キッド

　主人公のラス（ブルース・ウィリス）は有能なビジネス・マン。でも、１日に５人から「ムカつく奴」（ ｊｅｒｋ ）と言われる男。レジでモタついてる女性にイヤミを言い放ち、実の親を冷たくあしらい、自分を好いてる部下の女性を平気で傷つける。とは言っても、大黒様みたいなウィリスの顔が災いしてか（？）、なんだか憎めない。
　現実の世界にはもっともっとサイテー男の皆さまがのさばっていらっしゃるので、すでに「ゆるいな」と思ってしまう自分、人間関係苦労してんな。ガンバレ。

　さて、彼の前に突如として現れる子供。なんと、これが８歳のときの自分自身＝どん臭いおデブのラスティ。なぜ、どうやって、彼は現れたのか。よう分からんが「バック・トゥ・ザ・フューチャー」式のパラレル・ワールドが展開していきます。このネタやるなら、相当に伏線をはり巡らせとかないとつまんないなぁ・・・などと思えて。で、この辺もゆるいなと。

　ラスティはいじめられっ子。今はイメージ・コンサルタントなんてバブリーな職業（この当時からすでにアメリカは好景気。世相を反映してます）で成功しているラスに、辛い過去の思い出がよみがえってくる。
　ラスティもまた、未来の自分が「犬も飼っていない、奥さんもいない、負け犬（！）の大人」だと知ってがっかりする。アメリカ社会は景気がいいと政治の争点も「家族の価値」といった文化的な問題に絞られてくるので、映画（メディア）の世界もその路線になる訳ですね。暖かい家庭を築いてない男は“負け犬”ときたもんだ。人それぞれに事情ってもんがあるでしょうに。もっと大人になろうよ、アメリカ人。

　子供時代の自分自身に指摘されて自分の人生をもう一度見つめなおすラス。昔のある事件を思い出し、それに関わることで、現在の自分が変えられるという展開。なにやら心理療法めいています。フロイト理論や、当時流行った“インナー・チャイルド”のよう。
　つまり、これはヒーリングってことなんですな。“癒し”って、個人的に嫌いなのでゲンナリしてしまいます。で、癒しのダシにされてるとしか思えないラスティ少年は、都合よく動かされるだけのキャラクターに収まってしまっているように思える。彼の行動や発言はすべて現在のラスを中心にして考えられている。こういう人物造形ってなんだか脚本スケスケ。やっぱり、ゆるい・・・。

　音楽がまた「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のバッタもんみたいで、いいのか、オイ。
　でも、最後にひとつ誉めます。
　私が一番ウケたのは、エンド・クレジットで明かされる“ある事”。これだけは期待に応えてくれて嬉しかった。しかし、誉められることが字幕だけっていうのもなんなので、もう一つ。
　ヒロインのエミリー・モーティマーが、若い頃のデミ・ムーアに似ててキュート。ウィリスったらキュンときたのと違うかい？って勝手に想像して、他人事ながら切ない気持ちになってしまいました。
　秋ですねぇ。

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ほのぼのとした、素直に楽しめる映画でした。

突然、８歳の時の自分が現れ、
その事によって、今の自分を見つめなおす。

結果、今より３０年後の自分が
現状ではありえないような
精神的にも安定した
充実した人生を生きている。

夢を忘れない
夢をあきらめない

これって大切だなぁて
思える映画でした。

あと3カ月で40歳になります。
今8歳の自分が突然現れたらどんな気持ちだろうか？
色々自分に重ね合わせて見ました。

子供の頃の夢が叶っていないのは大部分の大人がそうだと思います。
でも大部分の子供は夢があって、将来はその夢が叶っていると信じているのでしょうね。
自分もそうでした（笑）

私は個人的に鑑賞適齢期だったので大変面白く見ることができ、心に残る作品でした。

40歳手前という年齢は、社会人になってからの記憶が頭の中を占領し始め、子供の頃の記憶が薄まりつつあり、今ある自分が全てのような錯覚に陥りがちな年齢なのかもしれません。
だとしたらドンピシャです。

さて、作品としてはどうでしょう。
Ｂウィリスの良い味が出ていないというか、現在ではアクション以外も結構いけてますが、この時期はまだキャラ的に手探りな雰囲気です。
中盤あたりも、子供が出てきた意味を探る、というテーマにたどり着くまでがちょっと中だるみ気味ですし、全般的に盛り上がりに欠ける雰囲気です。
ラストはまぁまぁ、良い感じですが、道中の展開次第ではもっと感動できる作品だったかも。

ディズニー作品は、万人受けする内容が多く、すべからくまずまずの出来なので、そういう意味ではお勧めです。
ガツンとインパクトがあったり、見る人によっては心の奥まで響くが、全体的には賛否両論、みたいな作品が好きな人にはお勧めできません。

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これって、ディズニーだったんですね。
それにしてもブルース・ウィリス って、子供との絡みが似合うんでしょう。

お話はイントロのまんま。
４０歳目前の主人公。
仕事も波に乗り、地位も名誉も手に入れた。
なのに何かが足りない・・・
周りから「いやな奴」と思われ、肉親とも疎遠。
彼女がいるでもなく・・・おれの人生って？

そんな嫌な奴、ラスの前に一人の少年が現れる。
な、な、んと、８歳の時の自分だぁ。
ありえないし、なんて思わず、ね。
ディズニーだし。
どこから来たの？なんで？なんて考えちゃ野暮ってもんです。はい。

この少年の出現によりラスが自分の人生を見つめなおす。
自分が家族や人に対してどうして冷たいのか。
８歳の過去に置き忘れた「忘れ物」を思い出すことによりその謎は解けます。
「お前のせいじゃないよ」その言葉一つで。

この少年、最初はなんでこの子が？なんて思ったけど、良かったですね。
ロイに「ねえ、犬は飼ってないの」「彼女はいないの」など、矢継ぎ早に質問。そしてその答えにがっかりするシーン。
だんだん彼がかわいく見えてくるから不思議。

少年自身が大人になった自分自身、現在のロイの前に現れた理由を知らなかったことも良かった。
「おいお前、俺の人生どうしてくれるんだよ」なんて言われたらたまらない。
二人して出会った事実を模索している様子はまるで親子のように微笑ましかった。

そしてラスト。
今度は未来の自分が登場。
過去の自分に出会うことにより現在の自分が生まれ変わる。
そしてその変化により未来の自分が見えてくる。
そう、８歳の自分が思い描いた未来が。

観終わって、なんとなく笑顔になれる作品でした。

みんな考えるでしょうね。
もしもいま自分が過去の子供の頃の自分と向き合うことがあったら・・・「私の人生どうなるの？」なんて質問されたら。
劇中「大丈夫よ、うまくいくから」っていう言葉がありました。
そんな風に言えるかしら。いえたらいいな。やっぱ言えないな。

絶対にあり得ないことだけど、もし？って考えることはいい事。
そのもし？のためにもう一度自分の人生を道半ばで振り返ってみるのもいいかもしれませんね。

どうかなぁ。

子供ラスティがすごく純粋なだけに、大人ラスがイヤな奴に思えた。でも、ラスティに関わるにつれて本当の自分を見つめ直す彼はちょっと良かったです。
『ダイ・ハード』なイメージが強いけど、この役はなかなかいい感じでした。