ハイ・フィデリティ

わからない奴は、わからなくていいんだ
どうせお前にはこのセンスがわからないんだろ

こういう、とてつもなく不器用でこだわりの塊人間は大好き。

自分もそうかも。

自分だけのとっておきの趣味、場所がある人。
だれにも負けないぐらい愛するものがある人。
俺の感性、私の趣味は誰にも理解されないと嘆いている人。

そんな人に御薦め。

　存在は知っていたのに、なぜ今まで観ずに通り過ぎてきてたのか自分でも不思議な作品。音楽ファンならずとも、３０〜４０代の方々にはどこかしら共感できる作品だと思います。

　一見インディーズの小品っぽいですが、Ｓ・フリアーズ監督作品なんですね。
　俳優陣も、ジョン・キューザックをはじめ、それなりのキャリアの方々が名を連ねます。姉のジョーン・キューザック、キャサリン・ゼタ・ジョーンズ、リリ・テイラー（最近観ないですね）、ティム・ロビンス。ジャック・ブラックはこの作品でブレイクしたんですね。
　観てから色んな事を知りました。原作が「ぼくのプレミアライフ（＆２番目のキス）」「アバウト・ア・ボーイ」のニック・ホーンビイですか。そりゃ間違いないわ。大好物なはずです。

　「好きなことをする自分」と「年齢」にだんだんギャップを感じながら、そんな自分を辞められない。そしてそれで何が悪い？と開き直る自分。
　自分の両親は、今の自分の年齢の頃、もっと大人だったような気がする。だって母が今の年齢だった頃、私はもう12歳だったし。ゲームもしてなかったし、週末こんなに寝坊もしてなかったし。
　「大人になりきれない大人」。それって今の時代特有のものなのでしょうか？それともそれっていつの時代も一部の人間だけが感じること？親の世代は親の世代で、一部の人は私と同じように感じていたのかな？

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レコード屋さん経営のダメ男のお話です。

始まって早々、『過去の失恋トップ５』のくだりで「この人おもしろい」って興味津津。
新たにトップ５入りする子もいれば、トップ５落ちする子もいて・・・って、それが頭の中にあるっていうのがおもしろいです。
しかも『過去の失恋トップ５の女』ひとりひとりに「なんで自分は振られるんだ？」って聞きに行っちゃうんだもん。
かなり微笑ましいです。
本人は必死なんだけど、わたしは彼をほっとけないです。

ジョン・キューザックのダメ男ぶりには微笑んじゃいましたが、レコード屋さんスタッフのジャック・ブラックとトッド・ルイーゾを忘れちゃいけない、忘れられない。
３人それぞれの凸凹がお互いの個性を引っ張り出し合って、なんともいえないイイ空間を生み出しています。
にやけます。
わたしもジャック・ブラック目的で観たクチなのですが、ジャックはやっぱり最高です。
もぉ！虎柄のＴシャツ　似・合・い・す・ぎ！

トッド・ルイーゾのキャラクターも好きだなぁ。
一見暗くておとなしそうな音楽オタクくん。魅力的です。

最後のクラブのシーン。
これまたジョン・キューザックがキュートなんです。とっても可愛い！
そんでもって、ここでジャック・ブラックの魅力が大爆発！
セクシーだぜよ、熱いぜよ！
欲を言うなら、もうちょい長めにジャックの歌声に酔いしれたかったです。

何も知らなくても耳に入ってくる音は心地よかったのですが、わたしがもっと音楽を聴き込んでいれば、もっとたのしめた作品なんだろうな。
そこらへんをもっと感じたかったなぁ。

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ゲラゲラ笑わせてはくれないものの、ニヤリとさせられるシニカルな哀愁漂う笑いは、原作の持つ英国的なモノなのかもしれない。

中古のレコード店を営むロブは、旧くてアナログ（保守的）な思いに囚われて生きる不器用な男として描かれてます。
レコードの持つ味わいを現代的な目で見れば、未完成で荒削りな儚さを楽しむ、一種ゆとりのようなモノ。でも、それを本気で愛してしまったら、マニアの迷宮世界へと旅立ってしまうのでしょう。
そちらの世界が中心になってしまったら、その他の事へは関心が向かず、たまに気が向いても彼等マニアの尺度でもって接してしまうため、常人である彼女の気持ちをを傷付けたことにさえ関心が向かない愚かな男に成り下がってしまうのです。
彼等は好きなモノを好きでいるだけで、それはある意味純粋な心、妥協を許さぬ切実なる思いを追求した姿なのですが、それは子供の気持と言い換えれて、子供は好きなものには熱中しそれが世界の中心に成りさえし、そのような大人の体裁を持った子供がロブであり、そんな彼を好きになってしまったが彼の本質を理解できない彼女達は、彼の元を去らざるをえなかったのではと感じました。

いや〜、ジョン・キューザックが好きで観たのですが、ジャック・ブラックがオイシイところをしっかり喰ってて、ティム・ロビンスまで端役で出演してて、キャサリンにインなの？アウトなの？って問い詰められるキューザックがかなり惨めで存在感が薄れるのですが、それがまた巧い演技で、う〜ん、はっきりしない中途半端さが残ってしまう映画ではあります。

マニアックな中古レコード屋を経営する独身の三十男、ロブが主人公。彼女に捨てられた主人公が、今まで自分をふった5人の女性に会って原因を探そうとする中、自分を見つめ直し成長していくストーリー。全編に多数の新旧ロック・ナンバーが使われ、セリフや小道具などにも音楽好きが楽しめるシーンが多数あり、マニアならずとも、何か趣味を持つ人ならつい感情移入してしまう名作です。