また、つき合っている相手への恋慕が度を超したものとなってひどい裏切り行為を受けても相手を憎みきれなくなったりするようだ。まあ、みんながみんなそうなるわけではないのだろうが、精神的に未成熟であればそうなりやすいだろう。この映画に登場する悪ガキの少女はそういう状態に陥ってしまい、人の道を踏み外し、一度はまっとうなところに戻ろうとするのだが、悪いガキの復讐を受け、どんどん追いつめられて最後には凄まじい興奮状態となって果てる。
けっこう面白かった。

デンマーク制作の作品でコペンハーゲン署の未解決事件担当部署の刑事が20年前の事件を再捜査して巨悪にたどりつくという北欧もののサスペンスとしては珍しい。
シリーズ3作目。
どこの国にもこんな刑事がいるのだろう。一旦疑惑をもつとトコトン追及し、上司の警告を無視してでも一途に突っ走り、時には違法捜査も辞さない。
そして事件の背後にいる大物をあぶりだすストーリー展開はジグソーパズルの穴を一つ一つ埋めながら犯人にたどりつくようなものでなかなか面白い。
本作は20年前の双子殺人事件に端を発し、事件に関係する人物の回想シーンを織り交ぜながら真相に迫って行くが、事件の真相を知っているであろう行方不明の女性が鍵になっている。
ひとつひとつ謎を解きながら最後にどう大物の罪を立件するかにかかってくるが、ちよっと意外な結末が待っている。
退屈せずに観れる作品。

展開は前作と同じような展開になります。
ただし、ストーリはまったく異なります。前作が犯人が終盤までわからなかったのに対して、
今回ははじめからわかります。ただ、確定的な証拠がないため逮捕できないという状況。
２０年間ホームレスになっていた女性が重要なのですが、このキャラが破綻しています。
１６歳から失踪し、すごく綺麗で、銃の扱い方に慣れていて、かなりアクションできるので、
特殊部隊にいたという設定がないとおかしい。
悪くはないですが、設定が破綻しているので前作を期待しているとがっかりです。

映画でミステリーを表現するのは難しいはずなんだけど、前作のホワイダニットがお見事だったので期待しての続編鑑賞。

で、がっかりしました。

今回はミステリーはほとんどなしで、ただの刑事物。その割にドラマがジョボい。何より肝心の被害者がほったらかされて、なぜこの人が？？の悲劇のヒロインとなるデタラメなストーリー展開。

主役コンビはいいんだけどね。

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ミレニアム以降、脚光を浴びている感がある北欧ミステリ。
前作の「檻の中の女」は面白かったが、今回さらにアップグレードしている。
この特捜部Qシリーズ、2016年現在で７作品程小説がでているらしいので、
現在の役者で、全作品リリースして貰いたいです。
過去の未解決事件を、全くの独断だけ掘り起こして捜査してゆく様は、
警察機構でありながら、縦社会に影響されない爽快感があり、
アサドなる、一風変わった相方の存在感が、なんとなく癒しもある。
刑事ドラマとしては、設定の面白さで特色があると思う。

今回の事件、20年前の双子殺人事件で、扱っている内容は重くやるせない題材である。
犯人は早々に登場するが、これが実業家の大物で警察上層部にもコネがある人物とくれば、
判官贔屓の読者には肩入れしやすい状況で、刑事ドラマの王道は外していないので、
誰にでも受け入れやすい。
今回のキーとなる人物「キミー」。
殆ど浮浪者となっている現状、犯人との過去の関わりが徐々に明らかになって、
自らが、清算を成し遂げる孤独感を上手に表現しており、いささか刑事コンビの
存在感が少し薄くなってしまっている。