ハッピー・ゴー・ラッキー

かなり前から観たいと思っていたマイク・リー監督の作品ですが、去年の「３大映画祭」でやっと観ることができました。

３０歳の小学校教師ポピー（サリー・ホーキンス）。
その奇抜な服装と底抜けの明るさ（あるいは回りの空気を読めないともいえる）は、とても教師とには見えない。
友人には恵まれているが、見ず知らずの人にもいつもの調子で話しかけたりするので、ときにドン引きされたり。

この主人公が好きかどうかで、この映画はかなり評価がかわってきそう。
このあとに観た同じ監督の「家族の庭」にも、空気の読めないはた迷惑な女性が出てきて、そっちの方はご免こうむりたい感じだったのだけど、私はこの映画の主人公がわりと好きです。

思うにこの主人公、何らかの軽い発達障害があるのではないでしょうか？
そう思ったのは彼女のお気に入りのブーツへの拘り。
サリーは運転の教習を受けていて、何度も何度も「そのブーツははいてくるな！」と言われるのだけど、そのたびにはぐらかして、結局ブーツで運転をする。フラメンコ教室にもそのブーツを履いていって、ブーツでステップを踏んでいる。
「ウルトラ　I　Love You」でサンドラ・ブロックが演じたアスペルガー症候群の女性もブーツに拘っていたのを思い出しました。

結局のところ、「普通」か「普通」でないかに境界線なんかないんです。
そして世の中にはハッピーではいられない、辛くて悲しいことがたくさんある。ポピーも教え子の暴力という問題に直面します。
それならば、いつもニコニコ笑って、明るく前向きでいたほうがいいに決まっています。

Stay Happy!!
笑顔がきっと幸せを運んできてくれるに違いありません。

フラメンコ教室の先生がすごくいいです。私もあんな先生に習ってみたいわ。

ハッピーゴーラッキーとは[成り行きまかせ]という意味だとか？
いつもエヘラ、エヘラ、笑っている。笑いで誤魔化すのは自信のない証拠。
小学校教師で女性と10年間同居していて、女友達とお酒を飲むのが好き。
ホームレスに何を施したかったのか、中途半端にコンタクトする。
妊婦の友達を訪ねて、怒らせる。
そんな日常が描かれる。
特筆すべきは、運転免許取得のため、出張の教官に対する態度。
変人の教官なのだけど、彼が[ヒールのブーツだけはやめなさい。危険だから]
と何回も何回も注意する。
主人公のポリーは全く従わない！聞こえて無いのか？無視してると云うより
頭の意識に引っ掛からないみたい。
この態度で彼女は普通じゃ無い。
基本的に他人の嫌がることはしない・・・と云うのが社会人の常識。

ベルリン国際映画祭の金熊賞と銀熊賞(女優賞)を獲った映画だとか・・・
全く良さがわからないけど、こういう女の子(話の通じない、頑固で
自分を頑なに変えない)多いかもしれない。
ますます嫌な感じ！

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　冒頭の自転車に乗ったヒロインの姿がとっても素敵で、ああ、これはイイ作品だなと直観的に思った。トリュフォーの「あこがれ」（58）を引き合いに出したりしたら持ち上げ過ぎか。ともあれ、心躍るイントロ。ところが、物語が始まると少しずつ違和感と言うかなんともむず痒いような気持ちにさせられてきた。確かにこのヒロイン、普通のドラマの主人公とは違うのだ。パープルローズさんが「ウルトラI　LOVE　YOU」（09）のサンドラ・ブロックを参照されていたのも頷ける。まぁその辺り、作り手の意識がどうあったのかは不明だが、ちょっと変わり者であることは間違いない。演じたサリー・ホーキンスがまた、なんともナチュラルに演じているので、観ているこちらはどう捉えて良いのか迷う。イタイ女なのか、ピュアなのか、何か秘密があるのか、天然なのか・・・？

　しょうがないので（？）しばらく態度を保留して観続けていたが、だんだん、この人は意志的にこういうキャラを演じているのかなぁという風に思えてきた。周囲がハッピーでいられるように道化を演じるというか。周りの迷惑も顧みずにやりたい放題やってるように見えるけど、それは「貴方も好きなようにやってね」というサインだったりして。個人的に思うことには、他人に対して物凄く気を遣う人って、その分自分自身に対しての気遣いも当然の権利として要求する人だと思う。「それが常識でしょ？」っていうのが錦の御旗で。だけど、この映画のヒロインみたいな人は自分が常識外れで自由にしている分、他人にも常識を押し付けたりしない。自転車を盗まれても盗んだ人間に対して怒るでもなく、淡々と「じゃあ車の運転でも習うか」って次のステップに進んでいく。この飄々としたスタイルは悪くないと思う。

　でもって、この不思議ちゃんが世界中を幸せにするかと言ったら全然そうではなくて、ホームレスの男の孤独に寄り添おうとしても通じ合うことはないし、運転教習の講師に至っては、彼女の無意識の行動が男の心をかき乱して傷つけていた、という結果に終わる。結局、人間なんて分かりあえないし、ベストな生き方なんて無い、人生に正解なんて無いよねって感じなんだけど、それでも人は自らの生を生きていかなきゃいけない。冒頭、自転車で風を切って走っていたヒロインが、ラストはボートに乗って水の上を流れて行く。「誰に対してもイイ人でいることは出来ない」と悟った彼女は、自ら何かを為そうとは思わず、もう流れに身を任せて生きていこうって決めたのか。この辺りのちょっと冷めた目線が、ひねたオバちゃんには心地よかった。

うーん。。。だめだ〜。
イロイロと不満を書き殴りたい気持ちをぐっと抑えて、とりあえず「正直ちょっとコワイよ！」とだけ言っておこう。
もし現実に彼女が居てたら、絶対に友達にはなりたくないです。

とまぁこんな感じで終わらせるものアレなので追記します。

この映画を観て非常に考えさせられたのは、彼女やあの運転手や浮浪者やフラメンコの先生などのような人々は確実に居てる。
そしてそれは悪意ではなく、個性であり、性格であり、変えることは出来ない。

その人々を、全て受け入れて社会を形成しなくてはならないということ。

個人的にはフラメンコの先生や運転手はＯＫやし浮浪者もＯＫやけど、主人公は非常にしんどい。
友達には絶対になりたくない。

が、それじゃぁイケナイ・・・
っとわかってるけど・・・

なーんて、非常に考えさせられたんだ（継続中）ということを、書いておきます。

個人的満足度　５５点！　オススメ度　６０点！

　ハッピー・ゴー・ラッキーって「笑う門には福来たる」なのかと思ったら、「成り行き任せ」みたいな意味のイディオムなんですね。
　イントロダクションにあるように、「徹底してポジティブ・シンキングのヒロインが懸命に生きるコメディ」とくくられると、そうかなと思ってしまうのですが、半年以上たった今思いだしてみると、本当にそういうハッピーな映画だった？　と疑問が出てきました。
　やりがいのある仕事はきちんとやるし、友だちとの遊びも、新しい恋人も見つけるハッピーなアラフォー独身女性の気ままな日常スケッチ。分かりやすく受け取れそうですが、でも本当にそういう映画？　
　けっこう彼女は摩擦を起こしている気配です。極端なのは、何度も登場する「エンラーハ」な自動車教習の男。彼の壊れ方をどう捉えるか、によって印象はずいぶん変わると思います。
　ただのドタバタ、お笑い担当ではないでしょうね。彼女が彼を壊してしまったと考えると、ざらりとイヤな感じが漂ってきます。ブーツの一件とかおフザケとか、ちょっと考えてあげてもいいのに。それも仕方がない、自分は生きたいようにしか生きられないのだから……というふっきりが主人公には見えたように感じましたが、そんな苦味が映画にはあります。神経質で不器用な自動車教習の男の人生を考えると（そんな人いない？）、ちっともハッピーじゃないですね笑。
　とはいえ、主人公のような生き方したいという人も多いのかなと思ったり。だとすれば、なんか違和感があるし、生きにくい世の中だなあ。
　映画としては、よくまとまっていますし退屈もしませんが、取り立てて感動する瞬間もなく。箱庭的な世界で、はみ出す瞬間もありません。これでちょっと言外に生き方云々をにおわせる説教臭い感じがなければ（だから僕も考えてしまった）、もっと楽しめたのでしょうか……。55点。