ＳＰＹ　リー・チョルジン　北朝鮮から来た男

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　チャン・ジン監督の初期の作品。
期待はしていましたが、ここまで面白いとは思いませんでした。

　主役のリー・チョルジン（ユ・オソン）はスパイの任務を何があっても遂行するべき立場だが、血の通った一人の青年。
韓国に潜入早々思ってもみない災難に遭い、やっとのことで転がり込んだ先輩スパイ（パク・イヌァン）の家で、彼はさまざまな感情を持つ。
　ユ・オソンの見せる微妙な表情が抜群に素晴らしい。
また、パク・イヌァンはドラマでも常連のお父さん俳優。
この映画では、スパイとしての任務を負いつつ、韓国で長年暮らし色々なことを経験したおかげで、自分なりの処世術を身につけた複雑な役。存在感がありいい味を出しています。
先輩スパイの娘と、リー・チョンジルが心を通わせる場面は、地味ではあるけれど、とっても温かく心に残りました。

　コメディーとして面白いが、題材が題材だしやっぱり深いところで考える、というか感じる映画になっており、さっすがチャン・ジン。と唸る出来栄えです。
大作ではないけれど、決して見て損がないオススメ映画。

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韓国の作品は、コメディならコメディ、シリアスならシリアスとはっきり分野を峻別できないものが多いと思う。分野を峻別することそのものが多分あまり好かれていないのではないか。一作のなかで笑いもでき、泣きもできる、そういうものが好まれるような空気を感じる。

で、この作品、笑うに笑えなかった。つまりそれこそが上級ブラックユーモアということなのだろうか。
北朝鮮の諜報活動を賛美するつもりはないが、生真面目なスパイに触発されて、拝金主義的だった駐在スパイが妻を久しぶりに「同志」と呼び、同胞の飢えに思いを致す点には感動した。日本でも経済制裁を叫ぶ声は強いが、北朝鮮の国民ひとりひとりを飢えさせたいわけではないので考えてしまう。

ヒロイン役の女優さん、昔は日本にもこんなタイプのカワイコちゃんがいたよなあという懐かしい感じでよかった。
自分の正体を知っているヒロインにも、つい「イ・チョルジン」と韓国風の発音で名乗ってしまう主人公の生真面目さがよかった。
でもあの４人組はもうちょっとヒドイ目に遭わせてほしかったな。

日本語吹き替え音声はなし。

食料難で豚のＤＮＡ？はあ〜て感じですね！
おれなら豚インフルエンザをもちこんでやります！
直接、将軍様に献上いたします！

スパイといえば、切れ者でスマートで女にモテて…というハリウッド映画のイメージと180度違い、どちらかというとドジでダサくてただただ祖国を愛するあまりスパイになってしまった青年が主人公。クスッと笑わせるシーンがあったり、淡いロマンスもあったりと、韓国のスパイ映画にしては軽めに作ってあるものの、やはり根底には南北問題がしっかりと横たわっています。「チング」のユ・オソンの素朴で切ない演技は一見の価値あり。韓国映画ならではの丁寧な作りで、スパイの実像って案外こんな感じかも…と思わせるリアリティが全編に漂っています。

社会主義国の「純朴なスパイ」を思わせる言動、行動は確かにユーモラスだが、一旦任務を与えられた時の動きはまさに「プロフェッショナルなスパイ」！！その豹変ぶりが逆に凄みを増してます。
ストーリー展開もよく練られてて観る者を飽きさせません。南北問題に詳しく無くても楽しめますが、少し予備知識を持って（簡単な北朝鮮関連の本でも読んで）観れば、更に楽しめる事請け合いです。