最強のふたり

さすがパープルローズさんが書かれているのですが、「観て損はしないけど……」という感じでしょうか。
ひとつひとつあんまり突っ込まない薄さ、ほどほどさがヒットした理由でしょう。
僕があまり気に入らなかったのは、主人公二人にあまり魅力がないのと、やっぱり最後の展開かな。


（ネタバレあり）
会いたくないっていってるのに、無理やり会わせるかな。
だけど映画はその展開を全面肯定して、人間賛歌にしているわけ。
そんな単純かな？
僕はもっと人間は複雑なものと思うので、いい話に押し込められた感じがして、窮屈に思った。
イヤな気分を沈殿させて岐路に着きました。
ということで、可もなく不可もなくの50点。

この作品を観て思い出したのは『海を飛ぶ夢』と『潜水服は蝶の夢を見る』のふたつでした。
『海を飛ぶ夢』は、海へダイブして海底で頭部を強打し、首から下が麻痺してしまった男性の物語。
『潜水服は〜』の方は、脳梗塞で倒れて完全に身体の自由が奪われ、動かせるのは左目だけになってしまった男性の物語です。
そして本作は、パラグライダーの事故で首から下が不随になってしまった男性の物語です。
これらに共通しているのは、自力では生きていけない。生活の全てに他人の助けを必要とする。という点です。
過去の2作品については、これ以上触れません。どちらも良い作品なので、興味のある方は是非ご覧になってください。お薦めします。
さて、フィリップを乗せた高級車をドリスが運転し、夜のパリをカーチェイス張りに疾走するシーンはラストでもう一度出てきます。
同じシーンですが、二度目に観る時は、フィリップとドリスの互いの友情と信頼が理解できるようになっていると思います。
フィリップの介護士募集の面接が、この二人の出会いでした。
面接を受けに来ている他の応募者は、介護士の資格がある、障害者の助けになりたい、などと自分を売り込みます。
しかし、ドリスは、「就職活動をした」という証明のため、不採用のサインをしてくれと要求するのでした。
その書類を職業安定所に出せば、失業保険がおりるからです。
ドリスは障害を持ったフィリップに特別の関心も示さず、自分では何もできないフィリップに「厄介だな」と一言。
そんなドリスを何故フィリップは採用する気になったのか？
他の応募者やこれまでの介護士と、ドリスとの相違点はどこにあるのか？
面白可笑しく綴られていくストーリーに、笑いながら、ツッコミを入れながら観ていくと、その答えは自然にわかってきます。
障害者を完璧にサポートできる介護士は、探せばきっとたくさんいるでしょう。
でも、障害に対して何の偏見も持たず同情もせず、障害者に対して特別の配慮も付き合い方もしないドリスのような人間は、そうはいないだろうと思います。
腫れ物に触るような言動は、かえって障害があることを意識させ、疎外感や無力感を与えてしまう気がします。
ドリスの言う「厄介だな」という言葉は、「そりゃ大変だな」くらいの意味だと思うし、差別する気持ちがないから好き勝手なことを言えるのだと思います。
ですから、ドリスが去った後に採用した介護士たちの言動やフィリップの様子は、ドリスとの違いを際立たせて見せてくれます。
それで、再びドリスがフィリップのもとに呼ばれるのですが、その時の二人のハシャギ様は・・・！
誰もがこの二人のようになれるとは思いません。
誰もがドリスのようにフィリップに接し、誰もがドリスの言動を受け入れられるとも思いません。
あまり運命的とか奇跡的とかいう言葉は使いたくありませんが、人と人の出会いは不思議な糸で結ばれている気がします。
こうして出会えたら、それはとてもハッピーなこと。
実話がベースの物語だと言うことは、エンドロールが流れる前の実際のモデルになったお二人の姿で確認できます。
ちょっと映画のイメージと違いますが、お二人の後日談も紹介されていました。
私は、原作も読んでみたいと思っています。

最強の映画があらわれました！

ここ数年観た中で一番いいです。

「スラムドッグミリオネア」以来の衝撃です。

これは、実話をもとにしているということですが、キャストがみんな魅力的です。

ドリス役のOmar Sy。

彼が最初にキャスティングされた、というのも納得。

ものすごくチャーミングです。やばい、ノックアウトされました。

フィリップ役のFrancois Cluzet 。実力派です。笑顔が素敵です。

大富豪なんだけど、首から下がマヒしている。
で、いくらお金持ちでも、彼のように、ユーモアも忘れなくて、ちゃんと人間を人間として扱うことができるひとがいるだろうか？
素敵ですよ。

ここで働いているひとたちもみんな魅力的。

私は、イヴェットがとても好きです。 Anne Le Nyが好演してます。

「整体と薬で７０歳まで私は生きられるらしい。幸い私には金があるから」と笑って話すフィリップ。

お金があるってすごいけど、このひと、それだけじゃないよね。

生きるってことをいろいろ考えさせられます。

この映画の素晴らしいところは、障害者のお金持ちと、スラム街の青年が心を通わす、というような単純なお涙ちょうだいの映画ではないんです。

そんなことは関係なく、人間対人間のお話なんです。

押しつけがましいメッセージも小細工もなにもなく、ただただ素晴らしい映画なのです。

カメラワークも、映像も、脚本も、もちろんキャストも。プロットも文句なし。

まったく無駄もなく、笑いっぱなしで、わくわくする映画です。

Omar Sy、大注目ですよ。

最後に、このお話のもとになった二人がでますが、デリスは黒人ではなく、ちょっとイメージ違いました(笑)

とにかくおすすめです！

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

映画館で見ました。とてもいい映画でした。
感動作を狙ってる感じではない、さりげなさがよかったですね。でもやっぱり感動したし、会話も面白くて楽しめました。
（以下、ネタバレがございます）

冒頭は２人の暴走ぶりに眉をひそめましたが、物語は２人が出会う前に戻ります。

生活保護申請のための不採用通知を目当てに面接に来たドリスは、介護士として働こうなんて思っていなかった。
でも豪華な部屋を見て、試用期間だけでも働いてみる気になる。
雇ったフィリップの方も、ほかの人と違う彼にちょっと興味を持って軽い気持ちで雇ったのだろう。
実際、彼は他の介護人と全然違っていた。とにかく明るく、気を使う様子がない。禁句だと思われるキツイ冗談も平気で言う。
ハレモノに触るような対応を受けてきたフィリップにとって、「障害者」のうちの１人としてではなく、彼個人にぶつかってきてくれるのは嬉しかったに違いない。
ごく普通の感覚で、女性や恋の話だってする。
体に悪いタバコやマリファナ（これは抵抗ありますが…）も勧める。
周囲も巻き込んでいき、他の人もまた彼のペースに乗せられていく。この屋敷に新風を吹き込んだのだ。
でもドリスの家族に問題が起こり、彼はやめることになってしまった…

そして、冒頭のシーンへ。これは、二人が離れた後だったんですね。それで納得。
（日常的にあんなことをしてるわけじゃないのね）

出会いは大切だと思う。人生が大きく変わることもある。
そして楽しく前向きに生きるって本当にすばらしいことだと思う。
人生は短いんだもの、楽しんだもの勝ち！…かもね。

キャストでは、なんといっても介護士役のオマール・シーがよかったです。みんなを引きつけて乗せてしまうのも納得の、魅力ある人物でした。

一緒に見た夫は「しつけなきゃ」というセリフがツボだったようで、しばらく家でプチ流行中してました^^;

この映画本当に素晴らしい★
もぉ大大大好きです！！

首から下がマヒした富豪と
貧困層で生きる黒人との交流なんですが
本当に元気が出る映画です！！
でも実際・・・障害者とここまで対等に
付き合えるのかとも思ってしましましたが
これを現実にやってのけたのが黒人の主人公(●´艸｀）

暗い映画じゃなくてお金じゃなくていい友達を持てば
希望や未来が明るくなるんじゃないかなって
思わせてくれる映画でした！！
障害を持った人だって遠慮なんかしてほしくない
対等に扱って欲しいという願いが
切実で考えさせられましたヽ(´Д｀)ノ
でもちょっと差別発言が・・・いいのかな(;´Д`)
だから賛否両論な映画だとは思うんですよね・・・

この映画は実際にいる二人だそうで
今でも交流は続いているそうです★

原題は『Untouchable』
色々意味はあるので訳すのが難しいですが
相容れない２人が出会った事は奇跡です！！
映画として楽しんでいただければ満足する作品ですよヽ(^Д^*)/
ぜひこの２人の友情を楽しんで♪