アウェイ・フロム・ハー　君を想う

妻を思いやる何とも切ない夫の男心を丹念に描いた秀作。
私の妻も長いことアルツハイマーを患って逝ったたが、この映画のヒロインはあまりに私の妻とイメージがかけ離れていてとても同じ病気とはおもえなかった。
まあそれはおいといて、夫の意思に反し自ら施設に入ることを決断した妻は、ひと月後に面会に来た夫をすでに夫とは認められなかったという残酷さ。
しかも彼女のそばには愛情を持って世話を焼いている車いすの男がいた。しかし夫は耐えた。毎日のようにして施設に通い、妻とその男の姿をじっと見つめる夫の姿はあまりに切なく哀しい。
彼の妻への深い愛がそうさせるのか、それとも彼の過去の出来事に対する妻への罪滅ぼしか。
しかし、あるとき男が強制的に退所させられ妻のもとを去った後、妻に異変が起きる。すべてに対し無気力となり病状がどんどん悪化してしていくのだ。
そこで下した夫の決断とは、なんと男の妻と掛け合い、男を施設に返してくれるよう頼み込むのだ。
この妻の命を何よりも優先させようとする夫の強い意志が、彼のこころの葛藤を含め淡々と描かれているが、これらの丁寧ないくつかのカットが若干２６歳の女性監督に演出によるものだというから驚きだ。
最後にふと我に返った妻の「あなたは私を棄てて自由になっていいのよ」ということばで締めくくられるが、もしわたしが夫だったらどう答えていたろうかと、観るものにつらい選択を迫る意義深いラストであった。

見ててほんとに切ない気持になります

もし自分だったらフィオーナに接するグラントのようにできるのだろうか・・・と
ほんとに思いました

相手を思い相手を思うがゆえの行動

私にはできるだろうか・・・と

いつか自分もこんな日がくるかもしれない

フィオーナの立場なのかもしれない
グラントの立場のかもしれない

そんなことを深く考えた作品でした

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老い・・・必ず訪れる時が来るのですが、認知症と言う病に侵されるとみんなが辛い思いをします。

認知症になつたフィオーナは病が進行する恐怖におびえ
そばで見守るグラントは事実を受け止める辛さがある。

認知症が進行すると、当人より周りの人のほうが辛いです。
愛する妻が施設で「別の男性に寄り添い尽くす姿」
をみる夫の気持ちを考えると胸が痛みます。

そんな中でも妻が少しでも元気を取り戻す為、自分の気持ちを押し殺し
「妻が心を寄せる男性」を迎えに行く。
この姿に夫の妻に対する愛の深さを感じます。

アルツハイマー型認知症の悲劇・・・「看病疲れで・・・」
と言う新聞記事もよく目にします。
日々医療が進歩する今日この頃、一日も早く「完治する病」
になって欲しいと願います。

セーラ・ポーリーの初監督作品ということで観ました。
思慮深い感性豊かな「アボンリーへの道」の少女セーラ。「アメリカ、家族のいる風景」「あなたになら言える秘密のこと」などで好演してるセーラです。彼女の知的さ、感覚の広さと落ち着きがとても素敵。
この作品も初監督作とは思えない深さがあって、観ているときはみじんもそんなことは思い出さなかった。

主人公グラントの愛し方はどうなのか？　記憶障害を発症した妻への接し方はあれでいいのか？　相手（妻）の選択を尊重するという健康で自立した対等な個人どうしの礼儀？信義？はこの場合に良かったのか？
妻から自分の記憶が消えていくつらさ、まるでふられたような捨てられたように感じる男。それは翻って、男が自分のために妻を必要としていたことを観衆に無言で伝える。
エーリッヒ・フロムの言葉だと思うが「愛とは決意である」。男が妻を自分との絆を保っているという条件で必要としていたのは、実はかなり自己中心的な愛だったのではないか、愛するその人が充実して生きることができるなら自分を忘れててもいい、そう覚悟を決めたとき、フィオーナは、、、。

地味ですが考えさせる映画です。高齢化社会に突入している日本には他人事でない。どんな人もどんな状況になっても人は尊厳を保っていさせてあげなければ幸せではない、ということを感じました。

監督セーラと、年老いてなお美貌のフィオーナ（ジュリー・クリスティ）に感じ入った作品でした。

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年数がたつとこんなにも崇高なものになるんですねー
若い時の愛と違って、相手を慈しむそんな深い愛
認知症の妻を見守り
他の人に甲斐甲斐しくしてるのを妻が幸せならと
我慢して見守っているグラント・・・
辛かっただろうなーー
ラストの思い出してくれたシーンで涙がでました。
誰もが避けて通れない老いと認知症
いい映画でした。