チチを撮りに

子供の頃に別れたきりの父親が重体との知らせが届き、見舞いに行くことになった２０歳と１７歳の姉妹。
道中で父は帰らぬ人となり、図らずも葬式に立ち会うはめになる。
そこでふたりは腹違いの弟がいることを知るのだが・・・。

監督さんも姉妹役のふたりの女優さんも全く知りませんでしたが、
（母親役の渡辺真起子は「愛のむきだし」やNHKの朝ドラ「カーネーション」で知ってます。）
なかなかの佳作だと思いました。今後はこの監督さんには注目ですね。

母は自分たちを一生懸命育ててくれた。恥じることはなにもない。
長年音信普通だった父親の親族との接し方に、彼女たちのそんな誇りが感じられました。
最後に明らかになる、「金融機関に勤めるエリート」という言葉とはかけ離れた母親に仕事。
「父」をカタカナにした遊びや、ラストのマグロも好ましく思えました。
そして、腹違いの弟に姉妹が最後にかけた言葉にはウルッとしてしまいました。

『湯を沸かすほどの熱い愛』が凄く心に響いて
めちゃくちゃ大好きな映画なので
中野量太監督の長編映画デビュー作を見てみました。

幼い頃に別れた父親の記憶はほとんどない姉妹が
母親の頼みで、末期がんで余命いくばくもないという父親のお見舞いに行く1日の話です。
兄思いの優しい叔父や、
財産目当てではないかと疑う伯母、
そして腹違いの弟も登場して
姉妹にとっては思ってもみなかった人生の1ページを過ごすことになります。
長編映画としては74分と短めながら
その1日の出来事が非常にドラマチックに描かれていて
自然な演技の姉妹二人が良かったです。
母と二人の娘、力を合わせて胸張って生きてきた3人。
その深い絆に、胸にこみ上げてくるものがあって
思わず涙ぐんでしまいました。
良かったです。
やはりこの監督さんの作品には、愛が溢れていますね。

これは素晴らしい秀作。
家族を捨てて遠くで暮らす父親とはもう14年間会っていない。
そんな父親があと数日の命と知らせを受け、母は２人の娘に生きているうちに父親に合わせようとする。
姉妹２人だけで父の故郷にやってきたのだが、そこで待っていたのは弟と名乗る少年であった。
２人は数時間の滞在で様々な体験をする。そして心の葛藤が・・・
父に対する娘の憎愛、母に対する娘からの信頼、夫に対する妻の憎愛が見事に描かれていた。
重苦しいストーリー展開でありながら軽快なタッチがとても良い。最後のマグロは映画のお遊び。こういう作品は大好きです。

別れた父親の葬式に立ち会うことになってしまった姉妹の珍道中と、その中から浮かび上がって来るかつて家族だった頃の記憶、当たり前のようにいつもそばにいることで気がつかなかった母親の偉大さ。ハートフルコメディとも言えるこの共感を呼びやすい分だけ困難なジャンルの中で、長編第一作という気負いもなく根気強く作られた好感溢れる作品。
特典映像として収録された短編『琥珀色のキラキラ』も、身内の死と向き合うことで生きることを強く想う内容で、どちらも役者を信頼している監督の眼差しが感じられ、体温が伝わる二本立てになっていて素晴らしかったです。

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と、いう理由で、借りてみた。

きっとどこにでもある話なんだろうな、現代では。
でも、そんな当然のことって意外と描く人が少ない。
だから、なんだか心にしみてくる。

お母さん、もっと出てくると思ったのですが、ほとんど出てきませんね。（笑）
鑑賞後気がついたのですが、これは親子の物語でもあり、姉妹の成長の物語でもあるのでこれでいいのだと思います。

それにしても、物心ついてから初めて合う父親の姿がお棺の中になるとは・・・複雑な心境です。(汗)
それでも、物語が重くならないのはそれぞれが前向きに生きようとしているからなんでしょうね。
美しすぎない姉妹がこれまた好感を持てますわ。（笑）

吸っている煙草の銘柄が同じだったり、マグロが好きなところが一緒だったり、小さなところで親子を感じさせるのはちょっと憎いなって思いました。

ゆっくりと流れる時間と生きること死ぬこと、前向きに考えさせられる優秀な作品だと思います。