口裂け女２

　タイトルに「2」と付いてはいますが、前作とは「口裂け女」繋がりなだけで、まったく関係ありません。監督も違えばアプローチもまったく違っていてますので単体でご覧になってもまったく問題ありません。

　ホラーと言うジャンルには括られているものの、物語の73.5％（あくまで感覚で）はホラー映画では無く、ある事件がきっかけで幸せな家庭が崩壊していく様を描いたドラマがメインになっています。特に前半30分は作品を間違ったのかと思うくらいほのぼのとした、片田舎の高校生の青春ドラマです。
　初っ端からホラーを期待するとイライラするかもしれません。ただしこの少し長いとも言える描写があるからこそ、観客は「口裂け女」という存在の物悲しさを噛み締めることになるのです。

　この映画には丁寧さと不親切さが共存しています。幸せな家庭から一転して不幸へのスパイラルに陥っていく家族の有様を描くため、人物の描写は細かく描かれています。そしてリアリティを演出するための様々な伏線も仕掛けられているのですが、なかなかさりげなくしかも効果的に散りばめられています。例えば一例をあげると父親の養鶏場で使われている殺鼠剤。この場面は後のある重大な出来事の伏線であると同時に映画の転換を告げるアイテムとして効果を出しています。ホラーながら演出に手を抜くことなくキチンとした仕上げを行っているのがとても好印象です。

　また「口裂け女」がテーマと言うことでウワサの拡がり方や都市伝説になっている「ポマード」「べっ甲飴」「裁縫バサミ」「脚が早い」などのアイテムを物語りに取り入れているのも良いのではないでしょうか。

　こうした丁寧さと裏腹に急展開を見せ始めるラストでは、急に説明が無くなり超自然的に話が展開してしまいます。「これだけ前半丁寧な描きこみをしていた監督が何故？」という気がしたのですが、もしかするとこれも狙いなのかもしれませんね。
　うがった見方をするとこの後半は「ウワサ」話という設定になっているのかもしれません。

　しかし不幸の中に芽生えたかすかな幸福が新たな悲劇を生むという構図がとても悲しいですね。

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前作は　現実の事件とシンクロしてしまって　なんとも陰惨なホラー映画となってしまったのですが　こちらも負けず劣らず悲惨物語です　この寺内康太郎って監督は　けっこう作品があってボーイズ・ラブ系のドラマとかを撮っている人ですね　今回初めてでしたが　才能がある人だと思います

前半３０分がさわやかな青春の物語で　主人公を含めての美人姉妹の家庭も平安です　これがある事件で一挙に暗転します　あ〜あ　イントロでばらしちゃったから興ざめ　イントロ読まないように　このあと三姉妹にこれでもかこれでもかと不幸が襲ってきます　そして地域共同体から　じょじょに爪弾きにされて　亀裂は三姉妹にも訪れるのですが　この展開がすごい　まじにうなりました　三姉妹への丁寧な演出と人物の美しい描写があるので　前半との落差が戦慄的です　ラストの１５分はさながらクライム・サスペンスで手に汗握ります　長女がレコードでワーグナーをかけるんですね　シャブロルの「いとこ同士」のぱくりなんですが　ぞくぞくします

前作ともども　家庭崩壊劇と都市伝説がたくみに　物語化されて　両作品とも甲乙つけがたい仕上がりです　ボクがホラー映画において　一番嫌いなテーゼ　人間が一番恐いを　ボクにも納得させ得る形で提出している「口裂け女２」は　美しくも暗い秀作です

前作とは物語の繋がりも無いし、共通する登場人物も出てこないので完全に独立した作品として観賞出来ます。
メインの登場人物にグラビアアイドルを配しているためPVを兼ねたB級ホラーかと当初スルーしていたんですが、実際はなかなか上手に演じていて驚きました^^;

物語は養鶏所の３姉妹の末っ子に降りかかる悲惨な出来事を本編の３分の２の時間を使いひたすら見せ続けます。
これでもか！って位、残酷で理不尽な災難に耐える少女。
余りに悲惨な仕打ちを受ける少女に段々感情移入しちゃってストレスたまりまくり。
徐々に精神が崩壊する様は、そうなっても仕方ないなぁと納得させてくれます。
ここまではホラー的なエピソードがなく「あれ？これ口裂け女やったよな？？」と違うジャンルのドラマを観ている感覚に陥るぐらい。

この我慢に我慢を重ねたあと強烈な展開が待ち受けます。
まるで嵐が吹き荒れるがごとく怒涛の復讐劇。
観る側のストレスも一気に解消してくれます。

前作と比べるとホラー的要素は少なく衝撃度も格段に落ち、前作ファンは肩透かしを食らうかもしれませんが、地味なドラマ展開から一転してスプラッターに転じる変貌っぷりはなかなか面白いです。

岐阜が口裂け女発祥地と言われる所以を貴方の目でお確かめ下さい。

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　やたら傑作というのはよくないかもしれませんが、この映画は傑作です。高校生活の甘酸っぱさと冷たさが描かれます。幸せな家族を不幸に突き落としたのは、未練たらたらの一人の男の凶行のはずなのに、その真実は表に出ないのです。なぜでしょう。まったく違う話が噂として流れ出るのはおかしいではないですか。警察の捜査を新聞などが真実として書かなかったから、かってな憶測が一人歩きするのでしょうが、奥さんが殺され、娘が顔に硫酸をあびせられ、相手を殺してしまうというものすごい事件の真相が語られないはずはないと思うのですが。
　新婚の娘が実家で寝ているはずがないだろう。ばかな男だと思いますが、不幸は家族を襲います。そして友達の絆も家族の絆も切れていくという恐ろしい内容の映画です。
　怖いのは、長女。きれいな顔をしていても、最初の原因を作ったのも長女だし、自分の幸せしか頭にないのも長女だったのです。きれいな顔の裏には、怖い心が隠されているのかもしれません。高校生の娘は一番かわいそう。そりゃ、復讐したくもなるというものです。前半があったかい感じのドラマなので、後半との落差が衝撃的です。ラストの数十分の出来事は、現実というより、やはり噂なのでしょう。不死身ではないでしょうから。後半息切れして、適当に終わらせたのではないと信じます。だって、ここ最近のドラマとしてはすごく怖くて面白い作品でしたから。傑作です。
　しかし、こんな美人三姉妹がいたら、親は心配で仕方がないでしょうねえ。

１００メートル５秒の速さで追っかけてくるて噂は本当ですか？