ステイ・コネクテッド〜つながりたい僕らの世界

ティモシー・シャラメ祭り　第3弾

なるほど、ジェイソン・ライトマン監督でしたか。
この人の「ヤングアダルト」（2011）のレビューで自分は
「人生観とか価値観にドンピシャで共感はできないけど、何かものすごく
“今”を感じさせてくれる作家という印象がある」と書きました。
おぉ〜10年経っても同じ印象だわ〜ってヘンな感動。

ネットやスマホの影響でますます複雑になっていく現代人の人間関係。
いっとき話題になったアシュレイ・マディソン（不倫推奨の出会い系サイト？）、
若い女の子の拒食症（ルッキズム問題）、過干渉の毒親、
ネットに溢れる性的コンテンツの影響・・・などなど描かれている内容は盛沢山であります。

正直、中盤までは「ありがちな群像劇だなー」とボンヤリ観てて、
序盤でチラッと遠目に見えただけのシャラメ君を早いとこドーンと出してくれよーと
待ちくたびれていたのですが。

終盤に向っていくつかのクライシスが起こり、けっこうハラハラドキドキな展開に。
もっと表層的なドラマかと思ってたら意外にエモーショナルで、泣かされてしまったー。

母親に生活の全てを監視されてる女の子を演じてたケイトリン・デヴァーが良いですね。
この子のこと、私は「ブックスマート　卒業前夜のパーティデビュー」（2019）で初めて認識しましたが、
よく見るとなかなか美人なのに、ふてくされた表情で陰キャの雰囲気出すの上手い。
暗〜い影のある眼差しが物事の深い「芯」の部分を見つめているよう。好きだわ〜、こういう子。
彼氏の部屋（１階です）の窓の外に現れて、ちょっと言葉を交わしたあと「オマケ」って言って
窓の桟に手をかけてピョンってジャンプしてチュッてするシーンが素晴らしく可愛い。
話題作「ディア・エヴァン・ハンセン」（2021）にも出てますね。

そして、そして。
シャラメ君は後半にドーンと出てきたけど、ドーンの一瞬で終わりだった・・・。Oh,Noooooo！
イヤな奴の役で、殴られてまた血まみれだわさ。でも、血まみれでも美しいのはお約束。
どうやら、本作が映画デビュー作みたいですね。髪型もアイビーカット風？
アメリカの高校生その１って風貌でティミーの個性は出てなかった。
やっぱり、彼はユルふわクルクルなヘアスタイルが似合います。
業界の皆さん、そこんとこヨロシクお願いします。

凄く身につまされる話。
[マイレージ、マイライフ][JUNO/ジュノ]
[囚われて愛]のジェイソン・ライトマン監督の最新作。

Facebookで駆け落ちした母親の婚約を知った息子のティム。
過保護な母親に、携帯にGPSをつけられ、mailをすべて
チェックされてるブレンディ。
互いに興味を失い、出会い系サイトで浮気をする倦怠期の夫婦。
みんなテキサス州のフットボール強豪高校の生徒と、その父兄たち。

親子の対立も、夫婦の浮気も、アイドル目指して加熱する母娘も、
決して目新しいことでは無いけれど、ネットを介することで、
どこかギクシャクして、制御不能になってゆく。

ともかく、どこにも起こりうる事柄ばかりで、共感しました。
それにしても、娘のすべてのネット情報を管理、横取りしていた
母親には超ムカつきました。

う〜む。
ジェイソン・ライトマンが監督してる上に、
今話題の「セッション」のJ・K.シモンズが出てたり（この映画では普通のお父さんだけど）、
「きっと、星のせいじゃない」のオーガスタス役だったアンセル・エルゴートが出てたり（この映画では暗い高校生だけど）、
アダム・サンドラー、ジェニファー・ガーナーなどキャストも豪華なのに、未公開なんですね（泣）。

まあ、「ネット社会の闇」という題材は最近はやりで、それほど新鮮味がないし、
何といっても「ディス/コネクテッド」がおもしろかったので、あれに比べると平凡な感じで、
未公開も仕方ないかな。でもそれなりにおもしろかったです。

冒頭から惑星探査機の話がでてきて、一見ストーリーにはあまり関係ないように思えましたが、
宇宙から見れば、人間のやってることなんて本当にくだらないことなんですよね。
ばかげてるよね、掌におさまる小さな機械に支配されてるなんて。

娘のPCや携帯を詳細にチェックして、少しでも気にいらないものは片っ端から消去する酷すぎる母親。
ラストで涙を流していたけど、こういう人は絶対変わらないと思うな。
すべてを把握していないと気がすまないのよね。

アメリカの田舎の小さな町の高校が舞台なんだけど、
エマ・トンプソンのくそ真面目な響きのイギリス英語のナレーションが、妙に突き放した感じで印象的でした。

みんなが何となく、あ。分かる・・って思うんじゃないかな。
って感じの内容。
夫婦の微妙なズレ。
子どもたちの想い。
ストーリーの進み方？進め方？が私はあまり好きではなかった分、
☆は少ないけれど、夫婦間や親子、友達、それぞれ会話がとても大切で
少し考えさせられた作品でした。