オリバー・ツイスト

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子供にも分かりやすいファンタジーのような演出。でも、これはストーリーを分かりやすく見せるという演出で、テーマに深く切り込む演出じゃないです。映像トーンは暗いですし、迫力ある映像があるわけでもない。テーマ的に、社会に流され能動的な面を見せることが少ない主人公ですし、子供たちは全く物足りなさを感じる映画だと思います。

また、大人にとってはどうか。孤児が生きていくためには老獪でなければその術がなかった時代。そんな時代においても主人公は最後まで純粋な心を失わなかったわけですが、ここに大きなカタルシスを感じるには、演出が緩慢なんですよね。
能動的に行動しない(出来ない)主人公だけど、"何をしたいのか"という点にはもっと演出は切り込むべきだったと思います。"温かい食事やベッド"を欲しているのは想像できますが、そのために心ならずも失うものがあるわけで、そのあたりの心の葛藤を描き切れていません。
たとえば、お世話になった紳士の家に泥棒に入ろうとする時、行動では主人公の心の迷いが表されますが、その心の迷いが心苦しいまでには伝わってこないです。ゆえにその後の主人公を救済する少女の行動も感情移入が浅くなってしまう。

登場人物はそれぞれに膨らみがあって至極人間的だし、ストーリーも悪くないんだけど、"誰を対象に何を見せるか"という点で、まとまりに欠けてしまった映画のように感じます。
物語そのものが名作劇場といった感じの物語だし、巨費を投じたが故に大人にも子供にもと考えたのが失敗の元であったような。。。5段階評価は2。

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　オリバー・ツイストは、過酷・劣悪とされる救貧院で生活していたにもかかわらず全くすれておらず、しかも彼の一つ一つの言動には品位すら感じられます。作品においては、彼の出生〜貧窮に至るまでの過程によんどころない事情があったのではないかと感じさせる事柄がうるさからず描写されています。
　オリバー・ツイストは亡母をこよなく敬愛しており、彼女の存在・人格が汚されようとすると、相手かまわずくってかかりました。また、貧相な身なりにもかかわらず自分を認め、信じてくれたブラウンロー氏の邸が襲撃されようとすると、銃を所持する凶悪な輩に対しても、身を挺して阻止しようとしました。彼の魅力はなによりも、そのような「恩に感謝し、その恩に全身全霊を賭けて報いようとする健気さ」にあるのではないかと思います。
　そのような態度は、たとえ相手が悪党であっても基本的には変わりませんでした。盗品密売人のフェイギンは、「恩知らずが一番悪い」と絞首刑台の話まで引き合いに出してオリバーを脅し彼の行動に制限を加えようとしました。いってみれば悪党の常套手段であり、その束縛から開放された後には、従うべくもない約束ではありますが、彼はそのようなフェイギンに対しても、かつて飢えた自分を助けてくれた恩に感謝し、２人に唯一残された現実的な策として、錯乱する彼と共に、真の救済を心から祈ろうとしました。
　ある詩人が、「健気」を「勇気」と言い換えていましたが、まさにオリバー・ツイストの健気さは、自身の中に湧き起こるであろう死の恐怖、怠惰、慢心等の弱い気持ちを克服した勇気ある姿であり、知恵を尽し、労を厭わない彼の言動には、心を打たれる以上に頭が下がる思いがしました。
　１８３４年、イギリスでは「新救貧法」が制定され、多くの貧困層が公的救済の対象から除外されました。救済を受けられる人においてもその処遇は、最下層の労働者よりも劣悪な条件下で行なわれるべきであると規定されました。この法律は、マルサスの「人口論」に依拠するもので、食料と人口のバランスは、貧困による餓死や病死によって自然に保たれるものであって、徒に貧困層を救済することはかえって社会悪・弊害であるとするものでした。
　チャールズ・ディケンズはそのような非人道的な国策を批判して、「クリスマス・キャロル」と「オリバー・ツイスト」を著わしました。原作は批判目的で書かれたものではありますが、無責任な評論家的・傍観者的なものでもなく、また扇動的なものでもなく、人の善なる心に訴え働きかけてゆく内容になっていたと思います。そのような原作の風合いを大切に作られた映画であったと思います。

マーク・レスターとジャック・ワイルドを思い出すんですけど・・・
『小さな恋のメロディ 』のコンビが『オリバー』でも共演して話題となりました。
そういえば今回の映画ではポランスキー監督はドジャーをはじめスリ仲間の子供たちとの係わり合いは描いていませんでした。だからオリバーがお金持ちに引き取られたあと、他の子供たちはどうなったの？という疑問も残らないではありません。
そして実はオリバーの母親は・・・出生の秘密も少しは入れてもらいたかった。何故お金持ちの紳士はオリバーに強く惹かれたのかを。でもこのことは監督にとっては重要ではないんでしょうね。

マーク・レスターも可愛かったですけど、バーニー・クラーク君も負けず劣らず可愛くて高貴な雰囲気をもっていて 、倍率３０倍のオーディションで選ばれたらしいですけど、彼を起用したというだけでこの映画は充分成功したといえると思います。

　ポランスキーの気持ちで観始めるとちょっとたじろぐような、世界名作劇場の世界！あっというまに２時間が過ぎました。
　物語的には『キャンディ・キャンディ』みたいな。オリバー少年はキャンディほど明るくないけれど、出会う人々を次々と惹きつけてしまう魅力はキャンディと共通していると思いました。

　観終わって思ったのは、オリバー少年はきっとどんな人の心にも宿っている“良心”の象徴だったのかも。出し抜かなければ出し抜かれる、という世知辛い世の中で、誰もが疑い深く、欲深くなっている中、彼の存在が人々の心を少しずつ動かすのです。
　奇跡は起こりません。オリバーは大きな野心を持っているわけではなかったけど、運が良かっただけとも思わない。大した努力はしていないけど、良心に突き動かされるように、イヤなことは「イヤだ」と要所要所でハッキリ意思表明しているのです。
　それって実は幸せになるためにとても大事な要素で、彼はそれを持ち合わせていたのだと思う。そして、それは映画の中だけの話ではなくて、実際の私たちの人生においても同じように大事なことだと思いました。

面白いです。

おすぎのＴＶスポットでどんな感動ものかと思ったけど、お涙ちょうだいのような映画ではありません。
憂いをたたえた瞳を持つ少年、オリバー・ツイストが運命に翻弄されながらも、いろんな人々に出会っていく話。

タイトルバックからお話に引き込まれていきます。オリバー少年と一緒に旅をするのです。
ポランスキーも最近素晴らしいですね。
「戦場のピアニスト」はなんとなく納得ですが、こんな作品も撮れるんですね。

この映画はひとえに、オリバー役のBarney Clark くんの悲しげな瞳が大きな要素です。
あとは、名優Ben Kingsley。このひと上手いですね〜。

ほかの子役もいいですよ。ドジャー役のHarry Eden 君も注目です。

ラストは感動シーンがありますが、私は泣くようなものではありませんでした。。ディケンズの原作にかなり近い作品になっています。
泣かなかったけれど、おススメです。