火垂るの墓

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原作者である野坂昭如氏と言えば、私にとっては「大島渚監督をぶん殴ったあの人」ぐらいしか印象がなかったのですが、こんなのも書けるんですね。

確かに悲しい話です。
しかし当時はこれくらいの状況に陥った人間は山ほどいただろうし、またそれ以上に悲惨だった場合もあったでしょう。別に清太と節子が特別に不幸だったというわけではないと思います(もちろん幸福だったとは言いませんが)。
素直ではないかもしれませんが、あまりこの作品を見て“戦争はいかん!”などというメッセージは受け取れませんでした。

ただ私が本作を見て感じた胸の痛みは、清太の生き様です。
一見すると節子が可哀想に映るのですが、いつも誰かに守られていた彼女に比べれば、たったひとりで自分と妹の命を守りながら生き抜かなければならなかった清太のプレッシャーは、とうてい計り知れないものだったと思います。
戦時下だったというのは私にとっては物語上の状況設定というだけで、そこに感じ入ることはありませんでした。

あまりに過酷だった短い人生の終焉で見た幻が、彼にとっての最後の安堵だったかと思うと、なかなか切なく感じてしまいます。

泣けます、節子が愛おしいです。戦争時に苦労をして生きた兄弟の愛情や苦悩を描いた作品で。何度見ても感動と涙があふれる作品でした。

過去に何度もみましたが、やはり今見ても非常に切ない・・・。切なく、悲しい映画ですが、過去にあったことを次の世代にきちんと伝えていかなければならないと思いました。

以前DVDで見た。今回Blu-rayを借りた。

この映画について、内容のレビューなどする必要は無い。
このディズニー・ジブリ映画は、「娯楽映画」ではない。

必要なのは、ただ、永遠に残し、語り継いでいかねばならないということだけだ。
ストーリーとか、処世術を語っても、何の意味もない。

私の叔母になるはずだった人も、防空壕の中で赤ちゃんの時に亡くなった。
小学生の時に母から教えて貰ったショッキングな事実。
幼い赤子を連れて防空壕に逃げた祖母を、「もっとうまくやればよかったのに」と
責めることなどだれにできるだろうか？
同様に、この映画の主人公を責めることなど誰にもできないだろう。

平和ボケしているのかな、この日本は・・・。
私たちの本当の責任とはなんだろうか。
東日本大震災が起こり、まだ問題山積の今である。
震災から一年半、もうすっかりそれを忘れ去ってしまった人たちが沢山いる。

日本人がどこから来てどこへ行くのかを考えるのは今である。
ヒロシマ・ナガサキしかり。朝鮮、ベトナム、リビア、アフガン、イラク・・・いったいいくつ出てくるんだろう。
そう、いつもとばっちりを食らうのは子供たち。

はだしのゲンなどの漫画・映画も同様だが、未来の子孫のために、いや人類のために、
戦争は理不尽で残酷で・・・ということを、こういった映画を残すことで語り継いで言ってほしい。

親の責任として、まず最初にそれを願う。

　何度もテレビ放映されているので、家族が見ている（またはつけている）テレビの前を通り過ぎながら個別のシーンは見ていたが今回初めてしっかりと通して見てみました。

　戦争の悲惨さとその犠牲になった幼い兄妹の悲劇を、自分の頭の中で勝手にイメージして膨らませていたからかもしれない、何故か見終わった時は悲しかった、と言うよりも、どうしてこんなことになってしまうのか？と無念で仕方ありませんでした。清太は中学生だから仕方がないかもしれないけれど、父親から受け継いだ誇り高さを捨てて、どんな邪険な扱いを受けても、親戚の家で言うことを聞いて耐え忍んで欲しかったと思わずにはいられません。２人だけの生活はあまりにも無謀、関わった大人から二度も「帰りなさい」と言われたのに。。。

　映像はとても美しい。そして終戦直前の一番太平洋戦争が激しい頃の神戸が正確に再現されていると言われています。戦争を全く知らない人口が大半を占める時代になった今、野坂昭如の実体験をベースにした話だからこそ、特に若い人たちには必ず見せたい作品です。

　ただ、二人の幽霊が穏やかな表情で電車に乗っているのは（確かに人は死んだら救われるのかもしれないけれど）まとめ方としては現実の悲劇を薄めてしまうように思われます。

　以上、この映画の熱烈なファンの方には受け入れられないコメントかもしれません。