愛の神、エロス

オムニバス３編からなる「エロス」なんですが、ウォン・カーウァイ はちょっと違うかな、アントニオーニとソダバーグと３人ですが、正直ちょっと微妙な３人じゃない？って思ってしまうのは僕だけでしょうか笑

商業作品に耳を向けてしまった監督３人（ファンの人はごめんなさい）そのエロスに対する安易な３作を作ってしまったようです。

「若き仕立屋の恋」クリストファー・ドイルの撮影技術は天下一品なんですが、短編だからこそ感じる事のできる余韻が待ったくなく、伝わってこない。映画に「サーズ」みたいな時代を象徴するような名詞を出すとなんだかげんなりしちゃうよね。まぁそんな感じの作品。

「ペンローズの悩み」　いや、ストーリーはわかるよ。監督がどういう風に見せたいのかって。でもね、なんでそんな見せ方したいの？って疑問。エロスとは無縁だろ！って思ってしまった「セックスと嘘とビデオテープ」の時からこの監督の良さがわからん。

「危険な道筋」　一番面白かったかなーこれ。イタリアっぽいのかな？この切り口。一見安っぽいけど、たぶんそれが狙いだし。性を象徴的なストーリーで締めてます。でも、観光旅行に行ってそのいい場所をロケ地に使おう、みたいなお粗末感はあります。それも狙いなのかね。３作品の中では一番ましか笑。

てな感じです。

そういうわけで、あまり見てしっくりくるエロスじゃないわけです。なら、誰かとエッチした方がいいみたいです笑。

高級娼婦ホア（コン・リー）に負けないくらい、仕立て屋チャン（チャン・チェン）が良かった。
チャンが、ホアを想い、ホアのために仕立てたドレスを愛しく抱く姿が、この映画の題を象徴しているようだった。
他の２作品は？？

予約リストに入れておいたことをすっかり忘れていたので、この作品が届いたとき、題名を見てびっくりしました。
が、
見始めて納得。
そうだ。
このメンバーで集まるなんてありえないようなすごい監督３人によるオムニバスだったんだ！！
楽しい１００分を過ごすことができました。

たぶん１番目のウォン・カーウァイ監督のが一番わかりやすかったかも。
後の２作品はストーリーを追うというよりは感性で見るような映画でした。

私的には２番目のソダーバーグのが一番面白く、もっと続きを見たくなりました。

まず、ウォン・カーウァイ監督の「The Hand」。
これは息が詰まるようなキリキリした作品で、好みではありません。
どんよりとした抜け場のない行き詰まりの男女関係で、暗いイメージが全編を貫き、
最後は窒息寸前になるぐらい息苦しさで、苦手な部類の作品でした。評価は、☆ひとつ。
次のソダバーグ監督の「Equilibrium」は、楽しい作品。
夢の世界と現実が入り組みます。
二役で登場する俳優、モノクロとカラーの映像が混乱を助長するのですが、考えてしまうと迷路に入り込んでしまい、
結局正解には辿り着けない迷路映画だと自分を納得させました。
こういう映画は好みです。評価は、☆４つ。
最後のミケランジェロ・アントニオーニ監督の「Dangerous Thread of Things」は、白昼夢の映像化とでもいった趣。
映像がとても美しいです。
ただし、風景は美しいのですが、主要な出演者である裸体をさらす二人の女性とそれにかかわる男性に全く魅力がなく、
つまらない作品でした。評価は、☆ふたつ。

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監督を揃えたオムニバスはとにかく面白い。ましてやテーマはエロスである。でもなあ、今回は御大ミケランジェロ・アントニオーニだけが不出来だ。企画のそもそもが、アントニオーニが最後にもう一本作りたいと駄々をこねて、周り（夫人）が長いのは無理なので、アントニオーニの名前を出せば有名監督がすぐ集まると踏んだのではないか、と勘ぐってみたくなる。解説を読むと、ウォン・カーウァイもスティーブン・ソダーバーグも光栄だと言ってる。そうだよなあ、ソダーバーグなんて５０才以上離れてる。かくして面白いことに、世代間のエロスがこうも違うというのがはっきりしてしまった。

１．THE HAND
題名どおり手をあつかう。ここで描かれるのは、職人の手だ。
若い仕立屋を弄びながら「この手の感覚を忘れないで、いい服をつくるのよ」というコン・リー（私は好みじゃない）の言葉は、けだし名言である。高級娼婦という一種の職人である彼女だからこそ言える言葉だ。職人は手の感覚こそがすべてだ。私が世話になっている鍼の先生は、皮膚をかすかに滑らせるだけで皮下の状態を把握する。仕立屋は手を添えるだけでエロスを感じさせる。エロティックであることが、同時に職人の極致でもあること。これは見事だ。
クライマックスもいい。「（あなたの相手に）私はどう」「もちろん」「優しいのね」このあとの沈黙が彼女が最期まで娼婦の道を選ぶことを物語る。「また服を作ってくれる？」
これはお話なんだから、男が「あなたのおかげで一人前になれた。そばにいさせてくれ」とさえ言えばハッピーエンドであるのに、ウォン・カーウァイ監督はあえてそれを選ばない。私はこの監督のことをよく知らないのだが、たとえばラストのシーンで、手を伸ばして彼のものをまさぐろうとするとき、ベッドの上の彼女はまともに見れないやつれた顔をしているはずだ。しかしコン・リーはまあ綺麗だ。それが彼女のためなのか、３０分の映画でそこまでの必要もないと思ったのか、この監督のリアリズムがそうである（テーマの押し出しこそが大切、リアリズムより絵）のか、私にはわからない。

２．EQUILIBLIUM
話としては、私はこれが一番おもしろかった。
原題はつり合いとか、平衡の意味があるようだ。（以下ネタバレ）
要は主人公が仕事に行きづまり、そのプレッシャーで夢を見る。それが中間モノクロ画面で展開する。精神分析医に相談する夢である。「見知らぬ女」がたびたび夢に出てきて、女房に話すと彼女との間もうまくいかなくなってセックスもできない。でも、セラピーを受けているうちなんとかなりそうだと思い始める。その成り行きを主人公が夢で紡ぐのである。したがって、分析医と主人公の会話を眺める者もまた、夢を見る主人公である。
この構図が秀逸だ。主人公がプレッシャーに対抗する（つりあいを持たせる）ために作り上げたエロスが「見知らぬ女」であり、実はそれは自分の妻であったのだ。この「見知らぬ女」は冒頭と結末に二度同じ絵で反復される。一度目は観客は訳がわからぬまま見ているのでただの裸なのだが、それが主人公が作り上げたエロスであることが判明すると私たち観客の目も主人公に同一化し、揺れ動く画面を通して窃視するエロティックな「女」と化すのである。心理学的エロスと言ってよい。
主人公はそのようにして自分でセラピー（職業精神分析医へのあてつけ？）を果たす。ただし、彼はまだ理解していない。同僚（アラン・アーキン）の禿げを隠すカツラへのこだわりが、実は自分の仕事の行きづまりをすり替えた責任転嫁であったことを。このアラン・アーキン（分析医と２役）が主役を食っている。いや映画としては、アラン・アーキンのコメディアンぶりを見る映画といってよいだろう。３０分ながら、大傑作だと思う。

３．THE DANGEROUS THREAD OF THINGS
夫人が言っている。「自然に対するある種の賛辞を贈っている」「エロティシズムは裸そのものでなく、裸以前に存在するもので、香水のようなものである」　はい、そうですか。