トッツィー

名優Ｄ・ホフマンの手抜き無い女装姿に、ただただ唖然と
するばかりだが、綺麗に見えてくる・・・というのは、
やはり役者魂を感じずにはいられない。
けれども、個人的な見解としては、この作品に登場する
人物は、どうも我儘な人たちという漠然とした印象を受ける。
たぶん、始めのほうにやたらと愚痴って周囲に人がいなくなる
描写が影響しているのだと思うのだが。
役者が作品や人気に当たらず、腐っていたりもがいていたりする
姿、そして他人の評価を気にしてしまう哀愁的な部分を巧みに
盛り込み、一種のカタルシスを表現した作品だ。

妙なタイトルに記憶があって作品を知っていたが、今回初見。
同じ女装コメディーとして『ミセス・ダウト』を思い出す。『ミセス・ダウト』のほうは親子で楽しめるドタバタ喜劇って感じだけど、こちらはやや大人向けかな。

さて、この映画のテーマは何だろう。もちろん軸はラブストーリーだけど、ジュリーの実家の暖炉で交わされるドロシーとレスの会話の内容からなんとなくそれらしいものに気付いた。それは「現代に生きる男の失業」だ。病院を舞台とするソープ・オペラ(昼ドラ)の制作ボス(プロデューサーかな)は女性で、その中でＤ・ホフマンが演じるドロシーも病院長を圧倒する強い女性という設定になっている。女性の社会進出が広がり、相対的に男の就業機会が減った現代社会、その中で仕事にあぶれた男がどう生きてゆくのか、あるいはどう生きているのか、この作品はその実相を滑稽に描いた社会派コメディーだ。このテーマは『ミセス・ダウト』にも共通する。

ダスティン・ホフマンは、私の中では今でも『卒業』のイメージが強いが、やはり名優、マルチで変幻自在だ。メイクもすばらしいけど、それ以上に女性らしさをチャーミングに表現していて見事。

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という題名がピンとこなかった。。。のですが。米国製チョコレート入りキャンデーのお名前なのですね。ははーん、なるほど。

個人的にはラストの、既にヤマ場は越えてる、ってセリフが好きです。なかなか楽しい。

どんなに努力しても役者として芽がでない冴えない貧乏役者が「病院物語」の婦長のオーディションに女装して、みごと合格してしまう所は大爆笑でした！男ならではのいさぎよさ・大胆不敵な台本を無視した演技がバカウケして一躍「病院物語の顔」になっていくんだよね！でも、毎朝早く起きてのひげそり・むだ毛処理からメイク大変そうだったな〜！
結構ホフマンの女装ぶりは奇麗だったりするところもおみごととしかいいようがありません！憧れの共演者もホフマンに特別な「友情・愛情」ともとれる感情を抱くようになるんだけど、ここからが問題です！なんと彼女のお父さんから求婚されちゃうのだ！しかも共演者のおじいさんからも言い寄られるのには、ドーシーもうんざり？？女として友情は芽生えたものの、彼女とは男女の仲にはなれない・・また女として役者を続けていくことに耐えられなくなったドーシーは意を決して病院物語の最終回に、とんでもないことを・・・・！！！ハチャメチャな最終回になるんだけど、よーやく男の自分に戻れたドーシーだったが、沢山の人の心を傷つけた代償は大きかったかな？彼女との関係がこのあと、どーなるかは見てのお楽しみです！でも「病院物語」本当にドラマ化したらうけるんじゃないの？

これも今更感のある超メジャータイトルなので、
一応観ておくか…程度で録画しておいたんですが、思ったより全然面白かったですねぇ。
想像では、「女装の男なのにウププププ！」みたいな
ハイテンションコメディが終始展開されるのかと思ってましたが、
そういう軽いノリだけで突っ走るような映画ではなく。
さすが長いこと名作認定されているだけありますね。

まあ、根本はコメディなので、現実感の無さは当然出てくるわけですが、
ただ主人公のキャラクターとして、「役者バカ」で
「生活（と教え子）のために」（かなり唐突だけど）女装して自分の演技力を認めさせる、
というプロットが思ったほど無理がない気がして、素直に観られたのがよかったです。

「女性が男装して周りに認めさせる」というまったく逆の映画が「チャンス！」なわけですが、
あのレビューでも書いたように、あっちは根本に「女性はすごいのよ」という
ある種の女性賛美がベースにかいま見えたせいで、
（自分が男だから、という意味ではなく）どうもイマイチ素直に観られなかった部分が
あったんですが、こっちは逆に、よくよく観ると
「男ってみんな同じこと言っちゃってほんとバカだよね」的なニュアンスを、
同性として笑いながら観られるような軽さがあって、
その辺の男性像の「バカだけどかわいくていいじゃない」みたいな
感覚の心地よさが印象的でした。

言葉は悪いですが、軽めに「暇つぶし」的に、
肩肘張らずに観るには良い映画じゃないかと思います。