聖者の眠る街

1993年の作品ですが、何故か"新作”扱いなのですね。
最近ＤＶＤ化されたのでしょうか？

マッド・ディロン、まだ20代でしょうね。　
どこか幼さを残すその表情は、不安げで寂しげで、それでいて心優しい青年マシューを見事に演じています。
彼はホームレスの黒人ジュリーと出会い、ホームレスの生活から抜け出すための希望を持つようになります。
心の病と闘いならが、時にはジュリーに励まされ、時にはジュリーを励まし、彼らはファミリーになって行きます。
車のウィンドウ拭きでチップをもらい、それをためて二人で移動八百屋を始める夢を持つのです。

マシューが、抜けるような青空を見上げて、努力すればやがてくるであろう平和な幸せな光景を瞼に思い浮かべるシーンが印象的。
青年の夢は老人に受け継がれるのでしょうか。

すさんだ世の中でも、人間には生ある限り生き続ける義務があるのです。
この町は冷たいけれど、マシューのささやかな夢が、普通の暮らしをするという当たり前の夢が、
希望を捨てない限り現実のものになるんだと、私は信じたいです・・・

心を病んでも、住いが取り壊しになりホームレスになっても、優しさや人間らしさを失わない青年、マシュー。
マット・ディロンが、とてもいい味を出してマシューを演じています。
そして、その青年を息子とかわいがる初老の黒人ジュリー。
決して安全ではないホームレス施設で、ジュリーがマシューを助けるところから二人の交流は始ります。
ホームレスから抜けだそうと、２人はチップ狙いの車の窓ふきで生計を立て、いつかお金をためてアパートを借り、車を借りて野菜や果物を売って暮すことを夢見ます。

不思議ななんとも言えない雰囲気がある映画です。
余韻が残り、なんかの拍子に、ふと思い出してしまうような物語です。

公開当時映画館で初めて観た時にマットの新しい演技のエリアをみた
気がしました。
20年近く経てもその輝きは褪せることがなかった！
「アウトサイダー」や「ドラッグストアカウボーイ」などでみせた
とんがった不良役が彼の代名詞であった頃とは180度変わった配役に最初は戸惑いさえ
おぼえたがストーリーが進むにつれてどこか痛々しく悲しいげな彼の瞳が印象的に見終わった後でも
脳裏に焼き付いている。

派手さは無いけど悲しいラストと明日への希望を抱かせるエンディングはきっと
観て損はない一作品だと思う

ひょんな事からホームレスとして生活する事になった青年と、彼に寄り添って面倒を見てくれる男性のお話。。。
これはとっても切なくて美しくてはかない・・・そんなお話でした。　
夢と現実のギャップに打ちのめそうになりながらも、お互いに差さえあって笑顔を忘れない2人は本当に見ていてほほえましく、本当に幸せになってほしい。夢を実現させて欲しいと応援したくなります。　ささやかな夢でしょう・・・でもそのささやかな夢さえもなかなかたどり着けない現実。。。　
誰もホームレスになりたくてなったわけじゃないんですよね・・・そこには人それぞれの事情がある。。それでもホームレスとして生活しなければいけなくなった時、ジェリーの存在はどれほど支えだったか。。でも、ジェリーにとってもマシューの存在がとてつもなく大きくて大切だったんですよね。。。
世の中、ホームレスであってもそうじゃなくても本当にどうしようもない人もいる。。　みんながジェリーのように優しくおおらかで、でも勇気と強さを持っていたら、世の中もうちょっと変わるんじゃないかな・・・なんても思います。
悲しい結末に涙はとまりませんでしたが、最後、ジェリーが夢と希望を失わずに歩みをやめない姿にもまた感動させられました。