空挺ドラゴンズ

　この作品は最初、漫画本として認識したのだが、異世界ファンタシーの一変種としてスルーしてしまっていた。テレビでアニメが始まって観てみてその魅力にまいってしまった。漫画も借りて読むようになった。
　異世界ものというよりもＳＦと言った方がいいと思う。我々の現実世界とは完全に切り離された、その世界だけで物語が進むのは『鋼の錬金術師　FULLMETAL ALCHEMIST』と似ている。ただ、あちらと違って魔法や派手な戦いはない。こちらの世界は独自の歴史や生態系を持ってはいるが、我々の世界と同様な人が生きている世界である。空中を浮遊する“龍”と呼ばれる生物がいることが我々の世界との最大の相違点で、他は貧富の差もあり、物語には直截に描かれてはいないけど国と国との諍いもありそうな世界である。
　龍は、肉は食料に、油は食用にも照明にも使える。他にも骨や皮は工芸品に利用されるらしい。そのため、補龍船と呼ばれる空中船が龍を捕らえるために東へ西へと空中を行き来する。本作の主要登場人物は龍捕り（おろちとり）と呼ばれる補龍船の乗組員たちである。そう、最初に説明するのを忘れたが、この世界では空中船（と言うのかな？）が交通機関として発達しているのである。もちろん、船舶も大量輸送の一方の雄ではあるが大陸の都市同士を結ぶという点では空中船に敵わないと思う。
　で、“クイーン・ザザ号”という補龍船に乗り組んでいるのは、いずれも個性豊かな男女で、主人公の新人、タキタ。いつも元気一杯である。龍を捕らえることと食うことには人一倍の情熱を発揮するベテランのミカ。目が良く生真面目なジロー。並の男は足元にも及ばない龍捕りの姉御ヴァナベル、乗組員全員の胃袋を満たし舌を満足させる司厨長のヨシ、誰よりもクイーン・ザザ号を愛している船長代理のクロッコほかのメンバーが、あるときは命がけで龍を捕獲し、あるときは立ち寄った街で諍いを起こしたり、恋をしたり、そこで生きている。そう、彼らの人生が目の前に映し出されるのが、このアニメの魅力の一つである。
　もう一つの魅力は、龍が回遊し、それを追う人間たちのいる世界の造形の見事さである。補龍船は実際に空に浮かんで航行しているのが納得できるデザインであり、龍を捕らえるための銛や大砲などの形も自然である。この辺り、古今の捕鯨（今といっても現在、捕鯨を続けているのは日本とアイスランドくらいではないかと思うが。鯨の竜田揚げはうまいんだけどねぇ。）の装備など参考にしたのだろう。また、龍を解体する前に全員が「雲に還りて、また良き風起こせ」と詠唱する場面など古の狩猟民の自然への畏敬の念に通じる文化を感じる。
　龍のデザインは何だか海中の生物みたいで、カラーのアニメで見ると奇妙な美しさがある。こちらも本当に空中で生きている生物としての質感を感じる造形で、ディジタルで描いているにもかかわらず意思が感じられる場面もある。劇中では龍肉のレシピがいかにもありそうな絵によって紹介されるのは「ダンジョン飯」に通じるものがある。この辺はＳＦファンが異星の環境を微に入り細を穿って作り上げる気持ちに似ているんじゃないかな。
　このように本作は様々な角度から見て面白い作品である。現在、放映は一旦、終わっている。現在のコロナ禍の最中では難しいと思うが、第２期を是非、お願いしたいものである。

謎の巨大生物　ドラゴンのいる世界。
そのドラゴンを駆除して生業にしている捕龍船「クィン・ザザ号」の新人タキタと、それを取り巻く人々の冒険ファンタジーものです。
仲間のクルーも個性的で面白い。
グルメとありますが、この部分は最初の頃だけで、あとは冒険ものかな・・

作中で描かれるドラゴン肉はとても美味しそうで食べてみたいと思いました（笑
人間とドラゴンが共存する不思議な世界。
人々の欲望が、ドラゴンを取りつくさないか心配になります。

本作のドラゴンは絵本のようなものでは無く、色々な種類があり世界観やドラゴンの生態に興味があります。

世界観は、ザックリとしか描かれておらず、もっと詳細に描いて欲しかったです。
王政のようですが・・・

味のある作品でしたが、1クールという期間では、これが限界かな・・・
続編が作られれば観たいと思います。