ＤＯＭＩＮＯ　ドミノ

ストーリー・映像・配役・なにもかも最高！　痺れます

話がアッチ行ったりコッチ行ったりで、こんがらがりそうだったけどまだついて行けました。あと5年経ったら無理かも・・・。

実在した女バウンティハンター（賞金稼ぎ）をモデルにした、隅々までスタイリッシュでクール（ベタないい方だけど、別に腐している訳ではありません）な一本。フィルターの使い方やカメラワーク、ライティング、サウンド、何から何までＣＭっぽいなあ、と思ったらそれもそのはず、監督はスコット兄弟の弟で凄腕ＣＭディレクター上がりのトニー・スコット（兄は『エイリアン』『ブレードランナー』のリドリーね）。

ストーリーが意外に複雑で、めくるめく映像に見惚れていると分からなくなるので注意（俺だけか？）。それにしても、よくビバリーヒルズ高校生白書（懐かしい！）の「あの」二人があの役で出たよなあ、と。ある意味バウンティ・ハンターたちより体張っててエラい(笑)。

モデルとなったドミノ・ハーヴェイ（エンドロールや特典映像で本人が見られるが、映画の中のキーラたん以上に（失礼！）とても魅力的な人物に見える…）が本作の完成を待たずに若くして亡くなったのが、図らずもこの映画の「点睛」になってしまっているのが複雑ではあるけど、キーラたんやミッキー・ロークもばっちりハマり役だし、観て損はない一本だと思います。

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『アンストッパブル』は普通に面白いくらいの映画だったけど、『ドミノ』はすごい。劇場で観たときにはひっくり返った。この時点でのトニー・スコットは、ほんとに映画の最前線にいるような気がした。
　必ずしも面白いわけではない、特に最初は笑。ギトギトと映像に加工して、ほとんど黄色だか黄緑のような色合いにして、短いカッティングと観客に対する説明に頓着しないものすごいスピード。開始早々なんじゃこりゃと思っていて、そのうち落ち着くかいなと思っていても、まったくそうはならない。一時間を過ぎたあたりで、今までのどんなアクション映画とも違う、いやどんな映画とも違う何かを観ているような気がしてくる。
　ハネケもびっくりの巻き戻し。カタルシスのまったくない物語。危機をストリップで乗り切ったり、携帯が聞き取れなくて右腕をショットガンでブチ切ったり、しまいにゃ幻覚剤でトレーラーがすってんころりんするのがクライマックスだ？
　一応、ドミノ（キーラ・ナイトレイ）とＦＢＩ捜査官（ルーシー・リュー）のやり取りから過去を振り返るという、フィルム・ノワールの定型を借用しているんだけど、これはサービス程度の意味しかない。スコットには物語るつもりもアクションで見せるつもりもまったくないのだ。スタイリッシュですらない。こんなないないづくしは、ハッタリだけじゃあ出来ないし、ＰＶともまったく違う（手法的には援用しているけど）。じゃあ何があるのか？　それは正直なところ、よく分からない。ただ、うんざりしながら観ているうちに、映画を観ているという歓びが内から湧いてくるのである。
　この僕の知らない映画『ドミノ』で度肝を抜いた後、トニー・スコットは見事なエンタメ『デジャブ』で物語と映像の調和をとることに成功、しかしやる気ない『サブウェイ123』で失敗、『アンストッパブル』で落ち着いてしまった。
『ドミノ』はトニー・スコットのひとつの頂点であったことは間違いないだろうと思う。80点。

キーラ・ライトレイなので借りましたがバイオレンス映画だった。（不得意です）

出演者が凄い。
ミッキー・ロークは「レスラー(2008)＝私的満点作品」で久し振りに見てその変貌振りに度肝を抜かれたが、この映画で既に変貌していたのを知りました。雰囲気素晴らしいです。
あと、ルーシー・リュー。座ってるだけでアクションしないのが残念です。
クリストファー・ウォーケン。何故か今回は薄味の存在です。
ミーナ・スバリ。「アメリカン・ビューティ(1999)」で、この美少女はいったいどういう大人になるんだろうと思ったものですが、ごく普通になってしまいました。そこがまた良いです。ありがちで。
ジャクリーヌ・ビセット。おばあさんになっても美女です。
で、キーラ・ナイトレイ。奥行きや深みの無い主人公役にハマってます。

実話をベースにした作り話と最初に画面でネタバラししてますが、作り話にしてはストーリーはさっぱり面白くありません。ちぎられた腕がころがったり、いきなり苦手シーンの連続、銃撃戦もイヤ、という自分の好みを差し引いても、この映画は話がつまらない。そもそもこの主人公になんの魅力も感じられません。ただのセレブリティに生まれた自分探し娘です。セレブリティに生まれたのは仕方ないんだから、素直に受け止めてその事を楽しめば良いのに、その衣装を脱ごうとするのです。脱いだらタダの人なのに、脱いでも自分はなにかしら特別な存在だと思っているわけだ。アマチャンである。人間的な魅力は私は感じないです。

実際、この映画はストーリーを語っていません。ドミノの内面は描かれないし、自伝映画なのにそんなことはどうでも良いらしい。
重点は映像と音楽のキレにあります。これだけ個性的な役者が勢揃いしているのに、役者の印象が非常に薄い。クリストファー・ウォーケンでさえ、ミッキー・ロークでさえ、この映像のめまぐるしさ、編集のぐちゃぐちゃ感の前には印象が薄いのです。

トニー・スコット監督は年齢を重ねるにつれてアバンギャルドに突き進んでいるように見えます。そういう個性的な作風が存在すること自体は映画の地平線を広げるという意味で素晴らしいことだと思えます。彼の存在は貴重です。

でも、私はこの映画は好きじゃないですね。
バイオレンス映画はペキンパー監督までで終わっている気がしました。