ドビュッシー:歌曲集「月の光」 / デセイ(ナタリー)

ドビュッシー:歌曲集「月の光」 / デセイ(ナタリー)

全体の平均評価点(5点満点)

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  • CD
ジャンル : 
アーティスト : 
デセイ(ナタリー)

なんとまあ演劇的な。アール・ヌーヴォー調のタッチで描かれたジャケットの肖像が伝説の大女優サラ・ベルナール(そのポスターがミュシャの出世作でしたね)へのオマージュに思えてくる。つまりはそんな演奏だ。歌詞の意味を細部まで炙り出す濃密な表現。しかしニュアンスは香水過多に陥らず、なおかつドビュッシーが音符で記した台詞回しを恣意的な形に歪めたりもしない。
プログラムは周到に考えられている。大半が1880年代前半の所産。パトロンにして年長の恋人(と噂される)ヴァニエ夫人との関係から生まれた一連の歌曲と、その周辺である。ときにドビュッシー二十歳前後。象徴主義的な筆致に走る以前の時期で、旋律のロマンティックな挙動も感情の振幅も大きい。おまけに高めの声域が映えるナンバーを中心に選んだとなれば、もはやナタリーの独壇場ってやつ。「星の輝く夜」や「現われ」や「未練」で胸に迫る、デリカシーに裏打ちされたセンチメンタリズム。「パントマイム」「月の光」「ピエロ」(まるで“道化師三部作”)や、意外と音源希少な「艶なる宴」を満たすコケティッシュな魅惑。コロラトゥーラ的な喉回しを要求される「中国風のロンデル」を、これほど鮮やかにこなすソプラノも少なかろう。世界初録音の、そして7分を超える大曲の「妖精たち」も同様の見せ場満載。
他にも3曲が世界初録音。アルバムの仕掛人でもあるカサールが2010年に手稿譜の中から発見したものらしい。カサールといえばベヒシュタインで録音したドビュッシーの独奏曲集を思い出すが、今回の楽器はスタインウェイ。しかし渋く光沢を放つ虹色の響きは相変わらずだ。一枚をしめくくるカンタータ「選ばれた乙女」でも彼のピアノが冴え、普通に聴く管弦楽版よりテクスチュアの透明度と線の流れの美しさが際立つ。女声合唱が少人数ですむ点も、作品の親密かつ哀しげな空気感からして好ましい。そして名優の一人芝居を思わせるナタリーの歌声! (木幡一誠) JAN:4988006892088

ドビュッシー:歌曲集「月の光」 / デセイ(ナタリー)

  • 旧作
記番 : レンタル開始日 : 在庫枚数 :
TOCE90219 2013年03月06日 3枚
1位登録者 : 2位登録者 :
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曲目 :
  • 1. 星の輝く夜 (3分9秒)
  • 2. パントマイム (2分32秒)
  • 3. 月の光 (2分31秒)
  • 4. ピエロ (1分51秒)
  • 5. 現われ (3分19秒)
  • 6. ひそやかに (2分43秒)
  • 7. 艶なる宴 (2分3秒)
  • 8. ロマンス/霧のように消える魂 (1分53秒)
  • 9. 鐘 (1分47秒)
  • 10. 中国風のロンデル (3分13秒)
  • 11. 波・椰子・砂 (ソプラノ、ピアノとハープのための) (4分54秒)
  • 12. アリエルの恋歌 (4分30秒)
  • 13. 未練 (2分35秒)
  • 14. 海に落ちた水夫 (世界初録音) (1分17秒)
  • 15. 死化粧 (3分42秒)
  • 16. 弓 (世界初録音) (2分58秒)
  • 17. ロマンス (世界初録音) (1分45秒)
  • 18. 妖精たち (世界初録音) (7分19秒)
  • 19. 選ばれた乙女 (ソプラノ、メゾ・ソプラノ、合唱とピアノのための) (18分44秒)

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