ストロベリーショートケイクス

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去年の邦画のナンバ１は「ゆれる」か「フラガール」あたりですかね　ベスト１０に文句の無い作品だと思います　がボクにとってはこの寡作な矢崎仁司監督の　久しぶり気合がはいりまくった大作をナンバ１として高く評価したいと思います　デスカスの全女性レヴュアーにお勧めします　力のある１２７分です

ここにはもう作家的刻印やら主題のようなものを探さんとする　どこかいやしい態度をやめさせてしまう　観る人を武装解除させてしまう　ごく自然に映画の乙女達への　生活と心情に同化してしまう　感情の流れや　その愛に打ち震える姿に　涙してしまうといった　真に映画のエモーションを感じ取れる作品です
監督は前作は一シーンにテークを６０も取る　懲りようで　今回はそういったアプローチよりも　俳優がいかに映画の中に自然な位置を確保しうるか　俳優を大事にして役の良さがにじみ出るようなありように配慮したとのことです　それはそれこそ何十回のテークを取らねば出せないような　名シーンが結果　枚挙に暇が無いほど出てくるのです

ドキュメントのようにスタイルをちょっと崩すような手持ちカメラのところもあったりするのですが　デジタルビデオの　しかし繊細な光を逃さない撮影と　粘り強い演出は　この映画全体の空気感を決定的なものにしているのです　この映画を観た女性たちはそれぞれ四人の女性達の誰に自分が　近いか思わず話し合ったりするようなのですが　ボクは秋代にそっと触れる男性の老人ですかね気持ちがよくわかります　それはレヴュアーのみなさんも　また試みてください　このシネマの女性登場人物達については話しません　それぞれ個性的な素晴らしい存在感を　女優達はしめしています

やたらと物たちが打ち捨てられている映画です　路上に無残にトマトはぶちまかれます　しかしそれを拾う塔子は創作のインスピレーションにするのだし　秋代が海に投げ捨てる神にたとえられる黒石　それは波に洗われて丸みを帯びて　また誰かに拾われます　それを遊園地の大観覧車という巨大な神がみつめています　矢崎監督の優しさが現れてますね　打ち捨てられたものは見捨てられてはいないのです　この海辺で終わるシネマは　どこかジャック・ドワイヨンの海辺で始まるシネマ「恋する女たち」を　思い起こさせるのですが　それはどちらも現代にあっては　お互いが不透過で　よくわからない人間同士の世界を　女性達を温かくちょっぴり遠くから見守っている映画なのです　　　

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4人の女優、全員すばらしい演技を見せてくれるが、特に中村優子と岩瀬塔子、この2人の存在感が秀逸。原作者である魚喃キリコ氏（岩瀬塔子）がこれほどまでに、良い女優だとは知らなかった。彼女の嘔吐シーンは、身を切られるほどつらかった。漫画は何作か読んでいるが、ぜひ女優業も続けて欲しいと思わせるほど、輝いていた。

あまりにも振り幅が狭い4人の女たち。これほど選択肢の広がった現代において、なぜそんな生き方しかできないのか、と見ていてつらくなる。男や神様（拾った石）が生きていく拠り所である、ということ。情けないし、ナンセンス。でも、そんな彼女たちを馬鹿にすることなど到底できない。もはや自分の足で立つ意思をもがれた女たちは、自分ではどうしようもないその孤独を「誰か」によって埋めてもらいたいと願い続けることしかできないからだ。その姿に、「いつかあの時の自分」を重ねられずにはいられない。

あの時の自分をとうに過ぎた今の私なら、黙って彼女たちを抱きしめてあげられる。だから、たどたどしい日本語で語られる「あなたのお母さんは元気ですか？」というひと言に、みるみるちひろの表情が変わりゆくシークエンスが切なくてたまらない。ここは、淡々と続く作品全体に明るい光が差してくるような、冷たい氷が溶け出すような、そんな心地よい変化の兆しを見せるすばらしいシーンだと思う。みんな、おっきくて、あったかいものに抱きしめてもらいたいんだよ。

この作品を「女性向け映画」とくくってしまうのは、とても惜しい。確かに20代の女性特有の頼りなさや切なさ満載で、同年代の女性なら響くものは大きいだろう。しかし、現代女性が抱える孤独は、決して彼女たちだけのものではない。彼女たちを受け止められない、持てあましている男性の存在も表裏の関係として（作中には描かれなくとも）厳然と存在しているのだから。トイレでパンティをおろしたまま拾った石に見入る、それはいらないシーンだろうか。誕生日にどうでもいい男と寝て顔に精液をぶちまけられる、それは話題作りのシーンだろうか。そんなはずはない。それらのリアルな描写の向こうに見える切なさやつらさがぐいぐいと私の中に流れ込んできて、彼女たちが愛しくてたまらなくなった。

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描かれている４人は、それぞれ性格も考え方も違うけれど、彼女たちが求めているのは、ささやかな幸せ。
でも、それは思うように叶わない。
寂しさを男の人でうめたい・・・
本音を言えず、辛くてもつい笑ってみせる・・・
叶わぬ恋に、せめて一度だけでもと、体を委ねる・・・
せめてもの、神頼み・・・
本当に、彼女たちが、どこかで暮らしているのじゃないか？
と錯覚してしまうほど、仕草や、言葉が、リアルに描かれていて、びっくりしてしまう場面も・・・
都会で、それぞれに葛藤を抱えながらも、お互い気がつかないふりをして、暮らしている。それが、そのままスクリーンに映し出されているような気がしてしまいました。
彼女たちを、ただ消費していこうとする周りの人たちの無神経さが、ちょっと辛い・・・
そんな中で、池端千鶴演じる、里子の恋に恋する可愛らしい部分が、ただ一人、暗めな作品の中で、ふわふわした存在感をかもし出し、救われたかな〜と。
ラスト、さりげなく希望を描いてくれて、安心。

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　これ、なかなかいいです。きわめて個人的な趣味でいえば好きな作品ですね。
　前日に「ドラゴンボール・エボリューション」などと言うとんでもない駄作を観てしまい、腹が立っていたせいもあるかもしれませんが（笑）

　４人の女性が、それぞれ生きている様子をオムニバスのように微妙にリンクさせながら描いていますが、一見普通に社会生活を営んでいるように見えても、その裏ではさまざまな呻吟や葛藤があるわけです。すべてのことが順風満帆なんてえ人はほとんど居ないんでしょう。
　そう考えると、この作品に登場する４人の女性も、なんら特別であったり、異常な人ではないのかもしれません。

　冒頭の里子の失恋劇。実際、あんなことをする人間はいないんですけど、心根はよくわかります。やしきたかじんの歌で「泣いてもいいか」と言うのがあって、昔カラオケでよく歌ったんですよね（ってか、歌わされた）やしきたかじんの歌は、女性の立場でその気持ちを歌っている「女歌」が多いんですけど、これは珍しく男の立場での歌です。

♪足にすがりついて止めて　何度も詫びて
　お前が居なきゃ死にたいと　泣いてもいいか
　だめな男だけど　やっと愛せた女
　失うほど愚かじゃない♪

　これ歌ってるときは、妙に感情移入して、好きな女の足にすがり付いて詫びている自分の姿をリアルに思い描くことができるんですよね。基本的に見栄っ張りですから、実際にそんなことはしない（できない）のは十分わかってるんですけど、その心情はわかるんですねえ。

　誰しもこの作品に描かれる４人の中の誰かに（その一部にだけでも）共感と言うか、似たような思いを乗せられると思いますよね。
　この作品を、
「つまらない」
とか、
「全然わからない」
と言う人は、あまり苦労をしたり、辛酸をなめたりしたことが無く、割合順調な人生を送っている幸せな人なんじゃないでしょうね。

　ストーリーは、原作付の作品ですから、まあいいとして（原作のイメージが映像でどうなっているかは別として）映像作品として考えれば、非常によく出来ていると思いますよ。過激な描写や表現もあって、
「それって必要なの？」
と言う声もありますけど、このカットの一つ一つの完成度はとても高くて、皆それぞれに意味があると思うのです。不要なカットがほとんど無いと思うんですよね。
　原作は女性の作品で、女性を対象に書かれたものなんでしょうが、矢崎仁司と言う男性監督が撮ったことによって、対象は男女問わずになっているのです。女性監督が撮ったとしたら（西川美和とかは別として）もっとファンタジックな雰囲気になっていたのでしょうが、この相反する「実際には無いだろうと思えるリアリティ」は素晴らしい出来だと思います。

　確かに台詞が聞き取りづらい作品ではあります。ボリュームをかなりあげても聞こえない台詞がかなりあります。
　それはある意味、観客を作品に集中させるための手練手管でもあります。名人・五代目古今亭志ん生が高座に上がったときに、酔客が居て、客席がざわめいていて落語どころじゃなかったときに、志ん生は聞こえるか聞こえないかと言う微妙に小さな声でマクラを始めたそうです。酔客が騒いでいると何を言っているのか聞こえない。なんとか聞き取ろうと客席が耳をそばだてているうちに酔客も同じように耳をそばだて、いつの間にか客席は水をうったようにしずまりかえり、志ん生はやっと本題噺に入って言ったそうです。
　もともと映画館で鑑賞する人は、映画を観るための準備をしているので集中していますが、ご家庭ではなかなかそうは行きません。それを如何に集中させるかという意味があるのだと好意的に理解します。
　まあ、それにしてもこれはちょっと音が小さすぎますけどね（笑）

　デリヘルに限らず、ソープ（トルコ時代から）ファッションヘルスと、風俗は一切未経験なんですが、あんなに粒ぞろいのデリヘルがあるんだったら、一度経験してみようかなと思っちゃいますね（笑）

あまりにも生々しい場面が多くて、一人のときにこっそりしかみられない映画でした。
都会でもがきながら生きる４人の２０代の女性たち。その生き方があまりにも痛々しくって、時に見るのがつらくなりました。２０代の頃ってこんなに苦しかったかなあ・・・。時が過ぎて忘れてしまっただけなのか？それとも生きにくい時代になったのか？

ラヴァさまは秋代の手にそっと触れる老人に近いと書いておられますが、私は４人の中ではちひろに近いかなあと思いながら見てたら、彼女「おとめ座　B型」ってことで、私と全く同じでした。

映像に関して素人の私も、絶妙のタイミングでライトが消える東京タワーとか、新幹線のデッキでの別れのシーンとか、ものすごく凝ってるのはわかりました。

なかなかいい映画なのにとても残念なのは、非常にせりふが聞き取りづらいこと。音量をものすご〜くあげてやっと聞き取れるかどうか。すると突然電車の音が大音量ではいり・・・って感じで音量調節ばかりに気をとられてしまった。本編が始まる前に２０分以上も延々と予告編がはいっていたのも減点。