２１ブリッジ

　よくできた刑事ものです。
　できすぎていて逆に退屈だ。


　捜査のために橋を封鎖ってのはいいんだけど、あまりそういう描写がない。
　もうちょっと遊びがあってもいいんじゃない？

21ブリッジ

ニューヨーク州マンハッタン島

父親が殉職して19年が経ち刑事になって、正義の名の下に、悪党を撃ちまくっていた。
内部調査で警告を受けていた。

ある日ブルックリン周囲で麻薬強盗が警察を殺して逃走している事件が発生。


◎79E点。
★彡マンハッタンがカッコいい！
21個橋のはあまり生きてない
思った以上に面白かった！



◇見所5！
�@敏腕主人公が大胆な作戦を考え、悪党を追い詰めていく！

�A小さな強盗から大きな犯罪になっていくスケール感が良い。

�B夜のマンハッタンの雰囲気や街の景観が良い！

�C大きな陰謀も絡みまさかの展開に！


�D亡父の意思を受け継ぐブレない主人公。




◇残念な点。
�@主人公の人柄が伝わりにくい。
★彡ロボットみたいに感情が無いのが残念。

�Aマンハッタンの夜の街がやや暗過ぎて、もう少し景観を堪能したかった。

�B悪党の言い分が全く理解できないし、無理がややあるかなあ？

�C橋の封鎖は特に生きていない。

２１ブリッジ（２０１９年・アメリカ、カラー、９９分）

警察内部の腐敗を描いた作品で、まず思い浮かぶのが「Ｌ．Ａ．コンフィデンシャル」（９７年）である。
古くはフィルム・ノワールの「黒い罠」（５８年）、本作と同じＮＹ市警が舞台だった「セルピコ」（７３年）も印象深い。
この「２１ブリッジ」も上記作品群に勝るとも劣らない出来栄えで、ＮＹ市警にはびこる腐敗と汚職に、孤高の刑事が敢然と立ち向かう姿が描かれている。終始、緊迫感のある音楽も効果的だ。

ニューヨーク。マンハッタンのワイン貯蔵庫に隠されているコカインを盗んだ挙句、警官8人が射殺される事件が起きた。犯人は退役軍人のマイケル（ステファン・ジェームズ）とレイ（テイラー・キッチュ）で、ニューヨーク市警殺人課のアンドレ刑事（チャドウィック・ボーズマン）が現場に到着した時には、既に車で逃走していた。アンドレは８５分署のマッケナ署長（Ｊ・Ｋ・シモンズ）から事件の担当を命ぜられ、女性麻薬捜査官のフランキー（シエナ・ミラー）と組んで捜査にあたることになった。逃走したマイケルとレイの２人組は、３０キロと聞いていたコカインが３００キロもあり、しかも全て上物であったことから、強奪依頼主に会って高額な報酬を要求した。ところが逃走の際の信号無視により、監視カメラで車の所有者の情報が判明、アンドレ刑事はマンハッタンの２１の橋すべてを封鎖するよう指示した。その後、アンドレは車の所有者の住所を訪ね、リー（ジェイミー・ノイマン）という女性から、２人組の名前を聞きだした。警察が名前を公表したことで、マスコミはこぞって事件を報道した。アンドレは着実に犯人に迫っていくが、常に先回りする警官たちの動きに不信感を抱く。

製作総指揮にＷａｎｇ　Ｂｒｏｔｈｅｒｓが名を連ねていることもあり、製作国が米国・中国の表記もあるが、私見の表記は「米国」とした。
チャドウィック・ボーズマンの演技に注目したのは、「マーシャル　法廷を変えた男」（２０１７年）における弁護士役だった。
差別が下地の裁判映画だけに、アフリカ系アメリカ人俳優の演技に着目していたのだが、期待以上の好演に、即刻ファンになってしまった。

ここで思いつくまま、アフリカ系アメリカ人俳優（ほんの一握り）を列記してみたい。
シドニー・ポワチエ、モーガン・フリーマン、デンゼル・ワシントン、サミュエル・Ｌ・ジャクソン、ウィル・スミス、フォレスト・ウィテカー、ローレンス・フィシュバーン、テレンス・ハワード、ジェイミー・フォックス、ジェームズ・アール・ジョーンズ、キューバ・グッディング・Ｊｒ、ダニー・グローヴァー、エディ・マーフィ、ルイス・ゴセット・Ｊｒ、ジャンカルロ・エスポジート、サミー・デイヴィス・ＪＲ．．．
ああ、とても書ききれない。

女優陣では、オクタヴィア・スペンサー、ヴィオラ・デイヴィス、ハル・ベリー、アンジェラ・バセット、ＣＣＨ・パウンダー、ウーピー・ゴールドバーグ、ジェイダ・ピンケット・スミス、シシリー・タイソン、ジェニファー・ハドソン、レジーナ・キング、ファニタ・ムーア、ハティ・マクダニエル、タラジ・Ｐ・ヘンソン、パム・グリア、リサ・ゲイ・ハミルトン．．．

言うまでもなく、近年のアフリカ系アメリカ人俳優の活躍は目覚ましいものがある。
ハティ・マクダニエルやシドニー・ポワチエが注目されていた時代は遠い過去のものとなったが、彼らが切り開いてきた映画そのものは、時代を超えていつも新鮮である。古いモノクロ映画のなかで、ほんの端役ながら、ほんの一瞬ながら、一生懸命に輝こうとスクリーンに姿をみせていたアフリカ系アメリカ人の俳優たち。その役柄がメイドだったり、タクシー運転手だったり、ホテルのドアマンだったり．．．
それでも、古い洋画を再見する度に、彼らの登場には、なぜか応援したくなる。

チャドウィック・ボーズマン、時代を超えて、これからも多くの映画ファンのこころの中で生き続ける。

監督：ブライアン・カーク（2019年・中国/米・99分）
原題：21 Bridges

「悪徳警官」「汚職警官」「組織ぐるみ」そんな言葉だけで想像がついてしまうので、あらすじなんて書く必要はないみたい。
観ている99分間がスリリングで展開が速く濃密。
夜のシーンは苦手なんだけど、このストーリーに昼間の明るさは相応しくない。夜のマンハッタンを走り回るパトカーのライトやサイレン、そびえ立つビル群の窓々の明かりに温かみを感じず、よそよそしさが似合っている。
コカインを盗み出す仕事を請け負ったマイケル（ステファン・ジェームス）とレイ（テイラー・キッチュ）でさえ、初っ端から「何かがオカシイ」と感じるほど、まるで「筋書き」が用意されているような仕事だったのだ。
85分署のマッケナ署長（J・K・シモンズ）の指令で、アンドレ刑事（チャドウィック・ボーズマン）は麻薬取締班のフランキー刑事（シエナ・ミラー）と組んで捜査を開始する。

途中で「ああ、そういうことか」と予想がついてしまうのだけれど、私は地下鉄内で犯人が射殺されて初めて「え！？アンタも？」と驚いた。そうと分かってしまえば、途中で「これは変だぞ」と思った瞬間が何度かあったけれど、展開がスピーディーで考えている余裕はなかった。

「チャドウィック・ボーズマン最後の主役」という触れこみだったけど、きっと本人はそういう目で見られたくない筈。
だから、「すごく面白かったよ！」そう伝えたい。

文句なしに面白かった。日本はこのスケールでも作れないかも。手持ちカメラは小回り効くし、大変良いですね。