マーヴェリック

この映画、定期的に見たくなるので（年に一度くらいですが）、レンタルショップを逍遥する折には棚に置かれているのを確認して安心するのです。
何が良いかって、色々理由は思い当たりますが、とにかく楽しいの一言。テーマもメッセージも皆無で、ひたすら観客を楽しませることに徹していて、何度観ても爽やかな満足感に浸れます。ケースに収うとき「またね！」と声を掛けたくなる。
埃っぽい砂漠と断層の露出した岩山と照りつける太陽。枯れた立木にロープが一本。首を括られてリンチ寸前のメル・ギブソン。これぞ西部劇！というワクワク感に即座に引き込まれます。
ゆったり流れる河に浮かぶ豪華な蒸気船。着飾った男女、葉巻の煙とウィスキーのグラス、ポーカーテーブル。長い脚を組んだジェームズ・コバーン提督と貫禄タップリのジェームズ・ガーナー保安官。そして輝くばかりに美しいジョディ・フォスター。
寡黙な早撃ちガンマンとのガンプレー、駅馬車の暴走、酒場での殴り合い、そしてポーカーゲームのクライマックスはロイヤル・ストレート・フラッシュ・・・。とにかく西部劇の定番は全て盛り込んで、そのどれもが見事にパロディで笑える。
しかし、最近この映画が妙に懐かしいのは、「ブレイブワン」や「フライト・プラン」や「パニック・ルーム」のジョディを観て、「上手いなぁ！」「さすが！」と思う反面、「トシとったなぁ」という、オールドファンとしての切ない感慨も込み上げてしまうからでしょう。この「マーヴェリック」から「羊たちの沈黙」あたりまでのジョディは「可愛らしさ、美しさの中にキラっと光る知性と気の強さ」がとても魅力的でした。誰でもトシをとるのでしょうがないことかもしれませんが、「知性と気の強さ」だけが残る（増幅される）トシのとり方は如何なものかと、少し残念な気がしてしまうのは、自分もトシをとったからでしょうね。

監督：リチャード・ドナー（１９９４年・米・１２７分）
原題：Maverick

２００９年に書いたレビューのタイトルは『お洒落で楽しい西部劇』でした。今回のは本作ラストでマーヴェリック（メル・ギブソン）が言ったセリフです。劇中のドタバタから、彼自身が学んだ教訓のようなものですね。

ギャンブラーのマーヴェリックは、賞金５０万ドルの船上ポーカー大会に参加するため、資金２万５千ドルを調達するのに躍起です。どうしてもあと３千ドルが足りません。その資金を調達するためのいくつもの騒動がドタバタで遊び心満載です。
ある酒場で、ポーカーをやっていたガンマンや女詐欺師のアナベル（ジョディ・フォスター）らとプレーすることになります。エンジェル（アルフレッド・モリーナ）は、彼をポーカーの仲間に入れるのを反対しますが、「最初の一時間は負け続けるから」と約束して、実際にマーヴェリックは負け続けます。その間、彼らのプレーの癖を観察しています。
そして一時間経過後は、マーヴェリックが勝ち続けますが、そうして手に入れたお金をアナベルに色仕掛けで奪われそうになるのです。
大会の会場に向かう乗り合い馬車がアナベルと一緒で、おまけにクーパー保安官（ジェームズ・ガーナー）も同じ馬車で旅の道連れとなりますが、途中で馬車の御者が亡くなり、またしてもオカシナ展開となります。
珍事や騒動の連続で内容が盛沢山。おまけに「どんでん返し」に次ぐ「どんでん返し」の連続で、クーパー保安官の正体がわかるラストがサプライズとなっています。なので、結末を書くことが出来ません。
まあ、言えるとしたら、アナベルが一番おいしいところを持って行ったと仄めかしておきましょうか。

本作は、元々はジェームズ・ガーナーが主役のマーヴェリックを演じたTVドラマの映画化だったのですね。全５シーズン・１２４話の長寿番組だったようです。可能なら観てみたいです。それから、本作にはジェームズ・コバーンが白髪のデュヴァル提督役で出ていました。始めは気が付きませんでした。
前回は“お洒落な西部劇”という感想でしたが、今回は“人をおちょくった様な”という感想を付け加えたいと思います。マーヴェリックに思い切り振り回されて楽しんで下さい。（笑）

雰囲気はほんわかなコンゲームで、系列でいうとスティング系ですかね。すっきりおもろい。

ウェスタン映画に、ほのぼの系のお笑いをミックスした大作映画。キャスティングも魅力的。お約束な展開も多いが、終盤にどんでん返しがたくさん用意されていて、なかなか楽しめました。

1994年アメリカ映画　　テレビシリーズの「マーヴェリック」を映画化。

舞台は古き良き1880年代のアメリカ西部。
“お金は大好き、でも揉め事や暴力は嫌い”という主人公のブレッド・マーヴェリック。
このブレッドが目指すのは船上で行われるポーカー大会。
その大会に出場するための資金稼ぎをするブレッドは巧みな話術を武器に様々な困難を乗り越えてポーカー大会に参加する事に・・・。

とても面白かったし、よく出来ているなぁ、と感心しました。
話の山場はやはりポーカー大会なのでしょうが、そこへ行くまでの様々な過程もクスクス笑えちゃうし、ひとつひとつのシーンがきちんと最後には「なるほどね〜！」とまるでジグソーパズルが完成した後の様なスッキリ感を覚えます。
アナベル役のジョディ・フォスターがとても眩いほど綺麗でした。
はじめに登場する時の紺色のドレスが印象的で、気が強いところも憎めなくてむしろ微笑ましい。

テレビシリーズの「マーヴェリック」はジェームズ・ガーナーが主役を1957年から1962年まで第1シーズンから第5シーズンの全124話を演じ、それまでの西部劇の型を覆し、彼の出世作にもなったそうです。日本では約一年間の放送だったようですが、きっと軽妙で口達者なマーヴェリックはお茶の間を虜にしたでしょう。
実は私、今回J.ガーナーが目当てでした。なんかコミカルでユーモアなセンスがあり、温かみを感じる人なのです。S.マックイーンとも交流があったそうで、それだけでも親近感を覚えてしまいます。
メル・ギブソンの作品はあまり観たことがなく、もしかしたらこれがはじめてかもしれません。
比較しては申し訳ないと思いながらも、やっぱり“ガーナーのマーヴェリック”を観てみたかったなぁ！と思ってしまいます。想像するだけで絶対に面白かったに違いない。

忘れてはならないのは、本作では、嬉しい事にジェームス・コバーンまで出ているではありませんか。
昔は細くてカッコよかったですよね。本作ではすっかり白髪の貫禄ある提督役。でも、まさかまさかの展開でびっくりでした。
若き日のガーナーやコバーンを知っている人にはたまらなく懐かしい喜びに出会えます。