君の名は。

日本はおろか世界中から大絶賛されている映画なのに。
爆発的に大ヒットした映画なのに。
とっても期待して見たのに。
アタシの感性の、一体どの部分が欠落していて、この映画を面白いと思えなかったのか。
世間からの取り残され感が半端ないです。

1000年ぶりという彗星の接近が１ヶ月後に迫ったある日、田舎町に住む女子高生の三葉は、自分が東京の男子高校生になった夢を見ます。
一方、東京で暮らす男子高校生の瀧も自分が行ったことのない山奥の町で女子高生になった夢を見ていました。二人の高校生の身体が入れ替わる事を繰り返す不思議な夢。

誰かの出会いとすれ違い。男女間の物理的および心理的な距離の変化が新海作品の妙味なのかもしれません。
夢の中で心身が入れ替わる男女の高校生が、いつしかお互いを意識し合い、邂逅を果たさんとする様が描かれ、入れ替わりが始まってからのコミカルな日々は面白かったです。
このファンタジー感に覆いかぶさるのは、3.11を彷彿とさせる大災害を埋め込み、予想していない展開にビックリしました。

オープニングで分からなかった映像の意味が、話の進行と共に分かってくると快感でした。
感覚に染みついたわずかな残像が直感に繋がるラストは、切ないですね。そして、監督お得意の実写と見間違う美しい背景描写にうっとりしました。

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　寝ると東京の男の子と岐阜の田舎の女の子が「おれがあいつであいつがおれで」な体と心が入れ替わっていろいろある話。

　新海監督作品らしく美しい描写がよかったです。ただそれは【秒速5センチメートル】で表現されていた駅の描写だったり【言の葉の庭】で描かれた都会のビルだったり他の新海作品で見たことのある既視感いっぱいの描写で新鮮さが感じられなかったです。

　身体が入れ替わってしまういうSFな設定があって、そのカルチャーギャップのドタバタが前半で描かれますが、【放課後】な設定を煮詰めることもなく、案外すぐに状況を受け入れて生活していくのも不思議でしたし。【イルマーレ】な設定になってもなぜ主人公だけ街が消滅したことを知らなかったのか、とか。3幕目は【ファイナル・ディスティネーション】な設定になって時間のカセが発生するタイムリミットものとしてもあまり緊張感なく、ヒロインの同級生たちはなぜかヒロインの超常現象話を信じて変電所を爆破するという犯罪行為を犯してしまうのが謎でした。しかも、ヒロインたちの行動が失敗した状態のまま終わってしまって、エピローグで避難訓練で解決しているというのもよくわからなくて、結局ヒロインの行動は関係なかったのか。その後のさらに娘とか孫が解決したのかとか思っちゃいました。そもそも避難訓練って夜やるのかな、とかSFとしてのディテールが気になってしまって総武線と中央線快速で主人公たちがすれ違っても何のエモーションも動かされなかったです。なぜ、主人公たちは夢から覚めると忘れてしまうのか、とかもどういうことなんだろうとか気になってしまいました。

　そういうことよりも目の前で起こることを楽しむ映画として見ても、ちょっとこの内容でこの上映時間は長くて、一体何回ミュージシャンの曲を聞けばいいのだろうと呆然としてしまう映画でした。

　どんなレビューを書いても意味無いなぁと思うこの無力感はなんだろう。ここ
までパッケージとして完成された作品を前にすると、わかりきったような感想を
書くのが恥ずかしくなるという現象。

　新海誠監督のこれまでの作品は、良くも悪くも昭和的で、今のこの時代によく
こんなお話しを「てらいもなく」やれるよなぁ、すごいなぁと思うものだった。
デビュー作から徹底して、彼は個人主義的な世界を作り上げてきた。誰の世界で
もない新海誠の心象風景、普遍的ではあるが他者の思惑は入り得ない。成就しな
かった恋、未練、苦しいが故に美しかったあの頃、過ぎ去った青春へのこだわり…
　普通ならばある時点で（身も蓋もないことを言っちゃえば童貞期を過ぎ、異性
への幻想が綺麗さっぱり消え去っちゃう頃）そういうものには触れたくなくなる。
そこにあるのは大概、自分史の「恥部」であるからだ。
　だが新海誠はそんな恥部をも恐れない。物語においても、画面作り全般において
もそう、特に音楽の使い方に顕著だ。『秒速〜』の山崎まさよしや『言の葉〜』での
秦基博の使い方。それをやっちゃうとさすがに恥ずかしいよ、ということを堂々と
やって成立させてしまう。
　そういう様々な部分を「いやさすがに青臭い、無理」と敬遠するか「これこれ！」
と飛びつくか。新海誠作品というのは、そういう二つの評価にパッカリと別れるもの
であった。　これまでは。

　『君の名は』が異様なまで広い支持を受けることになったのは、そんな新海誠作品
たらしめていた「こだわりの素材」を名料理人にあずけ、それぞれに料理してもらう
という試みによって、成し遂げられたのだと思う。
　田中将賀のキャラクターはいかにも今風の画でカラッとしているし、ジブリやI.G.
シャフトなどから精鋭アニメーターを集め、仕切るのは安藤雅司御大だ。画的には
現在の日本アニメ界最高レベルだし、実際観ていて、これまでの新海作品にあった
ウェットなクセがすっかり除湿されている。
　料理を構成する素材のひとつひとつは「人格入れ替り譚」にしろ「ディザスター譚」
にしろ、それだけで十分一品料理になる強い味のものだ。料理人達は味がぶつからない
よう、注意深く手間をかけて融和させている。これほど多くの素材をぶち込んでるのに
喧嘩し合わず、なめらかな味に仕立てられているのは、お見事というしかない。（河村
料理長の手腕！）

　もちろんこれだけ食しやすい料理にするためには、何かを犠牲にすることになる。
食後感のあまりの良さで舌に残らない感があったり、よく味わうとクリームとかオリー
ブオイルに騙されてない？って思うところもあったり。
　しかしこれだけ徹底して「みんなで美味しく食べられる料理」が出来上がることは
めったに無いのだから、やっぱりちゃんと堪能すべきなんだろう。騙されたと思って。
　
　で、次の料理はどうするんだろうな？シェフのあの、青臭い料理もまた、食べて
みたいんだけど。

一言で言うと微妙。
矛盾点を無視というか、キャラが動き出すのではなく、ストーリーに合わせてキャラを動かしてるというか。
どうせ膨大な広告に費やした分の過大評価だろうと思って期待しないで観たが、こうも後味悪いとは。
サクラみたいな絶賛高評価が並んでいるのはナゼだろう。
邦画は実写どころかアニメももう期待して観れない。