モンテーニュ通りのカフェ

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パリに実在するカフェを舞台に、店に集まる人々の悩み多き人生を、そこで働くジェシカと彼らの温かな交流を通して描く群像劇。

パリに憧れて上京したジェシカに「どうして出て来たの？」と訪ねると、「話せば長くなるんだけどね〜」と必ず前置きして話始めるその時の表情がとてもキュートで、好奇心いっぱいなところがまた可愛らしい。
そんな彼女の店に、演奏会を控えた著名なピアニスト。
自分の生涯のコレクションを競売にかけて手放す覚悟を決めた美術収集家とその息子。
舞台の初日を迎えようとする女優。
そんな人たちが集まるカフェで、ちょっと愉快で、でもジーンと来る人生をちょっと覗かせてくれます。

ジェシカのおばあちゃんは、かつてスターを夢みたのだけれども、ホテルリッツカールトンの従業員になったおばあちゃん。
でもそれを決して悔やんではいない。その証拠に何度も何度もその話をしてくれる。
そして、もう一人。劇場の管理人のおばあさん。
彼女もかつては、歌手を夢みて裏方の仕事に就いた一人。
だけれども、皆が彼女を頼っている。しかし、引退の時期が迫り、去るものの哀歓を感じます。

人生を元にしたストーリーは、どこか詩的であり、成功も挫折も全てこのモンテーニュ通りのカフェの周りで繋がっていく。
そんなじんわりと、心が温まる映画でした。

あまりにもキュートで魅力的な女優
セシール・ド・フランスが
モンテーニュ通りにあるカフェのギャルソン！？に

抜群のスタイルに
お似合いのショートカット
その笑顔は文句なし
「スパニッシュ・アパートメント」
「ロシアン・ドールズ」でも
とにかく輝いていたけれど
幸せを運ぶこの作品の役柄が一際彼女にぴったり

そのカフェはパリ８区
スノッブなお店が立ち並ぶ界隈に
昔ながらの雰囲気で佇んでいる
お客といえば
近くの劇場やコンサートホールの関係者に出演者
近くで開かれているオークションの主催者など
芸術家に愛され
ご近所さんに愛され
カフェはそこにある

劇場では
昼メロドラマの女王と呼ばれる
お茶の間人気女優のカトリーヌが
やってられないわ！と言いつつも舞台稽古
後に彼女の天性のコメディエンヌぶりが
一大開花することに
とにかくその熱演　その解釈　その芸達者ぶりに脱帽
演じていたヴァレリー・ルメルシエは私の中では助演女優賞！

コンサートホールではピアニストのジャン・フランソワが
堅苦しいクラシックの世界にうんざり
自分にしかできない表現方法を模索するも
マネージャーである妻との行き違いが多発
夫婦としての溝までもが深まるばかり

オークション会場では老紳士グランベールが
所蔵するコレクション全てに別れを告げようとしている
妻との思い出　ブランクーシの「接吻」それさえも

グランベールの息子フレデリック
父との確執　それを決定的にするかのような挑発的挑戦
けれども彼の中の何かが　
父を求め父を理解したいと願っている

定年退職でホールの仕事から引退するクローディ
皆に愛される管理人
お気に入りのレコードを聴きながらステップを踏む姿は
とくにキュートで印象的
演じているのはトリュフォーの「アメリカの夜」に出ていた
女優　ダニ！
私にとってはサプライズであり素敵な再会に

両親を早くに亡くし祖母に育てられたジェシカ
祖母が憧れていたパリに
自らも何かを求めてやってきた
お金もない　家もない　仕事もない
そこで男性しか雇ってもらえないはずのカフェに何とか滑り込み
薄給ながらも働くことに

悲しみは尽きない
けれどそれはほんの少し　屋上で一人泣くだけ
涙は一人っきりの時に　しまってあるみたい
だからこそ
その笑顔が幸せを運ぶ

有名人から街の人まで
人生にはそれぞれのスタイルがある
それを生まれもって突き進む人もいれば
途中のどこかで発見する人もいる
わからないままずっとここまで来たという人もいるし
気づいていて修正できない人
気づかないふりをしている人
気づく必要なく　迷う必要もなかった人もいる

カフェを中心に広がるコミュニティ
その中に集うそれぞれの人生
コミカルであれ　シリアスであれ　
それら会話劇の中で
たった今の人生に真摯に向き合うシーンが詰まっている

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モンテーニュ通りっていうキーワードが最初かｒ存在する群像劇だから、群像劇にあ
りがちな序盤はわかりずらいってことがない。しかも隠された何かで一気に集約され
てくるのではなく、ジェシカが天真爛漫なノリで点をつなげてまわってる。このやり方
非常に観やすくわかりやすいと好印象。ジェシカ役があまりにも重要になるのだが、
なかなか見事に演じきっている。素の明るさとでもいうのだろうか、誰も彼女を否定
しないオーラがでまくっている。エンディングもどれもハッピーなわけだけど、嫌味が
なく気持ちよく終わった。観てる人を明るくさせてくれる作品。

しかし、悲しいかな私はモンテーニュ通りはおろか、フランスになど行ったこともない。
フランスを知ってる人ほど、楽しめるのではないだろうか。知らなくてもこれだけ楽し
めるのだから。ジェシカはスパニッシュアパートメントのセシル・ドゥ・フランス。スパ
ニッシュアパートメントのときよりもこっちの方が断然魅力的。

コンサート・ホールに演劇場、更にはオークション会場もある通りってなかなか凄い。

パリ、8区のモンテーニュ通り。
由緒あるカフェに、劇場、コンサートホール、オークション会場…、色々な人々が行き交う街。そんなパリの一画で交錯する、人生を模索する人々の物語。

女性の監督さんだからでしょうか、女性への眼差しがいいですね。
思い返してみると、どの女性もクセがありつつみんな素敵。
自分のキャリアに悩む人気女優のカトリーヌ、
自分の立ち位置に悩むピアニストを支える妻、
劇場で影からスターたちを支えてきたクローディ、
酸いも甘いも噛み分けた大人たちの魅力。
そして女は雇わない！と言われたカフェで運よく働きはじめ、屈託ない笑顔でみんなの中にスッと入っていくジェシカ。
あなたは私の太陽よ
おばあちゃんの言葉どおり、ジェシカは眩しいほどの笑顔。
この笑顔に触れるとみんな幸せになっていく。嘘みたいだけど、本当の話。
みんな自然と心を開き、新しい一歩を踏み出していく。
これはセシール・ド・フランス、天性の魅力ですねぇ。スッと立つ姿が堂々としていて、それでいてしつこくない。いいなぁ。猫背で「すみません」が口癖の私はジェシカが眩しくて眩しくて。

それからお目当てのカトリーヌ役のヴァレリー・ルメルシエ。
「輝ける女たち」のすてきな人はこの人だったのですね。何だか感動〜。
言いたい放題なのに、愛らしく、サバサバして格好良くもあり、きれいなのに何故か感じられる親近感。何だか不思議な人、、、セザール賞助演女優賞も納得ですね。もっと彼女の作品が観たい！です。
クローディの部屋で、疲れをマッサージしてもらいながらぐだぐだと力が抜ける感じ、ああいう友人関係っていいですねぇ。私は影で支える人がいいな。

派手さはないけれど観終わった後、心地いい余韻がずっと続きます。
色々な人生の奥深さを味わい、映画に出てくる石の彫像‘接吻’のように人がうんと恋しくなりますね。

　モンテーニュ通りのカフェを中心に、クラシック音楽と演劇と美術とが交錯し、ピアニストや女優や美術品収集家の人生が交差し合う、いかにもフランスらしいおしゃれな映画。

　日々の生活に追われる市井の人々にとって、芸術の価値とは何かを問うている。日常の生活のなかでこそ芸術は意味をもち輝き、芸術に携わる人々も庶民と同じように生活する、悩みもあれば迷いもあるごく普通のひとたちなのだと、とても軽やかに描いている。エスプリ溢れるちょっぴり哲学的な映画。なにより人生や愛なくしては芸術も哲学も無意味。

　コンサートで演奏される曲がベートーヴェンのピアノ協奏曲第５番というのも嬉しい。