ヴァイブレータ

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アルコールへの依存、食べ吐き、不眠を繰り返す、
心を病んだルポライターの三十路女（寺島しのぶ）が、
深夜のコンビニで若いトラッカー（大森南郎）と出会い、トラックに同乗。「道連れにして」という女の一言で、短い旅が始まる。

心の病とは無縁でも、妙齢の女性ならこんな孤独や焦燥感に
震える夜を経験したことがあるだろう。
出口の無い迷路を彷徨うような主人公に、
自分の姿を見て胸が痛くなるかもしれない。

女の心の渇きの表現の巧さもさることながら、
その孤独をさり気なく受け止めるトラッカー（大森南朋）がいい。
本能で優しさを持つこの男は、ごく自然に女の乾きを潤す。
親切で包容力があり、控えめにセクシー。かなり男として理想的（個人的趣味）。
白馬ならぬ、トラックに乗った ちょっぴりヤクザな王子様 である。
（この人どこかで見たと思ってたら、「殺し屋１」だよ）

ラブホテルでの、お風呂の場面が好きだ。
小さな娘を沐浴させるかのごとく、大切そうに女にそっとお湯をかける男。些細なことかもしれないけど、女ってそんなことで癒されるものだ。

結局ふたりは別々に日常に戻るところで物語は幕を閉じるが、
女の「自分がいいものになった気がした」という声に心が軽くなる。

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金髪で長距離トラックのドライバーで長靴はいている彼を見て、いや〜これは私の好きなタイプではないですよ。　しかし心が病んでいる風な主人公である寺島しのぶは一目ぼれ。　その視線に気づいた彼はすれ違いざまにかるくおしりにタッチ。　買い物をすませ振り返ることも無くコンビニの外へ。　おしりにタッチなんて私は許せません。　しかしレイはその時髪のにおいをかぎいいにおいシャンプーは何を使ってんの？なんて考えてて、同時に心のバイブレーターがブルブル。　そして買い物籠をその場に外へ・・・　彼は口笛で呼ぶ。　レイは彼を探しあて車へ乗り込む。　見知らぬ男女の出会いのシーンです。　そんないくらなんでもありえませんわ。　でもトラックのドアを開けてくれた彼は何だか良い感じ。そしておまわりさんと話してる彼も良い感じ。　ちょっとレイみたいに自分からはいけませんが南朋さんがコンビ二からさらってくれるなら何もかもほっといて道連れにしてほしいわ〜なんて妄想が。そしてふたりはなるべくして車の中で。　あれ〜ちちピアス。　　翌朝トラックの外で吐くレイ。　車に戻るとカギがかかってる。　彼はもう女は戻ってこないと思ってたのね。　レイは「道連れにして〜」と。　そしてふたりの旅は始まった。　え〜家に帰らなくて大丈夫なの？　でも何だかワクワク。　彼は自分は結婚してるだとかストーカーの女に付きまとわれて迷惑してるだとかレイをけん制。　でもレイが気分が悪くなり吐く時どんなに異常な姿を見せても動じることなく見守る。　そして汚れてしまったレイの髪や体を優しく洗ってあげる。「ぬるすぎないか〜」なんてお湯の温度にも気配りして。　やさしい。　なんてやさしい男なんでしょう。でもこの時31歳のレイは思う。この人のやさしさは本能なんだと。　私も思うず〜っと一緒にいれる人？　レイは湯船に顔を浸けこのまま沈めてと。「なぐって」ともストーカーの女をなぐったように。　すると彼は「好きだからできないよ」と。　食堂での会話でも二人はお互いの気持ちを確かめ合っています。　彼は結婚してることもストーカーのおんなのことも嘘だと。　でも二人は出会ったコンビニで手も振らずに別れます。　二泊三日の旅でした。なんだか余韻を残す終わりで切ないような。　この後二人はどうなったのかしら？　もう二度と会うこともなくだったのでしょうか。　大森南朋、凄すぎ
　「ハゲタカ」でも「チルドレン」でも「バイブレーター」でも私の心をわしづかみ。　寺島しのぶ、「東京タワー」でも「アキハバラ＠deep」でも素晴らしい演技でした。他の作品も観たいと思いましたです。

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ニギさんと同じく、「ハゲタカ」にはまっていまして、６月の映画版の公開を楽しみにしています。
主役の大森南朋、今までいろんなところで見てると思うのですが、ガラリーナさんからこの作品をすすめられてさっそくトライです。

前から思っていたのですが、大森南朋は声がすごくいいですね。
「ハゲタカ」も「お金のある不幸、お金のない不幸」という例の冒頭のナレーションで、ぐっと引き込まれますが、この作品も寺島しのぶ演じる玲がトラックに乗り込むそのときの最初のひと声で、「どこまでもついてゆきたい」という気持ちになります。

大森南朋演じる岡部は、ちょっとしゃべり過ぎの感じもするし、中学もまともに行っていない男にしてはインテリっぽい語りなんだけど、こんな語りならいくらでも聞いていたい。
包まれていたい、あなたの声と４トントラックの振動に。
車高の高いトラックの助手席から見える風景が流れてゆくスピードも心地よい。女の心は疾走する。

旅の終わりが近づいたとき、岡部が玲に「運転してみる？」と言ったのにもやられました。
こういうことが言えるかどうか、これってある意味男の包容力をはかる尺度だと思います。
昔々、私が免許とりたてのころ、懇切丁寧に車庫入れを教えてくれた人もいれば、
「君の運転する車になんか絶対乗らない。」と言い放った男もいましたよ。

見知らぬ男の車に同乗してしまう主人公の行動や、彼女のひととなりには全く共感はできないけど（台所でおしっこしてしまうなんて！！）、大森南朋はほんとに素敵で、ついていきたくなる気持ちはわかります。
こうなったら、原作を読んで見る気になれなかった「赤目四十八滝」にも挑戦しなければ。

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学生時代、『オールナイトニッポン』の１部が終わる頃、チューニングを変えると流れてきた『いすゞ歌うヘッドライト〜コックピットのあなたへ』　聴いてるとどこか見知らぬ土地、見知らぬ夜の道路を走っている気分になって、胸の中が切な〜くなった。本作を観ていると、あの時の思いが少し甦る。　はっぴいえんどの『しんしんしん』が、また泣ける。

寺島しのぶは確かに、いいキャスティングかもしれない。あまりに女優女優してたり、逆に素人っぽくてはダメな役を、ギリギリのリアルさで演じきった。　大森南朋はドラマ『ハゲタカ』での、感情を押し隠す演技がとても良かったし、達者な役者だなぁとは感じるが…今回はあまりに、喋らせ過ぎたんじゃないか。
一番気になったのは玲の心のセリフを、度々字幕でインサートする演出。必要性の高いセリフに、ギリギリ絞れば効果的だったかもしれないが、やはり無駄に多過ぎたように思う。

とはいえ、ふたりの道行きはなかなか楽しい。業界の情報を盛り込みつつ、車外の風景の移り変わりもいい感じ。ふたりの男女の重なり合うような、かと思えばふいに遠ざかるような心の触れ合いもリアルだ。

監督廣木隆一の『ＴＷＯ　ＬＡＰ　ＲＵＮＮＥＲＳ 』は、私も好きな一本だが、「なんとな〜く」「それっぽ〜く」ごまかす（失礼）のが巧い人だなぁ、といつも思う。なんだか８０年代くらいのテイストなんだよね、いつまでも。

漂流の末、元のコンビニ（日常）に戻ってくる玲。我々も、例えば非日常的な事があったり、もしくは旅行から帰って来て、いつもの最寄りのコンビニに立ち戻った時に、「帰って来た…」という感慨を抱くようになってる気がする。どこでも同じ規格で在るはずのコンビニだが、品揃えなどに店の個性があって、「ここは自分のコンビニだ」という思いがあるもの。

現代のふるさとは、「近所のコンビニ」なのかな？

この映画は「寺島しのぶの体当たりの演技」とか言われてて、すごく興味があった。
「体当たり」ということは、もちろんそういうシーンも出てくるわけだが、見ていてそんなにいやらしい気はしなかったのはわたしだけであろうか。

というよりも、映画を見てるという感覚ではなかった。
演技を見てるという感じではなく、そのままの日常の彼女を見てるようだった。
それだけ自然で、そして入り込める演技をした寺島しのぶが賞を受けるのは当然のことだと思った。

すごく可愛く、いとおしい一人の人間を演じていた。
過食症、不眠、幻聴といったシーンは、すごくリアルで、彼女の表情がとてもリアルでこっちがドキっとするくらいだった。
それに映画の中でとってもいい表情をしていた。
すごく素敵な表情だった。

そして、この寺島しのぶと同じくらいいい演技をしていたのが、大森南朋。
彼は本当に優しい人なのかもしれないって思うほど、言葉ではない優しさが伝わってきた。
口先だけではない優しさ。
それを彼はうまく演じていた。
こういう人なのかもしれないって思ったし。

そこまで期待していなかったけど、期待した以上にいい映画だった。