野火

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野火 / 塚本晋也
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「野火」 の解説・あらすじ・ストーリー

第2次世界大戦、フィリピン・レイテ島の惨状を描いた大岡昇平の原作を●塚本晋也が映画化した戦争ドラマ。日本軍の敗戦が色濃い中、結核を患った田村一等兵。病気と食糧難で部隊も野戦病院も追い出された彼は、レイテ島を彷徨うことを余儀なくされる。※PG12

「野火」 の作品情報

製作年: 2014年
製作国: 日本
原題: FIRES ON THE PLAIN

「野火」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ

野火の詳細

  • 準新作
収録時間: 字幕: 音声:
87分 日:ドルビーデジタル5.1ch
レイティング: 記番: レンタル開始日:
PG-12 DB9878 2016年05月12日
在庫枚数 1位登録者: 2位登録者:
49枚 18人 16人

野火の詳細

再生可能機器: 再生時間: 字幕:
TV 、PC 、Android 、iOs 01:27:14
音声: レイティング: 視聴制限:
日本語(ステレオ) 購入:無期限
レンタル:初回再生から48時間
購入期限:
購入:2030年05月11日 23:59
レンタル:2030年12月31日 23:59

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ユーザーレビュー:21件

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1〜 5件 / 全21件

野火ネタバレ

投稿日:2016/03/05 レビュアー:片山刑事

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 太平洋戦争末期のレイテ島で、ひたすら人間の極限状態を描いていく話。

 手足が飛び散り内臓がぶちまけられる描写はなかなかの凄惨さで見てるのが辛い映画でこれが見られるだけで戦争って怖い。という反戦映画だと思いました。
 戦争映画に塚本監督色が散りばめられていて、高速で揺れるカメラワークに耳をつんざく爆音で圧倒されてしまいました。

 主人公の兵隊がただ歩き続けていくロードムービーで、その中で主演の塚本晋也監督自身が痩せこけて目をぎょろぎょろさせて演じていて緊張感いっぱいで、リリー・フランキーさんがいつものようにひょうひょうとしたお芝居をしているのもよかったし、中村達也さんの伍長役もよかったです。

 敗走兵たちの狂気の日常とそんな異常事態の中でも関係のない綺麗な景色。あの大自然の前で意味のない殺し合いをしていて、戦争は人間ではなくなってケダモノになっていってしまうということ。生き残ってから家人が目を疑う行動をしてしまって心に重度の傷を負ってしまう。

 戦闘シーンも迫力あって、低予算とは思えない本当に怖い映画でした。

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超低予算ですが観る価値あり

投稿日:2016/05/23 レビュアー:CLIMBER

観初めてすぐ感じたこと。
デジタル撮影の画像に対する違和感。
すべてがパキッと映り過ぎ、情緒が入り込む隙間がない。
劇場用映画の絵とは思えない。

あぁ、やっぱり超低予算の自主製作映画だから、しかたないのかな...........

そう思いながら観ていくうちに、逆に、この画質で良かったのでは、と思い始める。
突然戦場に放り込まれた自分が、ホームビデオカメラで撮ってる絵を見せられてるような気分。臨場感がはんぱない。

画質以外にも予算がなかったんだろうなと思わせる点は多々ある。しかし、呆れて失笑してしまうような場面などひとつもない。敵がまったく見えない戦闘シーンも迫力満点だ。どんなに金がなかろうと、工夫と熱意で凄い映画が作れるってことだ。
(逆に、お金がなくてもできることがなされてないんじゃないかと思った点もある。日本兵全員、もっと痩せこけてていんじゃないか? 人肉を喰らうくらいの飢餓に苦しめられているんだから......... )

いままで自分が観てきたどの戦争映画とも違う、戦争映画だった。戦場の理不尽さ、残酷さ、滑稽さが何の飾りもなく描かれている。極限まで追い込まれた人間が何を感じ、どんな行動に
出るのか、皮膚感覚で教えてくれるお話だった。
けっして気持ちの良い作品ではない。
けれど、一度は観るべき価値のある映画だと思う。

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火と自由

投稿日:2016/05/20 レビュアー:裸足のラヴァース

最初に画面が出て 予算とロケのせいか 塚本にしては絵が弱いと
感ずる 緑のジャングルが視界に入って「プレデター」を超えるかと
期待が高まる 2分半でユーモアなき「グリーンインフェルノ」へと
戦争映画の記憶として「シンレッドライン」てな印象を呼ぶか

昔ながらの塚本のシンプルな構成 彼のセンスと迫力ある画面が続く
しかしどうもすっきり殺菌された画面なのだ また塚本他 みな健康
そうで逞しいw 塚本が塚本の顔をしてないのは良いが 顔の映画で
良いのか?まあ真っ黒だけど リリーフランキーはいつもの彼の演技
でOKだろうか? 物語のテーマを外して見ないといけないかもしれぬ

1時間で漸く 人喰いの主題が出て来る しかしどうもピンと来ないな
観客もそう感じないだろうか 石川忠と言う人の音楽が良い

「野火」は奇妙に読了感のしない不気味な小品で ほんらいは重厚
長大な「レイテ戦記」などと併せて読まれるべきものなのだろう
ところで そこに展開される人間の極限状態における 獣性の露呈
などは 現代人の問題意識を如何様に惹起するものなのだろうか

リヴィングで缶ビール片手にポテトチップやら海鮮のつまみでDVD
を楽しむ君は 苦悩の教養として享受するのか 「野火」の人喰いは
食物がない場所で起こる因果だが 我等は逆に有り余る食物を放射能
汚染等によって 人工的政治的に食物を枯渇させている訳で 逆で
あっても 同じ事態を反復しているのだ それもケセラセラで
戦争状況下での食の問題はいささかも過去の出来事では無いのだ
現代ではこの問題は 外部のドラスティックなグローバル化が産む
弱肉強食の世界の方に連動しているはずだ

黒沢清や塚本晋也は 元々都市の物語 そこに生態する非人間や機械種
ハイブリッドを主人公にしていたのが 3・11以降は大きく変わって
より人間臭い人間の物語指向に 仕切り直さざるを得なくなったのだが
塚本のこの最新作は これに関しどこか提出の仕方を間違えていると
感ずるわけだけど どうでしょうか




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「野火」【1】 大岡昇平の原作について(前)

投稿日:2017/05/27 レビュアー:ちゅく

塚本晋也監督の「野火」(2015)を見て、衝撃を受けた。

けれども、その映画だけの感想を書くのは、不可能だ。

大岡昇平(1909〜1988)の原作(1951)があり、市川崑監督(1915〜2008)の映画(1959、大映、白黒、105分)があり、
塚本監督もそれを読み、観て、映画を作ったのだから、自分も同様にしなければ、評価できない。

大岡昇平の原作は、特異な作品だ。戦記ではない。
戦争文学でさえ、ないのかもしれない。
こんな作品は、世界中に「野火」一作しか書かれなかった。

大岡昇平は、1944年3月、35歳の年、召集され、同年6月フィリピンのミンドロ島へ守備要員として配置される。
同年12月、米軍が上陸。部隊は、攻撃を逃れ、山中へ籠る。
補給路を断たれた日本軍は、飢餓に苦しむことになる。
そして、散り散りになり、ジャングルを彷徨する。すでに、軍としての組織は崩壊している。
翌1945年1月に、米軍の捕虜となり、フィリピンのレイテ島(ミンドロ島より南東)の俘虜収容所に入る。
同年8月15日に終戦の詔勅があり、敗戦。同年12月、帰国。

1948年、まず「俘虜記」を発表。
俘虜生活の中で、そこに収容される同胞の軍属の人間模様、変容を描く。管理する米軍の将校たちの性格分析までも行っている。
俘虜側で、思想洗脳(オルグ)に踊らされた連中の豹変ぶりは、戦前も戦後も変わらない軽薄さだが、大岡昇平は、冷静な視線で、
生きるためにやむを得ないことだった、と見ている。
オルグを指揮した男が、戦後、地方議員選挙で落選したことまで追いかけている。
煙草などの嗜好品と時計の交換による経済格差。
敗戦前に俘虜になったグループと、終戦後に俘虜になったグループとの軋轢。
戦前と戦後で、何も変わらないではないか、ということを先見している。
レイテの俘虜収容所は、戦後の日本社会の縮図なのだ。

「野火」の、もっとも恐ろしい場面。

そもそも、なぜ日本軍が、南方の島々で、敵と戦う前に、飢餓に追い込まれなければならなかったのか。
この問いを、大岡昇平は、「レイテ戦記」(1967〜1968)で検証する。
大本営参謀本部の無策。
戦争は補給であるという古典的な常識を無視して、「いけいけ」で戦場が拡大する。
死んでいったのは、将校以下、現場の兵隊で、参謀は戦後も、のうのうとして生きて、また戦争を画策しようとする。
関東軍(満州)の服部卓四郎、辻政信。この二人はノモンハン事変で、ソ連の戦車に、手榴弾で戦わせる。

大岡昇平は、1967年3月に、フィリピン戦跡訪問団に同行し、ミンドロ島へ行く。
翌1969年、「ミンドロ島ふたたび」を発表。

「野火」の本質的なテーマは、「生きるか死ぬか」ではなく、「生きるためにどこまで人間の領域を越えるかどうか」である。
この問いは、悲劇のなかに生きる人間の問いかけだ。
「ハムレット」が迷ったように、自分が生き残るために、人間としての信義・信条を捨てるか、死んでそれを守るかということであろう。

「捨てていい」というのが、新約聖書の世界観である。
「信義・信条」は、イエスが死んで守ったのだから、あなたがたは、原罪を背負って、生きるがいい、ということと僕は解釈する。

「野火」の主人公にとって、二段の試練がある。

第一段階は、自分が生きるために人を殺す、ということである。
戦争という状況において、戦闘員どうしの場合、それは罪の意識を背負うことはないだろう。
「野火」の主人公は、非戦闘員である島の女を射殺する。
飢餓のためではなく、「マッチ(燐寸)を貸してくれ」という彼の言葉が理解されなかった。
日本の兵隊は恐いと思っていたであろう、女は、悲鳴を上げ、パニック状態になったとき、主人公は銃の引き金を引いてしまう。
この罪を、彼は、まず背負う。

第二段階は、飢餓を脱するために、人間が人間を狩り、殺し、その肉を食うということである。
主人公は、朦朧として「猿の肉」を食べさせられ、目覚めたあと、「猿」は、人間の肉であることを知る。
彼は、それによって生き延びた。
それが、死んだ、敵兵の肉であっても、味方の肉であっても、死んだ人の肉であることは、許されると思う。
罰を受け、獣(けもの)に落ちるのは、「狩り」の行為だろう。生きた人間を殺して、その肉を食らう。

おそらく、狩る、という最後の段階が、この原作の電極がもっともショートする場面であろう。

彼は、そこで、白い光を見て、卒倒する。「狩られた」肉は食べたが、「狩り」に加わる直前に卒倒したのだ。

原作の主人公は、帰国後、この小説を、精神病院で書いている。

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「野火」その5 原作と市川崑作品について 水 骨 について

投稿日:2017/05/27 レビュアー:ちゅく

大岡昇平(1909〜1988)の「野火」は、映画にならないと言われていたので、市川崑(1915〜2008)は、意地でも映画化したのだろう。
監督は、召集令状を二度受けたが、一度目は持病の脊椎カリエス、二度目は腹膜炎症で、兵役免除となっている。


冒頭の場面で、市川監督は、二人の人物の会話をアップで撮っている。
日本軍は崩壊し、飢餓に陥る。
部隊から離脱し、山岳地帯を彷徨した上等兵(船越英二)と、彼がたどり着いた別の部隊の将校との会話。

お前は部隊に帰れ。
私には帰る部隊がありません。
お前を飼う余地はない。
芋はあります。

アップであることは、塚本版に継がれている。

市川版では、最後の人肉食や人狩り、戦後の主人公の精神乱調の場面を韜晦、削除している。
(大岡昇平は、「野火」を書いたとき、限りなく冷静であったが、冷静であるがゆえに、主人公を精神病患者に仕立てざるをえなかった。)

「塩」と「タロ芋」が生命線であることは、原作が明らかにしている。市川版、塚本版、しっかり撮っている。

市川版では、俯瞰撮影があり広角レンズあり、解放感がある。
塚本版では、人間の視野にもっとも近い50ミリレンズで、全編、撮ったのだろう。撃たれるときの切迫感、ひと一人からの視点がある。

塚本版で研究されているのは、市川版で最初に試されていた、顔と顔をアップの対話を、最後まで押し通したこと。
これが、まず、瞬時に交代する緊迫した会話の場面や、最後の獣になった男の描写で生きている。

山の道で、日本の兵隊が死んでいるのを見る。撃たれたのではなく、餓死しているので、皆、横になっている。
母体に帰るかたちで、勾玉(まがたま)のようになっている。

死人の一人が、「死んでいません。水をください。」と突然、起き上がる。

かれの骨は、そこに埋まっている。
ジャングルの樹の根にからまれ、養分を贈り、樹木になかをゆっくり循環している。
しかし 帰りたいと思っているにちがいない。
故国ではなく、故郷に連れて帰りたい。
子供のとき遊んだ川で骨をきれいに洗い、飛行機として里山を飛び回る。
そして、あなたの母親、僕の祖母の枕の下に、そっと帰す。

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